序章7:接触 - 学園都市コロニー・ルウム (7) 予期せぬ小さな親切
ミネバに言われ、一人でホテルの部屋を出たアウロラ・レヴィアは、学園都市ルウムの賑やかな通りを歩いていた。
ネオンサインが煌めき、行き交う人々で溢れかえっている光景は、アウロラにとって異質で、落ち着かないものだった。
ネオ・ジオンの施設での生活とはかけ離れた喧騒の中、アウロラは自分が何をすればいいのか分からず、ただ人波に身を任せていた。
ミネバから渡されたクレジットを手に、何か食べ物を買おうと店を探していたのだが、どこも人が多く、何を売っているのかもよく分からない。
アウロラは、一つの屋台の前で立ち止まった。
美味しそうな匂いが漂っているが、注文の仕方が分からず、戸惑っていた。
周りの人々は慣れた様子で店員に声をかけ、食べ物を手に入れている。アウロラは、どうすればいいのか分からず、ただ立ち尽くすばかりだった。
その時、一人の少年がアウロラに気づき、声をかけてきた。
「何か困ってますか?」
アウロラが顔を上げると、そこに立っていたのは、明るい笑顔を浮かべたレイ・ナーバスだった。
レイは、先ほど通りを歩いていた時に、アウロラがふと目に留まった少年だった。
特に何かあったわけではないが、レイはアウロラの様子が少し気になっていたのだ。
アウロラは、少し警戒しながらも、正直に答えた。
「…食べ物を買いたいのですが、どうすればいいのか分かりません。」
レイは、アウロラの言葉に少し驚いたようだったが、すぐに笑顔になった。
「ああ、なるほど。これ、美味しいんですよ。僕が注文してあげますよ。」
レイは、慣れた様子で屋台の店員に声をかけ、アウロラにおすすめだという軽食を注文した。
アウロラは、レイが手際よくやり取りをする様子を、少し不思議な気持ちで見ていた。
レイは、アウロラに注文した食べ物を手渡した。
「はい、どうぞ。これ、美味しいから。」
「…ありがとうございます。」
アウロラは、お礼を言いながら、レイから食べ物を受け取った。
温かい食べ物を手にすると、少しだけ心が安らいだ気がした。
「よかったら、少し一緒に歩きませんか? 他にも色々お店がありますよ。」
レイは、アウロラにそう誘った。アウロラは一瞬躊躇したが、一人でいるよりはいいかもしれないと思い、小さく頷いた。
「…はい。」
レイは、嬉しそうに笑うと、アウロラを近くの店へと案内し始めた。
言葉数は少ないながらも、レイはアウロラに色々な店のことを教えてくれた。
アウロラは、レイと行動を共にするうちに、少しずつ緊張が解けていくのを感じていた。
予期せぬ出会いが、アウロラのルウムでの時間を、少しだけ温かいものに変えていた。




