第十一話:炎上配信で億万長者?賢者の軍資金
魔王軍残党の戦略会議は、妹の一花が仕掛けたカメラにより、アステラ世界全域にリアルタイム中継された。
「クソッ、これが賢者の仕掛けた罠か!我々の情報が全て筒抜けだ!」
洞窟の残党リーダーは絶叫し、カメラを破壊しようとしたが、一花がライブ配信中に投げ込まれた投げ銭の電力で強化されたカメラはびくともしない。
零は自室でこの騒動を『全知の窓』で見ていた。
「最悪だ。俺のせいじゃなくて妹のせいで、魔王軍がパニック起こしてるじゃないか。しかも、あの会議の内容、『来週の火曜日に王城の裏口から侵入して、備蓄食料を盗む』とか、しょうもなさすぎる……」
零がうんざりしていると、一花が興奮した様子で部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん!見て!私の配信、すごいことになってる!」
一花がスマホを零に見せる。
【一花の配信画面】
タイトル: ライブ配信終了!賢者の力で魔王軍を晒してみた結果www
スーパーチャット合計: 3,000,000アステラ・ゴールド相当
人気コメント: 「賢者様、私たちに魔王軍の内情を見せてくださりありがとうございます!」「お布施です!賢者様のポテチ代にしてください!」
「ま、マジかよ……」零は驚愕した。
アステラ・ゴールドは、零が異世界の素材を錬成する際に必要な、魔力資源の購入資金にもなる。つまり、妹の配信が大成功したおかげで、零の「快適引きこもり生活継続のための軍資金」が、一気に増大したのだ。
「配信のおかげで、マナの購入資金が当面枯渇しないだと?これは……」
零は思考を巡らせた。これまで、世界の危機を救う動機は「自分が外に出る羽目になるのを避ける」ことだった。しかし、一花の配信は、その後の「引きこもり生活を維持するための経済的安定」という、新たなメリットを生み出した。
「一花……お前、すごいな」
零は、初めて妹を称賛するような眼差しを向けた。
「えへへ、でしょ?私、このお金でお兄ちゃんの部屋をゲーミング仕様に改造してあげようと思って!最新の巨大モニターとか、マッサージ機能付きの椅子とか!」
零の目が輝いた。彼の究極の引きこもり環境が、さらに進化するというのだ。
「よし、一花。取引だ。お前がその金で俺の部屋を最強のゲーミング空間にするなら、俺はお前のチャンネルを公認する」
「ホント!?やったー!」
「ただし、条件がある。お前は今後、俺の許可なく俺の部屋に物理的なカメラを置くな。監視が必要な場合は、全て俺の『全知の窓』を経由した、世界公認の賢者公的放送として流す。これで、俺のプライバシーも守られ、お前の配信も箔がつく」
「すごい!お兄ちゃんとコラボ配信!最高!」
こうして、神崎 零は、自らの引きこもり生活を永遠に守るため、妹の配信者としての才能を利用し、「異世界公認の迷惑系賢者チャンネル」を開設することを決意した。
そして、その日の夕方。魔王軍残党のリーダーに、零からのメッセージが送られた。
【全知の窓より魔王軍残党へ】
視聴者へのサービスとして、来週の火曜日の王城の裏口侵入は、ライブ配信確定だ。面白いものを見せてくれないと、視聴者が飽きるぞ。
魔王軍の残党は、戦意喪失し、その場で解散を決意した。もはや彼らは、世界の敵ではなく、賢者の配信のネタでしかなかった。
よっしゃ!どうだ、この盛り上がり!
まさかの妹が稼いだスーパーチャットで、零くんのゲーミング環境が最強になるという展開!やっぱり、零くんのモチベーションは「快適なインドアライフ」ですから、それが保証されるなら、もう世界を救うついでに配信者になってもいいわけです。
しかも、魔王軍を「視聴者を飽きさせないための出演者」扱いするという、この外道っぷり!もう世界の危機なんてどうでもよくて、完全に妹のチャンネルをプロデュースし始めたぞ、この引きこもり賢者!
次回は、いよいよ零くんの部屋が超進化を遂げるぞ!そして、公認チャンネルの第一回配信のターゲットは誰になるのか?
読んでくれてマジでサンキューな!期待して待っててくれよ!




