第3話
午後になって再び業務に戻る。皿洗いをしていた。しかし、案の定うまくいかない。その場を洗剤で、泡だらけにしてしまった。スマホを見る。画面には
「効率的対処法を提示。洗剤を付けすぎです。2、3滴で大丈夫です。まずは付けすぎた泡を流しましょう。」
「なるほど!」
まず泡を流して、洗剤を2、3滴スポンジに付けて洗った。今度は泡だらけにならずに済んだ。
「さすが、私の相棒!」
それからアンはお皿をうまく洗って行く。もう少しで終わると言う時だった。思いっきり何かにぶつかられる。
「きゃ?!」
ガッシャーン。お皿を滑らせて割ってしまった。お皿は粉々になる。
「あら、何してるの?ダメじゃない、お皿片付けときなさいよ?ふふふ。」
なんて、ぶつかってきたメイドが笑いながら去ってゆく。片付けようと破片を手で持ってしまった。
「痛っ……」
アンは手を切ってしまった。血が流れる。
「どうすれば……」
アンは不安から少し泣きそうになった。するとポケットのスマホが震える。
「?」
「危険!危険!まず手当てすることを提案します!薬をぬって包帯を巻いてください。」
言われた通りにした。
「でも、お皿を片付けなきゃ……」
画面が危険信号から変わる。
「効率的対処法を提示。箒ではいて塵取りに破片を入れ、次に袋に入れて片付けてください。破片は触らないようにしてください。」
アンは言われた通りにしてみた。うまく破片を片付けることができた。次に乾いた洗濯物の取り込みである。取り込んでからクローゼットへと運ぶ。クローゼットへと服をかけた。
「これぐらいなら私にもできるわ!」
そう思っていた矢先に廊下を歩いていると掃除していたメイドがバケツの水を零す。
「きゃ?!」
「まあ、何してるの?鈍臭いわね。片付けておきなさい!」
「……は、はい。」
わざとだ。分かっている。だが今は怒れる立場ではなかった。アンは床に零れた水を拭き取り、着替えた。それから夕飯の準備をする。ここでも問題が起こった。
食事を運んでいるとメイドがぶつかってくる。
「どこ突っ立ってるのよ?!片付けて新しい料理を用意しなさい!!」
「は、はい……。」
メイド達からの嫌がらせが続く。料理とお皿を片付けて新しい料理を調理し始める。わからないことはAIに聞いて何とかなった。料理長からは大目玉くらったが……。
「はぁ、なんとかなった……」
夜になる。アンは夕食を食べ終えてお風呂に入って眠ろうとしていた。
「今日も疲れたぁ。でも、……」
スマホを見る。
「上手く出来たわ!貴方のおかげよ!ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして。これが私の仕事ですから。」
と、画面に映る。
「それにしてもメイド達からの嫌がらせにどう対処すれば……。」
そう呟いた時、スマホの画面が変わる。
「私に良い提案があります。」
「?!」
翌日、アンは早速AIの言った通りにしてみることにした。
掃除していると置いてあったバケツをメイドがびっくり返す。辺りは水浸しになってしまった。
「あら、ごめんなさい。片付けておいてね。」
なんて言って去ろうとするメイドの足元を魔法で凍らせた。案の定水浸しの床は氷になりメイドはつるっと滑って転んだ。
「きゃぁ?!」
「何してるんですかぁ?先輩?」
これがAIが提示した解決方法である。
「あんた!魔法が少し使えるからって!」
メイドがアンを殴ろうとする。その時、ちょうど爺やが通りかかった。計算通りである。アンは爺やが、この時間のこの場所を通って朝の運動をしに外に出ることを知っていた。
「何をしている!?」
爺やの怒号が響く。
「は?!違っ!?違います!これは……」
「お嬢様に何をしようとした!?」
「これは……その、お嬢様が……そ、それに元お嬢様ですし……」
メイドはあたふたして誤魔化そうとするが時既に遅し。
「馬鹿者!!お前も同じようにしてやろう!」
爺やはメイドを殴ろうと拳を握り締め振りかざす。
ガンッ。
「「?!」」
その拳を受け止めたのはアンだった。
「爺や、まだ殴られてないわ。やり過ぎよ。」
「お嬢様!しかし!」
「しかしじゃない!暴力はいけないわよ。」
「……承知いたしました。失礼しました。」
そう言って爺やは日課の運動をする為に外へと出ていった。
「………」
「申し訳ありませんでしたー!」
メイドも謝るや否やすぐにその場から去っていった。
「全く、爺やは過保護なんだからぁ。」
床の凍った水を魔法で水に戻す。
「どっちにしても、これ私が片付けるのね、あはは……。」
なんて乾いた笑顔で掃除した。次に皿洗いである。昨日のようにお皿を洗っているとさっきとは別のメイドがぶつかってきた。AIはもしメイドがぶつかってきた時のための対処法を教えてくれていた。アンの周りに洗剤を撒いておくのだ。そうすることによって……。
「きゃ?!」
メイドは滑ってそのまま壁に激突して床に伸びた。
「痛ったぁ……貴方、こんなことして許されると……」
メイドが壁に激突した拍子に机の上にあった包丁が落ちてメイドの顔へと落ちて行く。
パシッ
「きゃああああああ……あ?」
メイドは目を開けると目の前に包丁の先が自分の顔の上にあった。ギリギリのところでアンが包丁を掴んでくれたのだ。
「大丈夫ですか?先輩?気をつけてくださいね?」
「………っ!」
メイドは恐怖で震えながらその場を去った。
次に、料理を運んでいると別のメイドがぶつかって来ようとした。アンはAIの指示通りに別のルートで料理を運んだ為、料理は無事届けれた。厨房へ戻ろうとしていた時、階段を通るとぶつかって来ようとしていたメイドに出会う。メイドは獲物を見つけたと言わんばかりにぶつかろうとした。しかし、足を滑らせてしまい階段から落ちる。
「きゃあ!?」
アンは魔法でそれを受け止めた。
「……あ、あれ?」
「大丈夫?気をつけてくださいね。」
「……」
メイドはそのまま去って行った。こうして全ての嫌がらせを攻略したアン。そんなアンに危機が迫っていることをアンはまだ知らない。スマホが怪しげに光を放つ。
雨が降り出す。その日は暗雲が立ち込めていた。王城にて、王子の使用人が王子に、アンの事を報告しようとした。
「王子、アン・スチューシーのことですが……」
「なんだ!?アン?いや、そんな昔の女は忘れた!今忙しい、後にしてくれ!それより、エミリ!エミリはどこだ!?」
「はい、ここにおります。」
エミリが王子の部屋へと入る。
「エミリ!大変なんだ!実は……」
雷が落ちる。それは国を揺るがす大事件へと至る。




