第二十一話:破局の連鎖!異世界を襲う失恋の嵐
佐藤健太は、零の呪いのおかげで極度のアウトドア派に戻り、二度と零のゲーム空間に近づかなくなった。零は、これで平和が訪れたと安堵していた。
しかし、健太がインドアからアウトドアに急転換したことは、妹の一花との関係に大きな亀裂を生んだ。
「お兄ちゃん!聞いてよ!」
一花が、泣きそうな顔で零の部屋に駆け込んできた。
「健太がね、私と会っても『公園で筋トレしよう』とか『登山が最高だ』とか、そればっかりなの!全然、家でゆっくりしてくれない!彼はもう、私の知ってる健太じゃない!」
「ふむ。当然だ。俺がそう仕向けた」零は冷静に答えた。
「だから!さっき、別れてきた!」
「そうか。お疲れさん」
零は淡々としていた。面倒な侵入者がいなくなり、自分の聖域が守られたのだから、零にとっては最も平和的な結末だ。
しかし、零は知らなかった。健太の別れ話が、異世界に甚大な影響を及ぼしていることを。
健太に施した「体感型汚染アイテム」の呪いを解除した際、零は「失恋の感情」という、極めて強いネガティブな感情を、異世界の魔力資源に混ぜて処理していたのだ。
零は、いつものように『全知の窓』でアステラ王国の様子をチェックした。
王都の広場には、王国の老若男女、さらには騎士や魔術師までが泣き崩れていた。
リリアーナが、憔悴しきった様子で魔法陣の部屋から報告してきた。
「零様!大、大変です!昨日の午後から、王国全土で『失恋の連鎖』が起こっています!街中の恋人たちが、次から次へと『外での活動に対する意見の不一致』を理由に別れを告げています!」
零は驚愕した。「失恋の連鎖?」
「はい!原因は、突如として世界全体を覆った『強烈な別れの予感』の魔力です!このままでは、少子化が進み、王国が滅びます!」
『全知の窓』には、悲劇的な映像が映し出されていた。
【王都の広場】
騎士: 「すまない、君。僕は、馬に乗って遠くまで冒険に行くのが最高なんだ。君の『家で刺繍をしたい』という考えは、もう理解できない……」
魔術師: 「さようなら、君。私の趣味は『一人で静かに魔法の理論を研究すること』だ。君の『毎週末のバーベキュー』には、もうついていけない……」
零は悟った。一花と健太の破局の際に放出された、「外と内」の価値観の対立による別れのエネルギーが、次元の歪みを通じてアステラ世界に拡散し、全てのカップルの潜在的な不満を増幅させていたのだ。
「くそっ、妹の恋愛が、アステラ世界の出生率を脅かすなんて……!このままでは、人口が減り、ピザの需要がなくなる!」
零にとって、世界の危機とは常に自分の利益に直結していた。
零は、この広がる「失恋の嵐」を止めるため、**「新たな出会いの強制」**を行う必要があった。
零は、自室の床に散らばっていた、大量の漫画雑誌をターゲットにした。
「錬成開始。失恋を打ち消す『運命の赤い糸』を生成する。素材は、異世界の高級マナ結晶と、ラブコメ漫画の甘い展開の魔力を融合!」
零は、生成された、見た目は普通の赤い毛糸を、アステラ王国の王都上空に『次元郵便』でばら撒いた。
その瞬間、空から降ってきた赤い毛糸は、別れたばかりの騎士や魔術師の手首に、ランダムに結びつき始めた。
赤い毛糸に繋がれた人々は、強制的に視線が引き寄せられ、運命的な出会いを果たしたと錯覚した。
「あ、あなたは……!この赤い糸は、運命の証!」
「ああ!君こそが、僕の『次の冒険のパートナー』だ!」
失恋した者たちは、新たな出会いに熱狂し、たちまち再婚ブームが巻き起こった。
零は、この騒動を自室で見て、ふぅと息を吐いた。
「よし。これで少子化の危機は回避したな。しかし、俺のチートは、漫画雑誌と毛糸で世界を動かすとは……。相変わらず雑だ」
零の自室では、一花がまだ涙を拭いていたが、零はそっと彼女のスマホに新しいゲームの通知を送った。
「泣いている暇はないぞ。新作ゲームのリリースだ。新しい出会いは、ゲーム内で探せ」
妹の破局は、異世界に大混乱をもたらしたが、最終的に零の雑なチートで、より活気ある(そして運命が歪んだ)世界へと導かれたのだった。
よっしゃ、第二十一話!妹の破局を、異世界全土の少子化危機にまで発展させるという、ドでかい展開になりました!
失恋の原因が「外での活動に対する意見の不一致」で、それがアステラ世界にまで波及するってのが、いかにも零くんのチートの副作用らしい皮肉な結果ですね。
そして、その解決策が『漫画雑誌のラブコメ展開の魔力』を込めた赤い毛糸!もう、世界を救う手段が適当すぎて最高だろ!これ、次回は「この赤い毛糸で繋がったカップルが、全部ラブコメのようなドタバタな関係になって、世界中が騒がしくなる」っていう展開にでもしようかな?
妹の一花ちゃんには、とりあえずゲームの世界で新しい出会いを探してもらうとしよう。
今回も読んでくれて、マジでサンキューな!またよろしく頼むぜ!




