第1話 真っ暗なトンネル
日本某県、船山市に本社を置く鉄道会社、船山電鉄。この物語は、その会社に勤める1人の運転士、山沢琴音を巡る物語である。
ー2025年4月12日(土) 8:34ー
「この列車は、当駅止まりです。」そんな駅のアナウンスと共に、琴音が運転する「ワンマン」という文字が掲げられた特急・船山行きの列車が停車した。船山駅は、船山市の中心に位置し、近くにビルが建ち並び、学校もあるため、客が多い。中には、中学生ぐらいの少女だって紛れ込んでいる様な、広い世代に使われている駅だ。琴音の列車は「特急・船山」の表示を「回送」に変え、通勤客で溢れるホームから、車庫に向かってインバータの有名なメロディーを鳴らしながら出発した。(どんな音かは読んでくれている方々の想像におまかせする。京急のVVVFインバータの音だ。)
「はあ〜今日も疲れたわ〜。」琴音が疲れた声で言った。
「まだ朝でしょ」琴音の姉、小春が端末越しに言った。
船山電鉄では、かなり自由な勤務体制をとっているため、このように通話用端末で通話をしながら運転している人も少なくないのである。
(自由すぎて半数以上の客から批判を浴びているが、何故かこの体制が続いている。)
そんな会話をしているうちに、列車は車庫に向かう途中のトンネルに入った。そこでライトを点けると、見覚えのない信号機が目に留まった。
「…進行?」青信号を見ながら、琴音は困惑したがマスコンを動かさず列車を進めた。
しかし、列車は突然本来の線路から逸れて、見知らぬ線路に乗った。
「なんで曲がってるのこれ⁉︎」列車は左へと曲がり始めた。慌てふためきつつブレーキをかけるも、何故かブレーキが効かない。それどころか、列車はどんどん加速する。
慌てる琴音を嘲笑うように動く速度計を横目に、琴音は姉に助けを求めた。
「お姉ちゃん!輸送司令に列車が暴走してるって伝えて!」
叫んでみるも、通話用端末からは一切の反応が無い。速度計が端まで振り切れ、諦め切った時だった。突然列車の前に閃光弾のような眩しい光が差した。琴音は前が見えなくなってしまった。列車は何故か激しく揺れ始め、座っている事さえも難しくなった。
しばらくこの状況が続いたが、だんだん揺れが収まり、視界も回復してきた。どうやらまだ列車は真っ暗なトンネルの中に居るようだ。制御が効くことに安心しながら、ひとまずトンネルの出口に向かって列車を進めた。しかし、出た先は紅葉に囲まれた見知らぬ場所であった。
琴音の心が不安に包まれていたとき、聞き慣れた姉の声が聞こえてきた。
「大丈夫か?すまない、通信が乱れて…」
「こっちは大丈夫だけど…どこか知らない場所にいるみたい。」琴音が震えるように言った。
お互い落ち着かせ合いながら列車を進めていると、駅のホームのような構造物が見えてきた。琴音は一旦そこに列車を停めて通信用端末を持って列車から降りた。
「停めて良かったのかな…」琴音が心配に思っていた時、すぐそこから、
「どうしたんだい?こんな所で。」と、見知らぬ人に話しかけられた。
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