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異世界ゆるふわ冒険譚 〜引きこもり最強の俺は、家から一歩も出ずに世界を救う〜  作者: 沼口ちるの


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第六話:ピザ危機一髪!玄関の配達員安全保障

「まずい、これは非常にまずい!」


神崎 零は、自室の椅子の上で、まるで世界が滅亡するかのように焦っていた。昨日、盗賊団を撃退するために玄関先に敷設した摩擦係数ゼロの「絶対に滑る氷床」が、今朝、彼の生命線であるピザの配達を脅かしていたからだ。


『全知の窓』で配達員の現在地を確認する。あと五分で到着する。


「リリアーナ!急げ!今すぐあの床を元に戻せ!」


魔法陣の部屋から顔を出したリリアーナは、泣きそうな顔で訴えた。


「零様、あの氷床は強固な魔力で固定されており、私程度の魔法では解除できません!このままでは配達員さんが滑ってピザを空中分解させてしまいます!」


「空中分解!?それは絶対に阻止しなければならない!」


零にとって、ピザを落とされることは、魔王の復活よりも深刻な事態だった。彼は一瞬で思考を巡らせた。床を元に戻すのは時間がかかる。なら、配達員が滑らないようにすればいい。


零は、目の前にあった履き古したスリッパをターゲットにした。


「よし、『自動錬成』発動!異世界の素材を使って、最強の『滑らない靴底』を生成する!」


スリッパは光り輝き、次の瞬間、ソール部分が異世界の最強の滑り止め素材、「巨人の舌苔」という名の、強烈な粘着力を持つ素材に変化した。


「これを『次元郵便』で、配達員さんの足元に転送!」


配達員は、異世界の勇者たちとは違い、一般人である。直接、足に履かせるのは倫理的にも面倒だ。零は、配達員が玄関前にバイクを停める、その一歩手前の地面に、靴底強化用の粘着シートとして転送した。


アステラの王都近郊のピザ屋で働く配達員、ケンジは、いつも通りバイクを運転していた。


「今日はいつもより道が滑るな……。あ、この先に変な家があるんだよな」


ケンジがバイクを停め、降りた瞬間。


ペタッ!


彼の靴底が、地面に転送された粘着シートに触れ、瞬時に最強の滑り止め靴底へと強化された。ケンジは全く気づかない。


ケンジはいつものように玄関に向かって歩き出した。そして、零が作った摩擦係数ゼロの「絶対に滑る氷床」を踏みしめた。


ツルッ!……とはならなかった。


最強の滑り止め素材は、超絶氷床に完全に吸着し、ケンジの足はまるで重力に固定されたかのように、一歩一歩、確実にかみ締めて進むことができた。


零は『全知の窓』で、ケンジがまるで月面を歩くかのように、慎重かつ安定して歩く様子を眺め、胸をなでおろした。


「ふう、危なかった。配達員安全保障の完了だ」


ケンジは玄関に到着し、インターホンを鳴らした。


「ピザお届けに参りましたー」


零はリモートでドアを開け、魔法陣の部屋にリリアーナを呼び寄せた。


「リリアーナさん。報酬のエナドリ無限供給と引き換えに、このピザを受け取ってくれないか。俺はドアを開けるのも面倒だし、出て行きたくない」


「は、はい!喜んで!」


リリアーナがピザを受け取り、ケンジに代金を支払おうとした瞬間、ケンジが自分の足元を見て首をかしげた。


「あれ?なんか、今日、靴底がすごい強力になってるな……。全然滑らないぞ。もしかして、これが最近流行りの異世界テクノロジーってやつか?」


ケンジは、零の家の玄関の、見た目は普通なのに全く滑らない階段に感動し、その靴底の感触を楽しんでいるようだった。


そして、その日の夕方。零がゲームに熱中していると、『全知の窓』に新たな通知が届いた。


【アステラ王国民の声】


「王都のピザ屋の配達員ケンジの靴が異常に滑らないと話題に!」


「伝説の賢者が、滑りやすい冬道の安全対策として『神の靴底』を開発したに違いない!」


【緊急募集】 賢者様!王都の滑りやすい階段にも同じ靴底を転送してください!


零はため息をついた。


「またかよ!俺はただピザが欲しかっただけなのに、なんでまた世界の安全対策に貢献してるんだ……本当に面倒くさい」


しかし、彼の指はすでに『全知の窓』で、王都の滑りやすい階段の座標を指定していた。なぜなら、その階段で人が滑って怪我をすると、「賢者の自宅へのピザ配達が遅延する可能性」があるからだ。


彼の引きこもり生活の安全を守るため、零は今日も、意図せず世界をより住みやすい場所へと変えていくのだった。

第六話、いかがでしたでしょうか!


今回のテーマは「ピザは絶対守る」という、零くんのブレない信念です。盗賊撃退の後の問題が「配達員の安全」という流れは、さすがに賢者(引きこもり)の思考回路ならではですよね(笑)。


最強の滑り止め素材が「巨人の舌苔」とかいう、いかにも異世界っぽいけど雑なネーミングになってるところも、零くんの適当な錬金術の賜物です。そして、全く気付かない配達員ケンジ。彼もまた、零の引きこもり伝説を支える影の功労者です。


結局、自分の利益のためにやったことが、巡り巡って世界を救う(滑らない階段を作る)という、このゆるいループがこの物語の魅力!


次回は、この「滑らない靴底」ブームに乗って、アステラ世界のファッション業界が大混乱するかもしれません!


読んでくれて、マジでサンキューな!

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