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異世界ゆるふわ冒険譚 〜引きこもり最強の俺は、家から一歩も出ずに世界を救う〜  作者: 沼口ちるの


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第八話:実妹、襲来!賢者の自室は戦場となる

賢者代理機が時空の狭間に旅立ち、「理の楔」の修復作業が進められている最中、零の自室に、アステラ世界とは別の、しかし零にとって最大の危機が訪れた。


玄関のドアが開く音と、賑やかな声が聞こえた。


「ただいまー!お兄ちゃん、生きてるー?」


それは、零の実の妹、神崎かんざき 一花いちかだった。大学で一人暮らしをしているが、長期休暇で実家に戻ってきたのだ。


零は驚愕し、ヘッドセットを慌てて外した。


「おい、ちょっと待て!聞いてないぞ!なんで帰ってきてるんだ!」


零の部屋のドアが勢いよく開けられた。一花は、零の部屋の惨状を見て、目を輝かせた。


「わー、相変わらずゴミ屋敷だね!ピザの空き箱とエナドリ缶の芸術作品!ちょっと、お兄ちゃん、空気入れ替えようよ!」


一花はそう言うと、窓を開け、零が長期間閉め切っていた神聖な引きこもり空間に、容赦なく外の光と新鮮な空気を持ち込んだ。


「やめろ!俺の結界が!光が眩しい!埃が舞う!」


零にとって、一花の行動は、魔王軍の総攻撃よりも深刻な「快適さの崩壊」だった。


一花は、散乱した部屋を気にせず、ベッドに腰掛けた。


「ねぇ、お兄ちゃん。私、暇なんだよね。ゲーム一緒にやろうよ!あ、その前に掃除ね!はい、これ!」


一花が零に手渡したのは、最新型の強力なコードレス掃除機だった。


「お兄ちゃんの部屋、ホコリでマナが淀んでそうだよ?健康に良くないって!」


「マナが淀んでるんじゃない!これは俺の安寧のための『結界の壁』なんだ!」


零が掃除機を突き返そうとした瞬間、『全知の窓』が大きな警告音を発した。


【緊急通知:賢者代理機、修復作業中に予期せぬエネルギーロス!】


原因: 時空の狭間における『異物』との接触により、機体の推進力が低下。


推定侵入者: 次元を彷徨う『時のゴミ』。


零は焦った。代理機が機能停止すれば、レベルシステムは崩壊したままとなり、最終的に自分が外に出る羽目になる。


「くそっ、このタイミングでトラブルか!」


零は、目の前の掃除機を一花から奪い取った。


「一花、ちょっとどいてろ!緊急事態だ!」


零は、この最新型掃除機を『自動錬成』の対象に指定した。


「錬成開始!時空のゴミを吸い取るための、次元超越型、『究極の吸引機ディメンション・クリーナー』を生成する!」


掃除機は激しい光を放ち、先端が巨大な吸引口に変わり、本体は零の魔力を吸収して無限のパワーを発揮する、銀色の兵器へと変貌した。


「よし、リリアーナ!代理機の座標をこの掃除機に転送!時空の狭間のゴミを一掃する!」


掃除機は唸りを上げ、零の自室から『次元郵便』で瞬時に時空の狭間へと転送された。


その瞬間、隣で見ていた一花が拍手をした。


「わー!すごい!お兄ちゃんの趣味の改造ロボット?それにしても、うちの掃除機がこんなに光るなんて知らなかった!」


一花は、零が世界を救うために必死になっていることなど知る由もない。彼女の目は、零のローテーブルに積み上げられた、最新のゲームソフトに向かっていた。


「ねぇ、お兄ちゃん。掃除機を改造する暇があるなら、ちょっとこのゲーム手伝ってよ!私、ここでレベル上げ面倒くさいんだよね」


零は、目の前の『全知の窓』で、究極の吸引機が時空のゴミをゴォォォォと吸い込み、代理機を救出する様子を見守りながら、背後からの一花の要求に頭を抱えた。


「ああ、分かったよ……。だが、まずはそこのピザの空き箱を片付けろ。それがこのゲームの『最初のクエスト』だ」


こうして、異世界の危機と、実妹による「自宅の衛生危機」という二つの戦いに、神崎 零は巻き込まれていくのだった。

いかがでしたでしょうか。今回は、シリアスな危機を背景に、零にとって最も厄介な敵である実妹の一花を投入しました!


「家の掃除」という、引きこもりにとって最上位の面倒事を持ち込む一花は、魔王よりもタチが悪いかもしれません。零が必死で世界を救うために掃除機を改造している横で、それを「お兄ちゃんの趣味」と誤解する対比が、ユーモアを際立たせたかと思います。


結局、零が最強の吸引機を錬成した理由は、「自宅の安寧のため」と「妹の要求から逃れるため」の両方という点がポイントです。


次回は、時空の狭間から帰還した賢者代理機と、その代理機を「新しいおもちゃ」と勘違いする一花との遭遇を描く予定です。


読んでくれて、本当に感謝です!

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