第8話
「え、……ええええええええええ?!」
「アン様のピンチをお救いする為に覚醒致しました。」
「ええええええ?!本当にスマホのAI?!」
「はい!」
「この!離せ!」
エミリはAIから逃れようと必死にもがく。
「なーんてね。」
「?!」
エミリは黒い石を取り出すと何か呪文を唱える。するとエミリはAIから逃れてどこか別の場所へと転送される。辺りにエミリの声が響く。
「私はこんなところで終わらない!見てなさい!アン!今度こそあんたを地獄送りにしてやるわよ!ははははははっ!」
声が聞こえなくなる。
「AI!大丈夫?!」
「はい。何ともありませ……」
その瞬間、AIはスマホの形に戻った。
「?!」
「すみません、長くは持たないようです。」
「…………アン。」
王子がアンに向き合った。
「すまなかった。」
「……別にかまいません。」
「俺の婚約者に戻ってくれないか?」
「は?」
「やっぱりエミリなんかよりアン、お前が必要なんだ!」
「…………お断りします!」
「!?」
「私には彼がいますから!」
アンは得意げにスマホを見せる。
「ははっ、そうか。そうだよな。」
「結局アンの罪は免罪だったのね。」
王女がそういいながらアンに近づく。
「なら、元の地位に戻らないと!」
「え?!」
驚くアンに、王女は優しく微笑んだ。
こうして、アンは元の地位に戻る事が出来た。事件は一旦幕を下ろした。かに思われた。しかし、それは次の事件の余興にすぎなかったのだ。あの時エミリを逃がさなければ次の事件は起こらなかっただろう。
それはそうと、元の地位に戻ったアンはAIと一時的とは言え平和な日々を過ごす事になる。屋敷にて、
「アン、元の地位に戻れたのね!」
アンの母は嬉し泣きをしながれアンを迎え入れる。
「はい。お母様!これも彼のおかげです。」
「彼?」
「私が元に返り咲けたのはこのスマホのAIのおかげなんです。」
「そうなのね!ありがとう。AI。ほら、貴方も意地張ってないで何か言ったらどうですか?」
父は険しい表情でアンを見た。次の瞬間、父はニコリと笑った。
「アン、よく自らの力で元に戻ったな。私はそれを誇りに思う。」
「お父様……」
「お前が大変な時に助けてやれなくてすまなかった。だが、あそこで甘やかす事は出来なかったんだ。すまない。」
「分かっております。気にしないでください。」
「ありがとう。アン。」
「せっかくアンが元の地位に戻ったのです。パーティーを開きましょう!」
「それがいい。」
「お嬢様、爺やは嬉しく思います。」
「私もです。」
爺やと婆やは泣きながらアンが、元の地位に戻ったことを喜んでいた。
「爺やも婆やもありがとう。そして、使用人の皆も!ありがとう!」
皆は優しく微笑んだ。パーティーが始まる。アンはドレスに身を包んだ。スマホのAIは再び人型になると、アンをエスコートする。
「ねぇ、AIって、呼びにくいわよね?名前を付けてもいいかしら?」
「名前、ですか?」
「ええ!」
「もちろんです!付けていただけるなら是非お願いします。」
「うーん、じゃあ、ノア!」
「ノア!いい名前ですね。」
「ええ、ノア踊りましょう?」
「もちろん。」
こうして、2人は踊る。パーティーは夜まで行われた。アンは幸せそのものだった。そんなアンを見る1つの影があった。
「アン、許さない!お前のせいで!私の転生人生の幸せが……奪われた!これで終わると思わない事ね。」
影は次の瞬間には消えていた。
「アン?どうかしましたか?」
「あそこに誰かいたような……いいえ。なんでもないわ、ノア。」
夜の帳が降りてゆく中パーティーは続くのだった。




