表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ゆるふわ冒険譚 〜引きこもり最強の俺は、家から一歩も出ずに世界を救う〜  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/32

第十四話:父の帰還と一夜限りの団欒大戦

母親のハンバーグ作戦に屈服した後、零は自室のホコリを慌てて錬成魔力で浄化し、床の安全を確保していた。その夜、一家団欒のリビングに、さらなる存在が加わった。


「ただいま。ただいま戻ったぞー!」


それは、零と一花の父親、神崎かんざき さとるだった。長期の海外出張から帰ってきたばかりだ。


リビングに一家四人が揃うのは久しぶりだ。零は逃げ場のない状況に、内心で冷や汗をかいていた。


「パパ!おかえり!」一花は喜び、父に抱きついた。


「ただいま、一花。零も元気そうだな。部屋から出てきてえらいぞ!」


父の言葉に、零はそっけない返事をした。


「別に。ハンバーグがあるから出てきただけだ」


父親の悟は、見た目は温厚だが、実は超ポジティブ思考の持ち主。零の引きこもり体質を「個性」として受け入れつつも、時折、的外れな「ポジティブ圧」をかけてくる、零にとって油断ならない人物だ。


食卓には、母親特製のハンバーグが並んだ。


「お兄ちゃん、ハンバーグ大きすぎない?これ、何人前?」と一花が尋ねる。


「これは零の『賢者特盛』よ。いっぱい食べて、しっかり体力つけなさい」と葵が微笑む。


零はハンバーグに集中しようとするが、父親が話しかけてきた。


「零、お前、最近またゲーム三昧なんだろ?いいぞ!ゲームで培った集中力は、ビジネスでも最強のスキルだ!その力を活かせば、お前は世界中を飛び回れるぞ!」


「飛び回らない。俺は家から一歩も出ない」零は即座に否定した。


「そうか、そうか!家から出ないなら、世界中から優秀なビジネスパートナーを家に呼び寄せるのも面白いな!その強大なコネクション力、すごいぞ!」


零の頭に、以前、母親にマイナスイオンドライヤーでドアを熱せられた時の恐怖が蘇った。「ビジネスパートナー」という名の、見知らぬ他人が家に来ることは、引きこもりにとって絶対的な悪夢だ。


零は、目の前のハンバーグに集中しながら、テーブルの調味料にそっと手を伸ばした。


零は、父親のポジティブ思考を阻止するため、テーブルの上の胡椒の瓶に『自動錬成』を発動させた。


「錬成!胡椒の粒子に『思考停止魔力ストップ・シンキング』を微量混入。対象はポジティブ思考のみ。『ポジティブ遮断スパイス』生成!」


生成された胡椒を、零は父親のハンバーグに、さりげなく大量に振りかけた。


「パパ、ハンバーグには胡椒たっぷりかけると美味しいよ」


「お、そうか!零が勧めるなら間違いないな!」


悟は豪快に胡椒のかかったハンバーグを一口食べた。


次の瞬間、悟は口元を押さえて、急に静かになった。


「うむ……このハンバーグは……究極に美味しい……。そして、明日も会社に行く……。それだけだ」


悟から、ポジティブすぎる発言や、零の人生に対する的外れな激励が一切消え、ただ目の前の事実だけを述べる「静穏モード」に突入した。


一花は首を傾げた。「あれ?パパ、なんか静かじゃない?」


葵は微笑んだ。「あら、悟さん、今日は本当に疲れていたのね。ゆっくり休みなさい」


零は内心でガッツポーズをした。


「よし。これで誰も俺を外に誘い出さない。最高のハンバーグと、静かな団欒……」


しかし、一花が零の超高性能ゲーミングポッドの話を始めた。


「ねぇ、パパ。零の部屋、私がお金出して、すごい改造ロボみたいになっちゃったんだよ!今度パパも見てあげて!」


零は再び冷や汗をかいた。父親のポジティブ思考が停止しても、妹の無邪気な暴露癖は止まらない。零の自室が「ロボット」と認識されると、今度は「宇宙工学」などと言い出して、研究者や役人が家に来る可能性が生じる。


零はすぐに『全知の窓』で一花のスマホに干渉し、強制的に『最新ゲームのダウンロード通知』をポップアップさせた。


「あっ!このゲーム、新作だ!お兄ちゃん、私、早く自分の部屋に戻ってダウンロードしなきゃ!」


一花はハンバーグを慌てて平らげ、自室へと戻っていった。


こうして、家族団欒という名の難易度の高いクエストを、零はチートと胡椒によって乗り切ったのだった。

家族団欒回、楽しんでいただけましたでしょうか!


今回は、最強の敵「母親」のハンバーグを背景に、「父親」のポジティブ思考による無自覚な圧力という、別の脅威に立ち向かってもらいました。胡椒に「ポジティブ遮断魔力」を込めるという、日常品を使ったチートは、零くんの雑な錬成の極みですね。


そして、娘の暴露癖を「新作ゲームの通知」で阻止するというのも、現代的な引きこもり賢者らしい解決法です。結局、零くんは、誰にも邪魔されない快適な引きこもり生活のためなら、家族の思考すら操作してしまうという、徹底した利己主義を貫きました。


さて、次回は、胡椒の効き目が切れた父親が、アステラ世界にどんなポジティブな影響を与えてしまうのか、見てみましょうか!


今回も読んでくれて、本当にサンキューな!またよろしく頼むぜ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ