序章6:接触 - 学園都市コロニー・ルウム (6) シャトルの中の思惑
ネオ・ジオンのシャトルは、静かに宇宙空間を航行していた。その一室で、レオ・ヴァンシュタインは、窓の外に広がる星々を無言で見つめていた。
彼の精悍な顔には、普段の忠誠心に加えて、複雑な感情が入り混じっていた。
「ミネバ・ラオ・ザビが、ルウムに…」
ナナイからの命令は、レオにとって予想外のものだった。
ミネバは、かつてジオンの象徴として担ぎ上げられた存在だが、今のネオ・ジオンにおいて、彼女は表舞台から姿を消している。
そのミネバが、なぜこのタイミングで、このような場所に現れたのか。
レオの脳裏には、ナナイの言葉が蘇る。
「…ビスト財団との関わりを探るんだ。もし、連中がシャア総帥に関わる何かを掴んでいるとしたら…」
ナナイはそこで言葉を切り、レオにだけ聞こえるように付け加えた。
「…あくまでも秘密裏に、状況を把握しろ。無用な騒ぎは避けろ。」
シャア・アズナブル。
絶対的な忠誠を誓う男の名を思い浮かべると、レオの胸には熱いものがこみ上げてきた。
総帥は今、深い眠りについている。
ネオ・ジオンは、ナナイが必死に支えているものの、その未来は不透明だ。
もし、ミネバが、あるいはビスト財団が、シャアの状況を打開する鍵を握っているとしたら…。
しかし、レオの心には、それだけではない、別の感情も渦巻いていた。
シャアが不在の今、ネオ・ジオンを率いるべきは誰か。ナナイは有能だが、彼女はあくまでシャアの代弁者に過ぎない。
真に組織をまとめ、新たな時代を築けるのは、自分ではないのか。
ルウムでミネバに接触し、ビスト財団の情報を得る。
それは、シャアのためになるはずだ。
だが、その過程で、ミネバがどのような動きを見せるのか。そして、ビスト財団が何を企んでいるのか。
それらを見極めることは、今後のネオ・ジオンの主導権を握る上で、大きな意味を持つかもしれない。
レオの視線は、窓の外の星から、自身の手に握られた通信機へと移った。
与えられた任務を遂行し、シャアのためになることを成し遂げる。
そして、その先に待つ未来を、彼は静かに見据えていた。
ルウムへの到着は、単なる情報収集の始まりではなく、彼の野心が動き出すきっかけとなるだろう。




