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お隣の男の人。2

「いってきまぁす」


玄関を出て、駐車場の横にあるスペースからマイ自転車に乗る。

高校入学時に買ってもらった、チョコレートブラウンのシティサイクル。自転車の鍵には、慎ちゃんに昔もらった、ネズミの王国のキーホルダー。


自転車を漕ぎ出そうとすると、見慣れた車が慎ちゃんのお家に停まった。


「オツカレサマデシタ」


眠そうな欠伸を噛み殺しながら、車から出てきた男は少し乱暴に車の扉を閉め、私に気づいた。


「碧依」

「慎ちゃんおはよ。おかえりなさい?」

「ん、ただいま」


自転車にまたがったままの私の頭を撫でて、ふあああ、と大きな欠伸が一つ。そういえば、TVで次クールから慎ちゃんが主演のドラマが始まるって言ってたっけ。

その撮影の影響かな、と思いながらぐりぐり頭を撫で続けている手を退ける。

すると、慎ちゃんは少し淋しそうな顔。…TVではクールと言われている慎ちゃんだけど実際は全然違う。

私より5歳も年上なのに、少しだけ甘えん坊な、困ったお兄ちゃんなのだ。


「ホラ、慎ちゃんもうお仕事終わりならお布団入って寝なよ。欠伸してるってことは夜通し撮影か何かだったんでしょ?きちんと寝て、次のお仕事に備えてください。私は学校行くから」

「えー、久々に会えたのに」

「でも、私のお仕事は学校に行って勉強することだもん。今年は大学受験だし、することいっぱいあるんですぅー」


将来、司書さんになりたい私は、何としてでも大学に進まないといけないんだから。


「そっか、そうだよな。碧依ももう来年には大学生かー。仕方ない、お兄ちゃんは大人しく眠るとします」

「そうしてください。じゃあね、慎ちゃん。おやすみ」

「ん、気を付けて」


する、と自然に慎ちゃんの手が頬に伸びてきて、ちゅ、といつものご挨拶。

これは、それこそ物心つくころから慎ちゃんにされている挨拶。慎ちゃんが美形なのは。

慎ちゃんのお父さんであるおじさんがイギリス人さんだからなのである。


昔から当然のようにされてきた挨拶だから、私も自転車を跨いだままだけど背伸びして慎ちゃんにちゅ、とご挨拶。

挨拶すると満足したのか、眩しいくらいの満面の笑みで私は学校へと送り出された。

とりあえず、ここまで。

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