詩 彼がバイトするって
「俺、バイトするわ」
「え」
突然、彼に言われて、私はびっくりしてしまう。
急にどうしてバイトなんてと、頭が混乱してくる。
すると彼が優しく言ってくる。
「お前と一緒にいるお金が必要だしさ。色んなところに行きたいじゃん?」
微笑んでくる彼に、私は真剣に聞く。
「私と一緒にいるために、バイトしてくれるの?」
「おう。いけないか?」
「いけなくなんかないわよ、馬鹿!!」
私は顔を真っ赤に染め、夕日よりも目立つ色となる。
彼がすっと近づいてきたので、何となく手に触れる。
「…淋しいな。会える時間も少なくなるね」
思わず言ってしまってから、「あ」と思ったが、本音が聞かれてしまったようで、手を強く握りしめられる。
「大丈夫。まずは週に2、3回にするから。コンビニがいいと思うんだけど、どう思う?」
「コンビニか。いいと思う」
やっと私は笑みを浮かべられ、ほっとしていると、彼も一緒になって笑う。
「私もバイトしようかな」
「駄目!!」
強く言われ、手を引っ張られる。
私の身体が彼の頑丈な身体に倒され、抱きつくことになる。
「もう、何!!」
「バイトは駄目!! 俺だけのものなんだから」
真剣な口調で言われ、私は真っ赤になる。
彼の本音を聞いてしまった。
沈黙していると、耳にふーと息を吹きかけられる。
びくりと身体が反応し、私は怒る。
「もう真剣に言っているのに!!」
「俺だって真剣だ」
本音のようで、彼が怒ったような声音を出す。
身体が離されると、淋しさがわいてくる。
あー、もう分かったわよ!!
私の負け。
惚れているんだから、しょうがない。
逆に背伸びして、耳にふーと息を吹きかけてあげる。
彼は肩を反応させ、睨んでくる。
「こら、襲うぞ」
「嫌だから逃げる」
走り出すと、彼が追いかけてくる。脚の長さも、筋肉の良さも違うので、男の人に勝てるわけがない。
簡単に捕まって、彼が私の頭に手を置いて、ぽんぽんしてくる。
「俺、頑張るから」
「うん」
私も正直に答え、甘えるように身体を預ける。
私を心配してくれて、好きでいてくれて、ありがとう。




