廻る視界と流れる血潮
旅立ちですね。今までのままだと会話とジョークが入れづらいので主人公にお馬鹿補正かけました。あまり落差が酷いようでしたら修正します。
感想・・・お待ちしてます。切実に。
なんのセリフか忘れましたが「一人は・・飽いたのじゃ・・・」って心境です。誰か構ってエロい人!
両手は赤く染まっていた。
容赦無く襲い掛かる暴力に何度も蹂躙され何度嘔吐を繰り返したか分からない。
この様は自信の経験不足から来ているのだと分かっていた。
あの時 きちんと防御策を講じていればこの血は流れなかっただろう。
それ以上に自分の不甲斐の無さに涙が零れた。
けれど涙でこの血はなかった事には出来ない。
――なんでこんなことに――
けれどこの場で蹲ってもなにも変えられない。
だから俺は奇跡を望んだ。
「だ、誰か!医者を…!医者を呼んでくれ!」
あらんかぎりの声で助けを求めたのであった。
◆◆◆
「休憩中にいきなり切羽詰まった悲鳴が聞こえたからびっくりしたじゃない!」
小さなグラスランナーと呼ばれる種族の女性に思いっきり丸出しにされた小さな尻をひっぱたく
「あひん!うぅ、ご褒美として受けとるのには修行が足りない…!」
「変な声だすな!」
再度尻をひっぱたかれ俺は思わず喘いでいた。
「あひん!」
一昨日の朝に村を出て護衛の冒険者達と商隊と共に馬車に乗り込み王都に出発した俺だったのだが、異世界に転生した俺はまだ過去の世界の常識に染まっていたらしい。
皆さんは馬車と言われるとどういう物を思い浮かべるだろうか?
人により細かい差異は有るだろうが 馬が何頭か繋がれ 木組みの屋台に木製の車輪が付き、布で出来た幌の馬車を思い浮かべるはずだ。
だが考えて欲しい。
サスペンションなどない世界で木製の車輪で出来た馬車に座っているとどうなるか。
昔の急行電車の様にボックス席タイプの椅子がついており、長い商旅でくたびれた薄いクッションしかない中で何時間も上下左右に激しく揺れるこの地獄をなにに例えればいいか問われれば、
テレビショッピングやジャパネットタカータなどで取り上げられ、一世を風靡したロデオボーイ〓 そのものだ。
その揺れに丸1日以上晒された俺は胃の中の物を全て吐き出した。エチケット袋なんてないので窓からポイ捨てである。
きっと俺のゲロは新しい命の中でも生き続けるだろう。
ただ被害は嘔吐だけではなく、尻にも深刻なダメージを残していたのだ。
休憩に入り川の近くで馬車を止め、護衛の冒険者達とと親交を深めるべく食事をしようと思い、川に行き、口の回りについた吐瀉物の汚れを落としたりていたのだが、
尻の痛みにが思いの外辛く、自分の尻を擦っていたのだが、そこで事件は起きた。
尻を撫でているうちに手のひらに『ぬるり』と、嫌な感触がしたので思わず確認すると、尻をなでたその手のひらを見れば赤く染まっている、
急いでズボンをおろし尻を覗き込むと真っ赤に擦りきれ血が出ていいた。
そしてあまりの惨状に俺は助けを求めたのだった。
その結果、現在進行形で護衛のクエストで同じ旅をしている冒険者パーティーの一員であるリルさんにまだ薔薇の華を咲かせぬ綺麗な生尻を突きだして、
癒しの魔法とスパンキングと言うご褒美を頂戴してる訳である。
「嫌な事件だったね…」
地面にキスする様な体制で尻を付き出す俺はぼそりと涙目で呟く。
傍目からみれば良く訓練された紳士と言う名の豚野郎だが気にしない。
「と、とりあえず尻仕舞えや。俺の毛布を貸してやるからそれで我慢しろ。あと辛いだろうが食っとけ。」
ガタイの良いおっさんが苦笑いを浮かべながら黒いパンに干肉を挟んだ物を渡してくれる。
彼はパーティーを率いるグレイダさんと言う人間のナイスミドルで赤毛の短髪の好感の持てるおっさんである。
「ありがてぇ、さすがはパーティーを引っ張る大旦那!気前からして大器を感じさせるぜ。」
調子良くおだててみたがこれは間違いだった。
「よせや、恥ずかしい!」
顔を赤くしながらおっさんは俺の未だに風と一糸まとわぬ姿で戯れる尻をひっぱたいた。
「アッー!」
リルさんに癒しの魔法で綺麗にして貰った尻に薔薇ではなく紅葉が咲いたのだった。
――拝啓、お母様。息子は旅立ちから2日にしてイケないフラグが立ちました。ツンデレおっさんとか誰得なのでしょう…――