第7話
アンは王城へと急ぐ。そんな中スマホは震えない。アンにどうやって王城でエミリの策略を暴くべきなのか助言してくれなかったのだ。アンは少し疑心暗鬼になる。
あの時、スマホのAIが王城に向かう事を指示しなければ私が疑われる事なんてなかったんじゃ……。アンはそう思いながらスマホを見た。彼は頼れる相棒だと思っていた。でも、もしかすると違うのかもしれない。そう思うと恐怖心が湧いてきた。
一方、王城では、警備兵がいなくなったアンを必死に探していた。
「たっく、どこいったんだ?!」
「仕事増やすなっての!」
「おい、いたか?」
「いや、見ていない!」
警備兵達は慌てていた。もし、この事が王子に知られたらただではすまないだろう。責任を追求されるに違いない。
「おい!アンが見つかったぞ!」
「?!」
警備兵一同が顔を見合せた。
「この悪女が!手間取らせやがって!」
「話しを聞いて頂戴!」
「誰が悪女の言うことなんて!」
「聞いて!」
「国王様を殺したのもお前だろ!?」
「違うわよ!」
スマホは震えない。アンはピンチに陥ってしまう。
「何をしている!?」
そこに現れたのは王女だった。
「王女様!?」
兵士達は王女の方を向いた。
「何をしているの?」
兵士の1人が答える。
「こいつは国王に呪いをかけて殺した犯人で……」
「違うわ!私は真犯人を知っているわ!証拠もある!」
「……面白い事を言うのね。」
「本当です!」
「いいでしょう。話しぐらいは聞いてやっても。」
「王女様!」
「ですが……」
「いいの。私がいいと言っているのよ!それに、本当に犯人なら逃げて戻って来ないわよ。」
「ご慈悲、感謝いたします。」
「いいの。」
そうして、王女は王子とエミリ達を集めてアンに無実を証明する為の場を設けてくれた。
「ありがとうございます。王女様。」
「お礼はいいから真実を教えてくださる?もし、真犯人が誰かを当てられ無ければ貴方は死刑よ?」
「はい。分かっています。」
「まず、彼女が起こした奇跡について……」
「ダメです!こんな女の言うことを信じては!」
エミリがそう言って慌てふためいた。
「どうしてダメなの?」
「そんなの嘘に決まっていますわ!」
エミリは必死に取り繕う。
「話しぐらいは聞いてあげてもいいじゃない?」
王女がそういうと今度は王子が文句を言った。
「こんな女の証言に真実なんてないに決まってます!」
「聞くぐらいはいいでしょう?私達を説き伏せる事に失敗すれば死刑なのだし、成功すれば真犯人を死刑にする。それだけのことよ?それとも、何か不都合なことでも?」
「……」
「……」
その言葉に2人は押し黙った。
「では、続けます。」
アンは一息つくとすぐに話しだした。
「エミリが最初に起こした奇跡、これは日照りの村に雨を降らせる、と言うものでした。」
「ええ、私があの村を救ってあげたの!それが何か?」
「それは違いました。あの村だけ雨が降らないように魔法をかけていたのです。」
「?!」
「これが近隣の村の降水量の記録です!」
アンはその村の近隣の村の降水量を記した記録を見せる。
「!?」
エミリは青ざめた。
「これは!」
兵士の1人がそれを受け取ってみた。
「確かに近隣の村には雨が降った記録がある。だが、これがどうしたと言うんだ?」
「簡単なことです。その村だけ雨が降らなくて周辺の村は雨が降っている。これは魔法によって雨が降らないようにされていた証拠です!」
「ふんっ!バカね!そんなので証明になるとでも?それに、私がしたと言う証拠でもあるの?」
「あるわよ。これはエミリが奇跡を起こした日の記録よ!」
「!?」
「その日は雨が周辺の村にも降った。」
「私が降らせたのよ!」
「おかしいわね?雨を降らせることができるなら日照りになる前に他の村から雨雲をもって来ればいい。本当は日照りになる前に雨を降らせられたんじゃない?」
「!それが何?困ってない人達のところに雨なんて降らせないわよ!」
「おかしいのは貴方よ。この村だけ雨が降らないのに急に雨を降らせるなんて無理だわ!」
「くっ!」
「じゃあ、次の奇跡について説明するわね。」
「狼でしょ?私が追い払ったのよ!」
「いいえ、違うわ!」
「はぁ?」
「証人は前へ。」
そこに現れたのは村の子供だった。アンは子供に城で証言をしてくれるように頼んでいたのだ。
「あのね、僕見たんだ!エミリ様が笛を吹いて狼を追い払ってくれたの!」
「ほら、私が追い……っ?!」
「笛を吹いて……?」
王子が不意に違和感に気づく。
「そう、狼はエミリが用意したものだった!」
「ふふふ、そんなわけないでしょ?!何処に証拠があるの?!」
「証人、お願いします!」
そこにいたのはペットショップの商人だった。
「このお嬢ちゃんならきたよ!狼を10匹買って行ってくれた。」
「嘘つきよ!嘘!そんなわけないわ!」
「嘘じゃないさ。これがその時の購入記録だ!」
「!?」
「ふざけないで!私の奇跡がインチキだとでも言うの?!」
「ええ、そうよ!証人前へ。」
最後に向かった村の住人達が証言してくれた。
「エミリ、あの女は私達を騙しました!」
「泥を金塊に見せかけて私達を騙した!」
「おかげで私達は今、以前よりもジリ貧の生活をしています!」
「うぅっ!」
「エミリ、観念なさい。そして、これは国王を殺害した証拠です。」
アンは黒い石を見せる。
「はぁ?それはあんたのポケットからでてきたものでしょ?」
「あら、私、ポケットからでてきたなんて言ったかしら?」
「!?」
「この石を貴方が私のポケットに入れた時、貴方は素手だった。」
「!?」
「そう、ここにあなたの指紋が付いてる。」
「っ!?」
「そして、この薬の帳簿!」
「なっ?!なんで、それが、ここに?!」
「ここに貴方が国王に使っていた薬が明記されているわ。最後に使った薬、それはニラ。」
「は?ニラで人が死ぬわけ……」
「ええ、実際に使われたのはニラではありません。水仙の葉っぱです。」
「!?」
エミリは震えだした。
「それが何?水仙なんて城でも咲いてるわよ?」
王女はアンに問う。
「水仙の葉には毒があり、最悪の場合死にいたります。」
「嘘よ!嘘!私はニラを使っただけで……」
「どうしてニラを使ったの?」
「どうしてって、そんなのニラで健康になるからよ!」
「そんなわけないわよ?」
「確かにただのニラにそんな力はない。エミリ、俺達を騙してたのか?!」
王子もそう言い始めた。
「そんな、の、嘘……」
「諦めなさい!エミリ!」
「!待ちなさい!最初の罪!貴方が犯した罪がまだ残ってる!」
「……エミリ、分かってるでしょ?それも嘘よ。私は免罪だった。」
「証拠は?証拠はどこよ!?」
「あの日、私は王子を殺そうとした罪をきせられた。でも、本当は違う。私は何もしていない。」
「口だけ?証拠だしなさいよ!」
「証拠は、王子、貴方はもう知っているでしょう?」
「!……それは……」
「な、何を言って?!」
「嘘だと思いたかった。まさか君が、俺を殺そうとするなんて……さっきの黒い石で気がついたよ。あの石と同じ石で俺は呪われた。その石の所有者がエミリなら、俺を殺そうとしたのもエミリ……」
「王子!そんなわけ、ないでしょ?」
「…………」
王子は黙った。
「…………ふふふふ、そう、もう信じてくれないのね。」
「エミリ、罪を償いなさい!」
アンがそういうとエミリは笑いだした。
「…………ふはははははっ!バカね!大人しくしていればいいものを!」
エミリはアンに隠し持っていた短剣で襲いかかった。
「きゃ?!」
「ふっ……?!」
エミリの短剣はアンを貫くことはなかった。
「……へ?!」
「?!」
アンの目の前には銀髪のイケメンがエミリの攻撃を止めていた。銀髪イケメンはエミリを難なく捕まえる。
「だ、誰?!」
「アン様、私です。AIです!」
「え、…………ええええええええええ?!」




