第二十六話:過去の亡霊、現る!元カノと異世界配信の共鳴
妹の一花は、ミニバハムートを抱きかかえ、リビングのテレビゲートからアステラ世界へ旅立つ準備をしていた。零は自室の『全知の窓』で、健太の次元侵入トレーニングの様子を監視し、さらに一花の異世界での安全確保のためのチートを仕込んでいた。
「よし、一花のスマホに『危険感知と自動帰還』の魔力を注入。これで何かあればすぐに戻ってくるだろう」
零がそう安堵した瞬間、インターホンが鳴った。
零は『全知の窓』で玄関の様子を確認し、固まった。そこに立っていたのは、数年前に別れた零の元カノ、水沢 綾乃だった。
「水沢……綾乃……!なぜ、今さらここに……!」
綾乃は、零が大学時代に付き合っていた女性で、当時も零の引きこもり体質を理解しつつも、最終的に「外の世界」を選んで別れた、零にとって「最も平穏を乱した人物」の一人だ。
綾乃が玄関のドア越しに呼びかけた。「零くん、いるんでしょ?連絡先が変わってたから、直接来ちゃった。ちょっと、話したいことがあるの」
零はパニックになった。「過去の面倒」が、「現在の平和」を脅かしに来たのだ。
「くそっ、このタイミングで元カノだと!?今、リビングは次元ゲートだぞ!」
零は、一花に急いでメッセージを送った。
【零(兄)】 「一花、すぐにテレビゲートを閉じろ!玄関に過去のトラブルの残骸が来ている!絶対に見せるな!」
しかし、一花はメッセージに気付かない。彼女は、リビングのテレビゲートの前で、ミニバハムートと共に視聴者に向けて挨拶していた。
「みんな!これからミニバハムーと、アステラ王国の新しいダンジョンに突撃するよ!今日の動画は神回確定!」
零は、仕方なく自室のドアを静かに開け、リビングに向かう通路を覗き見た。
その隙に、母親の葵が玄関に出て、綾乃を招き入れてしまった。
「あら、綾乃ちゃんじゃない!久しぶり!零がずっと引きこもってるから、心配してくれたのね!」
葵は、零の元カノを「零を外の世界に連れ出してくれる救世主」だと信じているため、大歓迎だった。
綾乃は、リビングに入り、異様な光景を見て固まった。
「あ、あの……テレビが、なんか外につながってるみたいだけど……」
リビングのテレビゲートには、今まさに、一花とミニバハムートが、アステラの森の中に入っていく映像が、鮮明に映し出されていた。
一花は、テレビを背にして綾乃に気づいた。
「あ、誰?お兄ちゃんの知り合い?見て見て!今から異世界で最強の動画を撮るんだ!」
綾乃は、一花と、テレビに映るアステラの森を見て、目を大きく見開いた。そして、突然、真剣な顔つきになった。
「あ、あなたたち、その異世界……どうやって繋がったの!?」
綾乃の様子がおかしいことに、零は『全知の窓』で気づいた。零は、大学時代、綾乃が「オカルトや未確認生命体」に異常な興味を持っていたことを思い出した。
零の元カノ、水沢綾乃は、「UMAや異次元の存在」を追い求める、筋金入りのオカルトマニアだったのだ。
綾乃は、リビングの床に描かれた魔法陣の跡や、ミニバハムートを熱心に見つめた後、零に向かって叫んだ。
「零くん!あなた、まさか本当に異世界にアクセスする技術を開発していたの!?私はあの頃、あなたの『引きこもりは異世界からの情報収集のため』と言ってたのを信じていたのに!」
零は頭を抱えた。自分の引きこもりの理由が、元カノのオカルト趣味と、妹の動画配信という、最も面倒な二つの要素によって、今、白日の下に晒されようとしていた。
「ち、違う!これはただの高性能なプロジェクションマッピングだ!」
しかし、一花は真実を暴露した。
「嘘だよ!綾乃さん!お兄ちゃん、これを使ってピザを異世界に転送したり、魔王軍を掃除機で吸い込んだりしてるんだよ!」
綾乃の興奮は頂点に達した。彼女は、目を輝かせながら、零の手を掴んだ。
「零くん!私、あなたと別れた後、ずっと未知のエネルギーを追いかけていたの!お願い!その技術、私にも教えて!異世界でUMAを捕まえる動画を撮らせて!」
零は、自分の平和が、元カノのオカルト趣味と妹の配信者魂のコラボレーションによって、完全に崩壊しつつあることを悟った。
よっしゃ、第二十六話!元カノ登場で、零くんの平静が乱れまくりだ!
零くんの元カノがまさかのオカルトマニア!零くんのチートが、彼女の「異次元の存在を追い求める願望」と完璧にマッチしてしまい、零くんの秘密が絶体絶命のピンチに!
しかも、妹の一花ちゃんは、平気で兄の秘密を元カノに暴露しちゃうという、最強のトラブルメーカーぶりを発揮。これからは、「引きこもり賢者」VS「オカルト元カノ」VS「配信者妹」の三つ巴の戦いが始まりそうです。元カノが異世界でどんなUMAを見つけるのか、楽しみですね!
次回は、元カノが異世界に乗り込もうとするのを、零くんがどう阻止するか、という展開にしようかな!
今回も読んでくれて、マジでサンキューな!またよろしく頼むぜ!




