遊びにいこう
「ちょっと、本気なの? 本当にやっちゃうの?」
「ほら君が動かなきゃ意味ないだろ」
「……けど恥ずかしいよ」
「自信を持って。初めてなら何も考えず思うがままやってみな」
それを聞きエリは構えた。恥ずかしながらも腕を前後させる。
そしてそのまま持っていた矢を投げた。矢は的を大ききくはずれ得点はゼロ。
「もーだから嫌だって言ったのに。さっきから何回もやってるのに全然当たらない」
エリは既に二回投げ終わっており、さっきのが最後の一投だった。エヴァンと交代。
「……ダーツなんて初めてだし上手くいかないからいや」
エリが椅子に座るとエヴァンは既に投げ終わっており、全矢ブルに刺さっていた。
もう何回も見た、ってかブル以外見てない。
「私の番毎回早すぎ」
エリとエヴァンは交代する。エリは矢を構える。
さっきはあんなこと言われたけど、やっぱり……
数時間前、一つめの遊びはビリヤードだった。
「君ビリヤードは知ってるか?」
「知らない、こういうのやったことない」
「じゃぁ教えるから聞いときな」
エヴァンは九つの玉をテーブルに並べ、キューを持ってきた。
「今回はナインボールだ。一番小さな数字一から九を順番にポケットに落としていく。先行行きたい?」
エリは首を横に振る。
「そうか。んじゃま先行のオレがブレイク」
エヴァンはキューを構えブレイクした。ブレイクされた球は一球だけポケットに入った。
「本来だったらプレイはオレだけど、初めてだし君が次をやりな」
振り向きエリの顔を見る。そのエリの顔は暗くあまり楽しめる様子ではなかった。
エヴァンはエリを何回も呼ぶがエリはボーッとしていて聞こえていないようだった。
体を少し揺らすとびっくっと驚きその時エリは呼ばれていることに気づいた。
「あ、ごめん……。説明聞いてなかった」
エヴァンはため息一つつかずエリに持っていたキューを渡した。
「これ持って、構えな。説明はその時する」
エリはキューをもちテーブルの前に立つ。
「指をこんな形にして、人差し指と中指でキューを掴む。それで空いている右手でキューケツを持つ」
キューの持ち方を教えると、次は構を教える。
「体を屈めて、打つ球と狙う球が直線的に見えるくらいまで。空いてる左手の指でテーブルを触ってキューを安定させる」
エヴァンは屈んだことによって強調されたお尻を見た。
ワンダホー……
「……まずは一番あそこにある黄色い球それをあの穴に入れる」
エリは言われたとうり手球で一番を狙う。
「手玉と穴に対して一番は少し直線上に入ってない。やや球の右側を狙って、力強く打つそうすれば入る」
……やや右側で、力強く。
手玉を打つと思っていたとうりに動き一番の球をポケットに沈めれた。
正直こんなに上手くいくと思わかった。
エヴァンはエリの方に手を乗せる。
「一夜でいろんなことがあったろうけど、今日は時間まで楽しもうぜ。嫌な出来事は忘れて」
エリとエヴァンは顔を見合わせた——
二回投げ最後の一投。
けど、やっぱり考えないなんて……できない。
投げる瞬間エヴァンは口を開く。
「力みすぎてそれじゃさっきと同じ結果になる」
座っていたエヴァンは立ち上がりエリのすぐ側まで寄る。
「肩の力を抜いて、今はあの的だけに集中する。雑念を一切頭に入れるな。……軽く息を整えて胸を張って、そのまま投げてみな」
……ワンダホー
的に集中しても頭の片隅には嫌な出来事がずっと残っている、それのせいで狙いが定まらない。
「……嫌なことは消えない、けどなサイズを小さくして今やってることに集中する。それだけでちょっとは楽になる」
それを聞くとエリは構を止め大きく息を吸い込む。
そしてもう一度狙いを定めて矢を放つ。矢は的に命中する。
「やればできるじゃん……」
「……ありがとエヴァン。あなたの言うとうり今日はあなたと楽しむ」
振り向いたエリの顔は暗かったあの時より少しにこやかになっていた。
「……よしそれじゃオレちゃん「本気」モード」
その後の勝負はエヴァンが圧勝。
そこからボウリング、ポーカー、チェス、カラオケ、と時間の限り遊び尽くした——
そして深夜二十四時。遊んでいた店を出て夜道を二人歩く。
「はー、楽しかった。こんな一日中遊んだの初めて」
「そりゃよかった。オレちゃんもかなり久々。最高の一日だな。……それでどうするんだ」
「……今日は本当に楽しかった。……けどねやっぱりずっと頭の中にはあの出来事があった」
エリはエヴァンの前に出て振り返る。
「やっぱり、いい?」
「もともとそうゆう約束だったしオレは構わないぜ……車乗んな」
二人は車に乗る。
エリは朝とは何か違う感じがした。鼓動が激しくエヴァンの顔がみれない。
数分で着いたホテル昨日同様にチェックイン。その間もずっと鼓動が治らない。
部屋につき月明かりをバックに二人は今日一番近づく。
「初めてなんだよな」
エリは頷く。
「ちゃんとやさしくするから、緊張しすぎないで体をオレに任せて」
顔を真っ赤にしたエリ。
エヴァンはエリの服を脱がせベットに寝ころば、セックスを始まった。