表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

序章10:接触 - 学園都市コロニー・ルウム (10) 別れと小さな約束

クレープを食べ終え、レイはアウロラをいくつかのお店に案内した。

ゲームセンターの前を通った時、レイは少し興奮した様子で


「あ、このゲーム面白いんですよ!」


と声を上げたが、アウロラが特に興味を示さなかったので、すぐに別の話題に移した。


二人が並んで歩くうちに、コロニーのネオンサインが昼間とは違う輝きを放ち、夜の帳が下りてきた。


アウロラはふと空を見上げた。

コロニーの人工的な星空は、現実の星空とは違うけれど、それでも時間が過ぎたことを静かに告げている。


「そろそろ、時間です。ミネバ様のところに戻らないと。」


アウロラがそう言うと、レイは少し寂しそうな顔をした。


「そう、ですよね…」


「今日は、ありがとうございました。」


アウロラは、レイに向かって静かに言った。

その表情は、出会った時よりも少し柔らかくなっていた。


「いえいえ、僕の方こそ、色々話せて楽しかったです!」


レイはそう言うと、少し照れくさそうに、でもどこか思い切ったように言った。そして、ポケットから何か小さなものを取り出した。


「あの…これ、学園祭の入場チケットなんです。もし、本当に都合が良かったら、これ、使ってください。」


レイは、少し不安そうにしながら、小さな紙片をアウロラに差し出した。

アウロラは、それを静かに受け取った。


「…ありがとうございます。」


「はい! もし来れるようだったら、嬉しいな。」


レイはそう言って、ハッとした。


「あ、そうだ! 色々話したのに、僕、まだ名前言ってなかった! 僕、レイって言います! レイ・ナーバス。」


アウロラは少し驚いたが、すぐに答えた。


「アウロラです。アウロラ・レヴィア。」


「アウロラさん、ですね! じゃあ、今日はここで。また、もし会えたら!」


レイは、少し照れながらも笑顔で手を振って、人混みの中に消えていった。

アウロラは、レイの背中をしばらく見送っていた。

胸には、初めて感じる、小さな戸惑いと、渡されたチケット、そして今知ったばかりの名前への、ほんの少しの期待感が混じり合った感情が残っていた。


ホテルに戻ったアウロラは、ミネバが部屋で待っているのを見つけた。


「おかえり、アウロラ。」


アウロラは、今日あったことをミネバに報告し始めた。


「今日、街でレイ・ナーバスという少年と出会い、一緒に過ごしました。」


それを聞いたミネバは、目を丸くして、パッと顔を輝かせた。


「まあ! 男の子と!? どんな男の子なの? 学園祭に誘われたの? チケットまでもらっちゃったのね! それは素敵じゃない! レイ・ナーバスくんっていうの? ふふっ、アウロラにも、やっとそういうお年頃になったのね!」


ミネバは、目をキラキラさせて、頬を少し赤らめ、年相応の好奇心と、からかうような可愛らしい表情で言った。


「ですが、ミネバ様の護衛という任がありますし…」


アウロラは、いつものように言ったが、ミネバはそれを軽く制した。


「あらあら、そんなに堅く考えなくてもいいのよ。たまには、そういうのもいいじゃない。それに、アウロラがレイくんとそんな風に知り合えたなんて、なんだか私も嬉しいわ。もちろん、無理強いはしないわ。でも、もし少しでも興味があるなら、行ってみてもいいかもしれないわね。学園祭、私もちょっと興味あるわ!」


ミネバの言葉に、アウロラは少し驚いた。

ミネバは、いつも自分のことを気遣ってくれる。

アウロラは、手の中の小さなチケットを見つめた。


レイ・ナーバス。


その名前が、モノクロだったアウロラの心に、かすかな色を灯したような気がした。

学園祭。

まだどうするか分からないけれど、アウロラの心には、小さな波紋が広がっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ