私の不運。1
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慎ちゃん、こと神城慎が主演のドラマの放映が始まった。
アレ以降すれ違うことすらしていない私たちは、時々メールで連絡を取り合う程度。忙しい慎ちゃんは実家に帰ることすらままならなくてホテルによく泊まっているらしく、おじさんが母国、イギリスに単身赴任中の今ちょくちょく私に叔母さんの様子を聞いてくるんだよね。自分で聞けばいいのに。
慎ちゃん主演のドラマは、ミステリーだ。学校の教師が、事件を解いていくミステリー。
ミステリー好きな私としては毎週ホクホクして見れるので安心。これが恋愛ものだとちょっと気後れしてしまうんだよねー、やっぱりさ。
基本、1話完結らしいから見ていて気楽っていうのもいい。某体は子供、頭脳は大人!みたいに何週に跨いで事件解決、とかになるとちょっとたるくなるもんねー。好きだけど。
ミステリーだから、見終わった後に見た感想のメールを送ったりする。メールは、すぐに返ってきたり、返ってこなかったりとまちまち。もともと私もメールとか用件がないと連絡しない性質だから、そこらへんはあまり気にしてない。向こうも忙しいだろうしね。
慎ちゃんのドラマは、友達たちや先生の間でも評判なようだ。原作のあるドラマだから先生方はその原作小説の文庫版を大人買いして、回し読みしている模様。…先生たちも仲いいね。
慎ちゃんのドラマが始まったこと以外、何も変わらない日常を過ごしているはずなんだけれど。
GWまであと少し、という頃ひとつ予想外の出来事が起こった。
それは、私を除く学校の生徒としては悲鳴もの、私としては絶対にお断りしたい内容だった。
慎ちゃん主演のドラマのロケが、この学校で行われるというのだ。
場面は最終回、しかも学校の生徒が何人かエキストラとして選ばれるらしい。…慎ちゃんとの関係、と言ってもただの幼馴染だけれどーを全力で内緒にしている私としては、どうにかこうにか避けたい状況。
当座エキストラは各クラスから、代表者2名ずつ、公平にジャンケンで決定されるといわれ、負ける気満々だった私は。
負ける気合いをよそに私はエキストラに選ばれてしまったのでした…。