第三十二話:カオス極まる対面!主婦とポジティブビジネスが異世界で激突
零は自室で、家族と元カノ・筋肉が異世界で暴れる地獄絵図を監視していた。彼の平穏は完全に失われていた。
「もうダメだ。俺の家が『次元を超えた家族旅行とビジネスの拠点』になってしまった……」
アステラ王国の王都付近の森。一花、健太、綾乃の最強パーティーは、巨大化した有機野菜(母親の魔法の副作用)の森を抜けていた。
「すごい!こんなに大きなニンジン、動画映えするね!」一花は巨大ニンジンを背景に自撮りをしていた。
「この豊かな土壌、間違いなくポジティブな経済の基盤になる!」健太は巨大なカブを軽々と持ち上げ、ポジティブな身体強化魔法の威力を誇示していた。
そのとき、森の中に、突然スーツケースを持った父親の悟が、ホログラム契約書を掲げながら転移してきた。
「おっ、一花!いたか!ちょうど良かった!今、この森一帯を『ポジティブ・オーガニック・リゾート』として開発する契約を王室と結んだところだ!さあ、お前も契約書にサインだ!」
「パパ!?なんでここに!?」一花は驚いた。
その直後、今度はエプロン姿の母親の葵が、手に持ったタッパーから「愛妻弁当」を取り出しながら転移してきた。
「悟さん!こんなところで何してるの!有機野菜の栄養を勝手にビジネスに利用しないで!せっかく注入した栄養が、あなたの無計画なビジネス熱で台無しになるわ!」
「葵!これは無計画ではない!宇宙の法則に基づいた、ポジティブな事業展開だ!」
主婦力(葵)とポジティブビジネス(悟)が、アステラ世界で激しく衝突した。二人の魔力が、互いを打ち消し合うように、強烈な波動を放ち始めた。
「わあ!夫婦喧嘩だ!しかも異世界で!」一花は即座にスマホを構えた。「みんな!今日の動画は『異世界で繰り広げられる、次元を超えた夫婦喧嘩』だよ!」
零は自室で、その光景を見て、頭痛が最高潮に達した。
「くそっ、家族の喧嘩が、異世界の物理法則を歪ませているだと!このままでは、次元ゲートが暴走し、俺の部屋がブラックホールになる!」
零は、このカオスな状況を一瞬で解決するため、究極のチートを使うことを決意した。しかし、これ以上魔力を込めたアイテムを錬成しても、誰かが覚醒するだけだ。
零は、自分のゲーミングポッドの隅に置いてあった、小さな木製のコマを手に取った。
「錬成!家族の争いを収めるための**『強制的な集中力と安息の魔力』を注入する。素材は、アステラの最高級安眠ハーブと、『俺がゲームに集中している時の無敵の精神状態』**の記憶!」
零は、そのコマをリビングのテレビゲートに向けて投げ込んだ。
アステラの森。夫婦喧嘩が最高潮に達し、次元の歪みが発生し始めた瞬間、小さなコマが彼らの足元で回り始めた。
ブゥゥゥゥン……
コマが発する『強制的な安息の魔力』は、夫婦喧嘩の熱、健太のポジティブ、綾乃のオカルト探求心、一花の配信欲、全ての覚醒したエネルギーを強制的に鎮静化させた。
悟は、契約書を抱えながら、急に眠くなった。「うむ……最高にポジティブな眠気だ……」
葵は、タッパーを抱えながら、あくびをした。「あら……なんだか急に、午後のティータイムがしたくなったわ……」
健太は、岩を抱えたまま、瞑想を始めた。「この静寂……真のポジティブは、無の境地だった……」
綾乃は、ユニコーンを撫でながら、静かに微笑んだ。「これこそ、宇宙の究極の安息ね……」
一花は、動画を撮影しながらも、急に眠気に襲われた。「Zzz……動画……編集……」
そして、彼らは全員、その場で静かに眠り始めた。ユニコーンも、ミニバハムートも、優しく目を閉じた。
零は、自室で安堵の息をついた。
「よし。『究極の安眠コマ』で、全ての覚醒者を眠らせることに成功した。俺の平穏は、安眠によってのみ守られる!」
零は、眠っている家族全員を、リモート錬成で自宅のベッドに送り戻した。そして、リビングのテレビゲートを、永久に閉じられるよう設定し直した。
こうして、神崎 零は、自宅から一歩も出ることなく、最強の覚醒者たちによる宇宙規模の家族トラブルを、『安眠』という、究極の引きこもり解決法で終結させたのだった。
エピローグ
数日後。神崎家は再び平和を取り戻した。
零は自室で、誰にも邪魔されずにゲームを楽しんでいる。リビングでは、家族が普通の日常を送っている。
しかし、零だけが知っている。
アステラ王国の王都では、「賢者様の家族が残していった巨大なコマこそ、究極の平和をもたらす聖遺物だ」と、大いに信仰され始めたことを。そして、そのコマを回すたびに、王国民全員が最高にポジティブな眠気に襲われるという、新たなカオスが生まれていることを。
零はため息をついた。「俺のチートは、やっぱり**『世界に迷惑をかける』**運命なんだ……」
だが、彼の安穏とした引きこもり生活は、しばらく続きそうだった。
読んでくれて、マジでサンキューな!これにて、ひとまずこの物語を締めさせていただくぜ!
また逢う日まで!




