俺と妹と最期と最初
改稿しました。
話をしよう。
あれは・・・
まあいい
俺がその世界で生きていた頃の話だ。
多分君達にとっては現実の世界さ
◆◆◆
「もう少しで私もそっちにつくよー。改札まで着いたらまた電話するね。」
電話を切り足早に駅の構内に向かう。
今日は妹分が大学に合格し俺の安アパートへ転がり込んで来る日だ。
普通は血が繋がってもいない男女、ましてや恋人でもない俺達が同棲するなどそれなんてエロゲ?
などと言われそうな展開だがこれには訳がある。
それは俺達の境遇に一因する。
俺達は児童福祉施設で育った、親がいなかったり捨てられた子供を保護する施設である。
二人とも幼い頃から一緒に育ち、他人に傷つけられ、
大人を信用なんて出来ないひねくれた子供同士お互いを唯一の家族として生きて来たのだ。
兄貴である俺は大学に入ると同時に施設を出て安アパートではあるが、
家を手に入れ今年は俺に続く様に大学に入った彼女を呼び寄せたのだ。
今日はそんなめでたい日であったのだが、
結果的には新しい始まりの日から一転、
俺と彼女の命日となってしまう皮肉な運命がこの後に待ち受けていたのだ。
その日は良く晴れていた
誰もがこの後起こる悲劇など知りもせず 町は廻っていた。
事は単純に地震だった。
運が悪、 改札前で再会を果たした時地震は起こった。
俺達は瓦礫に飲み込まれ即座に死んだ訳ではなかったが、
体を瓦礫に敷かれ潰れた体から流れ出る血によって二人とも眠る様に死んだ。
何ともあっけなく死んでしまった。
けれど、隣で徐々に顔を白くし握った手から力を感じなくなっていき、
微笑みながら死んでいく彼女のことは今でも忘れられない。
なにもできない無力さや、まともな幸せすら享受できない恨みなど様々な
想いを溢れさせながら死んだ。
まぁ過去のことを悔やんでも仕方ないし、特段思い返さなくても必要のないことだ。
今北産業と言われたなら、
「がらんがらんと瓦礫に押しつぶさらた。」
「血が出た。」
「アタシは死んだ。」
スイーツ(笑)なだけのお話。
だがしかしBUT!
話はここで終わりではない。
俺はそのあと別の世界に転生したのだ。
神様に会ってお願いしたわけでもなければチートな能力を貰った訳でもないが、
獣耳や魔法や亜人が溢れる世界で生を受ける事となる。
◆◆◆
私はいつの間にかここにいた。
白くて神殿の様な空間に私は浮いていた?
自分が死んだ事は覚えているのでここはあの世に近い場所だという予想もつく。
それに魂の状態なのか体の感覚はないし、
幽体離脱でもしてるかの様に俯瞰で見ているような不思議な感覚がする。
「自分 偉い難儀な生涯やったな? でもかなり徳を貯めこんどったみたいやし 次の生ではオプション結構つけたるで?」
気がつくと目の前に白いローブを来た軽薄そうな少年が私に話しかけて来た。
何を言ってるのか良く分からずその意味を聞こうと思ったのだが喋る事が出来ない。
口がないので喋る事も出来ずやきもきしていたら、少年はこちらへ微笑み説明を始めた。
「人間とか自分で意思決定できる生き物に対しては徳っていうスコアがあってな?
良いことをしたり誰かを救ったり、現世の為になる行動をすると溜まるようになっとるんやけど、
それをつこうて来世に良い条件を付けられる対価として使えるおまけがあるんや。」
こ、この流れは ペロリ 転生フラグ?
そんな私の心の声には気をかけず彼は神殿の様な広間を指差す。
その先にはガラスケースの様な棚があり、中には値札のラベルが張られたお札のような物が見える。
体術の才能 130徳
記憶引き継ぎ 300徳
など沢山のお札がある。
これがさっき言ってたオプションなのかな?
でも、まるでパチンコ屋さんの景品の様だ。
オプションが気になり目を通す。
もらえるものは貰っとかんとなぁ。
これは重大な決断になりそうだ、心してかからねば
…美肌 250徳
…Fカップ 200徳
…いかんいかん
こんなオプションを選んで無駄遣いするべきではない。
誠に、誠にッ!惜しいが君を選ぶだけの余裕がないのだッ!
そして気を取り直し、私は品定めをしていく。
いくつも手に取り、その効果を合わせる事で別の効果を発揮するものなどもあるらしく、
神様っぽい少年に何度も確認をしながら選んでいく。
◆◆◆
「それでええんやな?」
神様であるらしい少年は私に最終確認をする。
「あんたの選んだんは 運命の出会いと千切れぬ魂、運命に押し潰されぬ魂、手繰り会う愛やな。
生まれる世界や身分や身体とかは生まれて見てからのお楽しみになるけど、これがあんたの望む未来でええか?」
私は頷く。
兄さんと一緒ならばどこだってなんだって良い。
きっと兄さんが居てくれるなら私は幸せだ。
美肌や巨乳とは・・・比・・べ!もの・・になら・・・ぬッ!
私の葛藤を知ってか知らずか神様が苦笑いをしながら、手を振る。
「そんじゃな、あんたの人生が明るく健やかであれ。」
私の存在が広間に沢山並んでいたいつの間にか、開いたドアに吸い寄せられ
意識を失った。