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序章:残響と再始動
冷たい雨が打ちつける廃倉庫。胸を撃ち抜かれたダンワーは、溢れ出る鮮血を抑える気力さえ失っていた。目の前には、長年影として支えてきた主が冷酷な銃口を向けて立っている。
「君は知りすぎたんだよ、ダンワー。賢すぎる駒は、盤上には不要だ」
放たれた弾丸が彼の意識を闇へと突き落とす。薄れゆく意識の中で、燃え盛るような憎悪が最期の願いとなった。(もし、もしも時間を巻き戻せるのなら……貴様らすべてを破滅させ、私は誰よりも高い場所、誰も届かぬ絶対的な権力の座に立ってやる)
鼓動が止まったはずの瞬間、猛烈な眩暈と共に視界が開けた。
「……はぁ、はぁっ!」
荒い息をつきながら飛び起きた場所は、見覚えのある古いアパートのベッドの上だった。震える手でスマートフォンの画面を確認する。2019年2月9日。
死の直前からちょうど七年前。まだ何も失っていない、そしてすべてを手に入れることができる始まりの日。ダンワーの瞳に宿ったのは、かつての従順な影ではなく、冷徹な支配者の光だった。
「さあ、始めましょう。この世界の経済も、政治も、すべて私の手の中に」




