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異世界ゆるふわ冒険譚 〜引きこもり最強の俺は、家から一歩も出ずに世界を救う〜  作者: 沼口ちるの


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第二十二話:好奇心は世界を超える!妹、アステラへ行く

失恋の痛手から立ち直るため、一花は零に勧められた新作MMOに熱中していた。零は自室のゲーミングポッドで、今日も静かにゲームをプレイしている。平和な引きこもり生活が戻ってきたかに見えた。


しかし、零は気付いていなかった。一花が、零の部屋にある魔法陣の部屋に、異常なほど興味を持っていることを。


一花は、零の部屋の掃除をしようと、零のゲーミングポッドの周りをウロウロしていた。彼女の足元には、零が錬成に使った際に、微量の魔力を吸い残した古いタオルが落ちていた。


「この部屋、お兄ちゃんの秘密基地みたいで、本当に面白いんだよね」


一花は、興味本位で魔法陣の部屋のドアを開けてみた。中には、複雑な魔法陣が描かれた床があるだけで、特に変わった様子はない。


「これが噂の『次元郵便』の場所か。お兄ちゃん、これでピザとか送ってるのかな」


一花は、落ちていた古いタオルを拾い上げ、無意識に魔法陣の床を拭き始めた。


零が錬成に使ったタオルには、微量の魔力が残存していた。そして、魔法陣の床を拭くという行為は、魔法陣の「起動」を意味する、極めて危険な行為だった。


零の部屋の『全知の窓』が、突如として赤く点滅し始めた。


【警告】


魔法陣の異常起動: 転送対象の魔力が、転送先の次元に存在する「転送対象と波長が一致する生命体」に強制的に固定されました。


転送対象: 神崎 一花


転送先: アステラ王国、王都の広場


「な、なんだと!?一花が、魔法陣を掃除し始めた!?」


零が慌てて振り返った瞬間、一花は激しい光に包まれ、「わあ!お兄ちゃん、蛍光灯が切れたのかな!」という呑気な言葉を残して、姿を消した。


零は絶叫した。


「ああああ!最悪だ!一花がアステラ世界に転移しただと!?」


これまで、零が世界を救うために家から出なかったのは、自分の安寧のためだ。しかし、一花が転移したとなると話は別だ。


「あのポジティブで好奇心旺盛なバカが、魔術師ギルドに見つかったら、俺の存在が公になる!もし、魔王軍の残党に見つかったら、俺の家族が人質になる!それは絶対に避けなければならない!」


零は、自室のゲーミングポッドの中で、初めて**「自宅の外で起こっていること」**に対して、深刻な危機感を覚えた。


零は即座に『全知の窓』で、アステラ王都の広場を映し出した。


広場の中央に、突然、現代の服装をした一花が出現した。


「あれ?ここ、どこ?照明器具、すごい派手だね!」


一花は、集まってきた騎士や魔術師たちを見て、目を輝かせた。


「わー!すごい!みんな、コミケのコスプレ、めちゃくちゃクオリティ高いじゃん!ねぇ、これ、配信したら絶対バズるよね!」


一花は、異世界の危機的状況を理解するどころか、**「最高の動画ネタ」**を見つけた、と大興奮していた。


騎士団長が、一花を取り囲んだ。


「貴様、どこから現れた!?その奇妙な服装は何だ!?」


「えー、これ、ただの服だよ?それより、あなたたちの衣装、どこで買ったの?ちょっとカメラ回していい?」


騎士団長は、一花が身につけているスマホを見て、魔導具だと勘違いし、剣を抜いた。


「その怪しい魔導具を捨てろ!賢者様の遣いか!?」


零は、この騒ぎを自室で見て、頭を抱えた。


「くそっ!一花をすぐに戻さないと!だが、人間を転送するには、膨大な魔力と、転送された人間と波長が合う物体が必要だ……」


零は、部屋の中を見回した。一花と波長が合い、転送のための魔力をすぐに錬成できる、最高のアイテム。


彼の視線が、一花が置いていったスマホに向けられた。


「よし、決めた。一花を戻すためのアイテムは、『妹専用、強制帰還式モバイルバッテリー』だ!素材は、俺の魔力と、妹のスマホの充電切れの恐怖の記憶を融合させる!」


零は、スマホを錬成し、即座にアステラ王国の広場に転送した。


広場で騎士に囲まれていた一花の足元に、突然、巨大なモバイルバッテリーが出現した。


「わあ!お兄ちゃん!モバイルバッテリー!気が利くー!」


一花は、騎士団長が警戒する中、そのモバイルバッテリーを手に取った。


「これで充電が持つよ!最高のネタが撮れる!」


一花がモバイルバッテリーに触れた瞬間、零が設定した『強制帰還魔術』が発動した。光と共に、一花は王都の広場から姿を消した。


零の部屋。一花が、巨大なモバイルバッテリーを持ったまま、元の場所に帰ってきた。


「ただいまー!お兄ちゃん!すごかったよ!あの人たち、演技派だね!でも、なんで私、帰ってきたの?」


零は深くため息をついた。


「もう二度と、俺の部屋の床を掃除するな。特に魔法陣はだ」


こうして、零は自宅から一歩も出ることなく、妹の異世界での遭難を、「充電」という名目のチートで解決したのだった。

よっしゃ、第二十二話!ついに妹が異世界へ行ってしまったぞ!


零くんにとって、自分の身近な人間が異世界に行くのは、自分の引きこもり原則を脅かす最大の危機です。解決策が、妹の「スマホの充電切れの恐怖」を利用した強制帰還なんて、あまりにも現代的で笑えますね!妹は、異世界で命の危険を感じるどころか、「コスプレ最高!動画ネタ最高!」と大喜びしているのが、この物語のゆるさの肝です。


次回は、この「巨大モバイルバッテリー」が、アステラ世界でどんな聖遺物として崇められるか、そして、その映像を撮った一花ちゃんのチャンネルがどうなるか、その辺を描きましょうか!


今回も読んでくれて、マジでサンキューな!またよろしく頼むぜ!

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