再会 - 学園都市コロニー・ルウム (5) 歪む思惑
薄暗い照明の研究室の一角で、ナナイ・ミゲルは複数のモニターに映し出されたデータを静かに見つめていた。
そこは、表向きは医療研究施設とされているが、実際は極秘裏に進めている研究の拠点の一つだった。
限られた研究員だけが立ち入ることを許されたその場所は、常に静寂と緊張感に包まれていた。
研究員たちが忙しなく作業を行う中、ナナイは静かに報告を聞いていた。
モニターには、複雑な数式や実験データが映し出され、時折、生体反応を示すグラフが点滅していた。
「…ラー・カイラムが、ルウムに到着したとの報告です。ロンド・ベルのMS部隊も確認されています。」
研究員の一人が、ナナイに報告した。
「ラー・カイラム…なぜ、このタイミングで…?」
ナナイは、低い声で呟いた。
ルウムでは、ミネバ・ラオ・ザビとビスト財団の会談が行われている。
その裏で、連邦軍がどのような動きを見せているのか。
ナナイは、警戒心を強めた。
(シャア…)
ナナイの脳裏には、意識不明のシャアの姿が浮かぶ。
もし、このままシャアが帰ってこなかったら…。
ネオ・ジオンは、その象徴を失い、求心力を失ってしまう。
そして、ナナイ自身も…。
ナナイは、その不安を打ち消すように、モニターに映し出されたデータを注視した。
そこには、ルウム周辺の宙域の監視映像が映し出されていた。
「現在、状況を監視しております。」
ナナイは、研究員に状況を報告させた。
その直後、別の研究員が慌てた様子で報告してきた。
「ナナイ様、レオ・ヴァンシュタインが独断で緊急態勢を取ったとの報告が入りました!」
「レオ…!なぜ、秘密裏に行動しろと伝えたのに…!」
ナナイは、眉をひそめた。
彼女の指示とは異なる行動に、ナナイは驚きを隠せなかった。
「すぐにレオに連絡を繋いでください!」
ナナイは、研究員に指示を出したが、通信は繋がらなかった。
「通信が繋がりません!ミノフスキー粒子の影響で、レオとの通信が遮断されているようです!」
研究員が焦った様子で報告した。
「一体、何が起きているの…?」
ナナイは、モニターに映し出されたルウムの映像を睨みつけた。
ラー・カイラムの到着、そしてレオの独断行動。
それぞれの思惑が複雑に絡み合い、事態は予期せぬ方向へと進み始めていた。
(ラー・カイラム…そしてレオ…。それぞれの思惑が、複雑に絡み合っている…。)
ナナイは、そう感じながら、今後の対応を検討した。
彼女の心には、シャアへの想いと、ネオ・ジオンを、そして自身の拠り所を守るという強い意志が宿っていた。




