お隣の女の子。2
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正直、俺だってごくごく普通の男だ。
今まで彼女がいたことだってあったし、その彼女と碧依が遭遇したこともある。だけれど、碧依を”女性”として見だした瞬間、女性との付き合いは”体だけ”になったのも事実だ。
自分の欲望を高校に入ったばかりの15歳の少女に押し付けていいわけがない。
幸い、というかなんと言うかイギリス人ハーフの俺は自分で言うのもなんだけど顔がいい。185cmと背も高い。碧依の兄貴である彬≪あきら≫兄なんかには、俺が中学のときに背を抜いて以降散々お前の身長が欲しいと言われ続けてきた。
女なんか、この顔と多少高めの身長でいくらでも寄ってきた。それも、『芸能人』になって以降大人しいけれど。
そんな碧依の通ってる学校が、出演中のドラマの最終話ロケ地に選ばれた。ロケ地、と言っても俺の演じる教師がラストシーンで異動になって、という数シーンだけれど。その事実を俺は碧依には伝えなかった。守秘義務、と碧依には言ったけれど、碧依はそういうことを吹聴しない子だから別に言ってもよかったんだけれど、碧依を驚かせたかったからだ。
「慎、楽しそうね」
「うん、今度のロケ地幼馴染の通ってる学校だからね」
パチン、と携帯を閉じる。
エキストラに選ばれた、と碧依は言っていた。周りの人間に俺との関係を言っていないと言っていたけれど、きっとこの分だと彬兄のことも言ってないんだろう、まぁ女子高だしそんなものかな。
碧依は騒がれるのが好きじゃない。注目されることも好きじゃない。だから、俺と”幼馴染”だということは学校生活を送る碧依にはマイナスになるかもしれないけれどーそれでも俺は碧依と仕事ができることが嬉しいんだ。
だから、俺は浮かれていた。
当日、撮影現場で衣装であるセーラー服姿の碧依を偶然見かけて、懐かしいな、と微笑ましく眺めたり、視界に碧依がいることが嬉しくて、10代のガキか、と自分につっこみながらも我ながら気持ち悪いくらいにこにこしてた。
碧依はこちらを時折見てちょっと不審そうに見ていたけれどやがて諦めたかのように俺から視線を外し、あわよくば俺に近づこうとする子たちの後ろでポツンと一人でいた。それが気にならないわけじゃないけれど、近くに碧依がいることに満足していたんだ。
それが、まさか碧依に迷惑をかけるとはつゆにも思わずに。