愛しいうた
僕はどうやらもう少しで死ぬみたいです
身体を走る痛みでよくわかるのです
こんな時は走馬灯が見えるとはよく言うけど
あいにく迷信だったようです
仕方ないから自分で思い返してみても
最近の出来事しか出てこない
なんだか大切な思い出があった
そんな気がするのは気のせいか
死ぬということは底の無い穴に
永遠に落ち続けることだと思ってた
だけど見上げた空は真っ白で
伸ばしたら届きそうに思うんだ
きっと自分のためだけに死ぬんじゃないから
こんなに清々しい気分になれるんだ
僕のこの勝手な想いを
知らないまま君は泣くんだろうな
これはかなしいことだと言うのかな
僕がこぼした命は哀れなのか
二十年の時は短すぎたのか
残した想いはいとしくないか
想い出が弾けて空に消える
思い出せないものは大切にしまおう
きっとこの先あったはずの
僕の幸せは君の元へゆけ
この想いはいとしくはないか
失った体温はどこへ行くのか
君と過ごした時間よりも
君と別れた後の時間のほうが
どうしても長くなるのはかなしいことなのか
君は僕の名前を呼ぶだろう
僕は声なき声で応えるよ
楽しく笑ってる君も
怒りに声を荒らげる君も
僕を思い出して泣く君も、見ているよ
こうやって見守ることは愛しくはないか
君の未来の隣に僕がいなくても
思い出の隅に少しだけあれば
それは、愛しいことなのか
思い出せなかったことがやっと、思い出せたんだ




