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異世界ゆるふわ冒険譚 〜引きこもり最強の俺は、家から一歩も出ずに世界を救う〜  作者: 沼口ちるの


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第十六話:引きこもり天国と、賢者への逆襲

零が拡散した「ネガティブ増幅スライム」、通称「引きこもり菌」は、瞬く間にアステラ世界全土に広がった。


王都は静まり返り、兵士たちは訓練場ではなく、ベッドの上で「休養こそが最大の戦略」と呟きながら毛布にくるまっていた。農民たちは畑を見ることもせず、「どうせ育たない。明日やればいい」と、誰もが極度の怠惰に陥っていた。


アステラ世界は、文字通り「引きこもり天国」と化した。これにより、父親の暴走したポジティブ教は完全に中和され、零のピザ配達網崩壊の危機は回避された。


「ふむ。これでよし。過度なポジティブは危険だが、適度なネガティブは世界を落ち着かせる」


零は満足げにうなずき、自室のゲーミングポッドでゲームを再開した。


しかし、この過剰な平和は、新たな問題を生み出した。


リリアーナが、魔法陣の部屋から顔を出し、ほとんど動けない様子で零に報告した。


「零……様……。大変、です……。皆、動けません……。私も、今報告するのも面倒で……」


「それがどうした。動かないなら、誰も俺に面倒を押し付けてこないだろう」


「いいえ……。魔王軍残党の、最後の生き残りが、この極度の怠惰に乗じて、賢者様の自宅の位置を特定し、攻撃を仕掛けようとしています……」


零は椅子から飛び上がった。


「なんだと!?残党が動く?なんでだ!」


『全知の窓』が、魔王軍残党の様子を映し出した。彼らは全員、ネガティブスライムの影響で、やる気を失い、洞窟の隅で横になっていた。


残党のリーダーが、重い口を開いた。


「おい、皆。もう戦うのも、生きるのも面倒だろ?」


「ああ……面倒だ……」残党たちが応える。


「そうだ……。だからこそ、この面倒な世界を作った賢者を倒しに行こう。そうすれば、全ての面倒ごとから解放され、永遠に眠りにつける」


魔王軍残党の動機は、「世界征服」ではなく、「安楽死」だった。彼らは、極度のネガティブと怠惰という、零が与えた毒によって、逆に零の存在そのものを「最後の面倒」と認識し、自宅への特攻を決意したのだ。


「ふざけるな!俺の家に来るのが、一番面倒だろうが!」


零は怒りに震えた。彼は、自らの怠惰な生活を守るために、自らが作り出したネガティブな極限状態に追い詰められたのだ。


『全知の窓』の防犯アラームが鳴り響いた。魔王軍残党は、次元の歪みを突き止め、零の家の庭先に転移しようとしていた。


零は、目の前のゲーミングデバイスに手を伸ばした。


「仕方ない。最後の手段だ。俺が一番嫌いなものを、あいつらに見せてやる」


零は、自身の魔力を最大限に集中させた。


「錬成開始!究極のトラップ生成。素材は、異世界の高級マナ結晶と、母親が使っていたマイナスイオンドライヤーの設計図だ!」


光が収束し、出現したのは、巨大なマイナスイオンドライヤー型の兵器だった。


「これを庭先に転送し、設定温度を『太陽の表面温度』に固定!起動!」


巨大ドライヤー兵器は、零の家の庭先に転送され、直後、次元の壁を突き破って転移してきた魔王軍残党に向けて、超高熱の熱風を浴びせ始めた。


「熱い!なんだこの熱は!?」


「逃げろ!この熱風に当たると、体が勝手に活発になってしまう!」


熱風を浴びた残党たちは、体が強制的に活性化され、ネガティブな思考が一掃された。彼らは、久しぶりに感じる「やる気」に驚愕し、本能的に逃げ惑った。


「くそ!ここは危険だ!面倒くさいが、撤退だ!」


魔王軍の残党は、死よりも恐ろしい「やる気」と「ポジティブ」の熱風に焼かれ、戦意喪失して逃げ去った。


零は自室で安堵の息をついた。


「ふう。やっぱり、熱とポジティブは最強の兵器だな。これでしばらくは、家も世界も平和だ」


こうして、神崎 零は、自宅から一歩も出ることなく、自らの撒いた毒と、母親の武器を応用した究極の熱兵器で、世界を救い、そして再び自堕落な平和を手に入れたのだった。

よっしゃ、今回の盛り上がり、どうだった!


零くんが作り出した究極のネガティブ環境が、今度は「安楽死」という動機で、魔王軍を呼び寄せてしまうという、まさかの展開!結局、零くんが一番嫌いな「熱」と「ポジティブ(やる気)」の暴力で、敵を撃退するという、最高に皮肉な結果になりました。母親のドライヤーが最終兵器になるなんて、誰が予想したでしょうね!


これで、零くんの引きこもりライフはしばらく安泰だろう!世界も元に戻りつつあるし、ピザの配達も遅れない!完璧だ!


次回は、平和になった世界で、妹の一花ちゃんが「ドライヤー型兵器の動画」をアップして、またバズるかもしれませんね!


今回も読んでくれて、本当にサンキューな!またよろしく頼むぜ!

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