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異世界ゆるふわ冒険譚 〜引きこもり最強の俺は、家から一歩も出ずに世界を救う〜  作者: 沼口ちるの


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第四話:迷惑系配信者、異世界をバズらせる

ネット回線問題が解決し、新作MMOを心ゆくまで堪能していた零だったが、数日後、再び『全知の窓』に騒がしい通知が殺到した。


【アステラ王国民の声】


「伝説の賢者が、王城の屋根に巨大なパラボラアンテナを設置したらしいぞ!」


「勇者ガリオス、賢者様からもらった謎の椅子で一日中休憩中!」


「最近、空からピザの箱が降ってくるんだが、あれは聖遺物か?」


零は舌打ちをした。


「なんだよ、うっせぇな。俺の配信画面の右下に通知が重なって見づらいだろ」


リリアーナが、怯えた様子で報告に来た。


「零様……ご乱心かと。先日、マナの流れを回復させるために、零様が大量に転送した『ハイパー・ドリル』の起動の様子が、なぜか一部の住民に『天変地異の予兆』として目撃されてしまいまして……」


「それがどうした。世界が救われたんだから感謝しろよ」


「それが……その目撃情報をもとに、一人の吟遊詩人が『賢者様伝説』として、零様の奇行の数々を脚色して歌い始め、それが大流行しています」


零は『全知の窓』で、アステラ王都の広場を映した。そこでは、吟遊詩人が得意げに歌っていた。


「聴けよ、皆!賢者様は、伝説の武器ではなく、『極楽の椅子』を授け、勇者に休息の重要性を説いた!」 「賢者様は、邪悪な魔力の淀みを嫌い、『神のアンテナ』を王城に立てて、世界の声を聴いているのだ!」


「やべぇ。俺、完全に迷惑系賢者扱いされてるじゃねぇか」零はうんざりした。


「しかも、その吟遊詩人が、零様の**『次元郵便』**の転送跡地に勝手に『聖地』を作り、巡礼者が集まり始めています。王国は大混乱です!」


零は頭を抱えた。自分の引きこもり生活を快適にするための行動が、意図せず異世界で「バズ」ってしまい、社会現象になっている。これは非常に面倒くさい。


「あの吟遊詩人をどうにかしないと、俺の存在が公になりすぎて、『賢者様、一度でいいから王都へ来てください』とか言われかねない。それは絶対に避けたい」


零は即座に解決策を考えた。この手の「迷惑な人気者」を黙らせるには、その人気を上回る「真の面白さ」で視聴者(ここでは王国民)の興味を奪うしかない。


「よし。俺も配信者として対抗する」


零は、自室の配信機材を操作した。


「『全知の窓』の機能をフル活用する。吟遊詩人のライブの真横に、巨大なホログラム映像を映し出せ!」


零は、アステラ王都広場の吟遊詩人の真上に、巨大な透明な壁のようなホログラムを展開した。


『全知の窓』が捉えたのは、古代竜の抜け殻を粉砕する『ハイパー・ドリル』の迫力ある映像。それに加え、零が『自動錬成』で作った大量のインスタント食品が、彼の自室に転送される様子を、リアルタイムで放送し始めた。


そして、零はホログラムに巨大なテロップを流した。


【神崎 零のリアル引きこもり伝説:世界を救う秘訣は快適なインドア生活】


速報: 賢者が昨日食べた夕食は『激辛チーズ味の異世界ポテチ』


本日の一言: 「勇者は椅子で休め。俺は家でゲーム。これが世界の真理。」


王国民は、吟遊詩人の歌よりも、空中に現れた巨大な「賢者のプライベート配信」の映像に釘付けになった。


「な、なんだあの映像は!?賢者様は、毎日、天界の食べ物を大量に集めていらっしゃるのか!」


「いや、あの『ポテチ』とかいう四角いもの。あれこそが、世界を救うエネルギー源に違いない!」


吟遊詩人のライブは一瞬で人がいなくなり、王国民の話題はすべて「賢者の今日の夕食」に移った。


零は自室でヘッドセットを外し、ふぅと息を吐いた。


「よし、これでしばらくは大丈夫だろ。迷惑系には、もっとスケールのでかい迷惑をぶつけて、話題を上書きする。これ、配信の基本」


零は、これで平和が戻ったと安堵し、ゲームを再開した。しかし、彼の知らないところで、王国民は零の『激辛チーズ味の異世界ポテチ』を求めて、新たな騒動を巻き起こし始めていたのだった。



よっしゃ、第4話も楽しんでいただけたでしょうか!


今回は、零くんの行動が思わぬ形で異世界に広まってしまう、「意図せぬバズり」がテーマでした。引きこもりの最大の敵は「注目されること」ですからね。それを避けるために、さらに大騒ぎを起こすという、完全に「火事場にガソリンを撒く」ような解決策を選んでしまうのが零くんらしいです。


吟遊詩人より、自分の『飯テロ配信』の方がウケる、と判断するところも最高に現代的で適当ですよね(笑)。


次回は、零の愛する「異世界ポテチ」を巡って、アステラ世界で貿易戦争でも起こるかもしれませんね!


また次の話でお会いしましょう!読んでくれてありがとう!

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