計画
世界を白紙に戻す——
その文言から始まっていたメールは一見ありえないような内容だったが読み進めていくと現実味を増していく。
我々が密かに開発していた人間に驚異的な力を発現させる薬品、それがついに完成した。
「ミュータント血清」そう名付けられた薬品は、ノーマルな人間の力を数倍数十倍もしくはそれ以上の力を発現させる。それと同時に投与された人間は一つの特殊能力が備わる。
特殊能力に関してはそれぞれ能力が違い、その能力を事前に知ることは不可能。
そしてミュータント血清自体も適合者が少ない。被験者は現時点で七十三名のうちの適合者はたったの二名。他は全員死亡した。
原因としてはミュータント血清に被験者の体が耐えられず、その末死にいたる。
適合に成功したのはここ数日の間だ。そのときは被験者を肉体的精神的に苦痛を長期間与え、投与前には血液の流れを一旦止め投与後に再び血液を循環させたら適合に成功した。
だがやはり長期にわたる肉体的精神的苦痛は投与するまでもたず、苦痛を与えている間に被験者が死亡してしまう。けれどミュータントを操るのに精神を蝕む必要がある。
一年前に我々が起こした革命それは洗脳した人間を正確に操る実験の結果だ。
それを今度はミュータントで引き起こす。通常の人間ではやはり限界があるが、人間を遥かに上回るミュータントならば我々の計画「ノア」が遂行できる。
ミュータントの数を増やし第一段階目で日本を落とす。それに成功した暁には世界各国で同時多発的に革命を引き起こし全世界を白紙に。
これを読んでいたエヴァンは「頭イっちゃてるじゃん」そう呟いた。
全世界を白紙に、その後もメールは続いていた、けれど文があるわけでもないエヴァンは下へ下へスクロールしていく。
一番下につくとエヴァンは危機を感じた、その内容は。
エヴァン・ガーラン。
名前が記されていた。
そこからは記憶はなく気がつけば誘拐され拘束されいた。
あの時のメールの内容そしていま体感したことを掛け合わせるとどうも嘘ではなく本当のように感じる。
ミュータントの存在もノート・ジャガーがいることによって証明されている。
「……だったオレに飲ませた薬は何の薬だ。メールにはそんなことは書いてなかったし。ってことは洗脳にかかりやすくするやつか」
エヴァンは自分の吐いたところを見るが錠剤自体はすでに溶けている。
大きくため息をし、何か手を考えるがどうしてもノート・ジャガ―のことが頭によぎる。
人間であり人間でないそんな存在に、エヴァンの作戦はうまくいくビジョンが見えない。それにノート・ジャガーを抑えられたとしてももう一人のミュータントがどんなやつで誰なのか一切わからない以上、現状何も撃つ手がない。
「くそぉ。オレがあんな変態の下につくなんてごめんだ……全く最悪な日だ」
思考を回転させるがただ時間が経つ。
ドアのロックが解除される音がした。ドアが開くとノート・ジャガーがエヴァンを掴みまたどこかへ連れていく。
それからエヴァンは数々の精神的苦痛それと肉体的苦痛を味わった。
前と同じ溺死寸前になったら空気が吸えるやつだったり、高電圧を体に流されたり、ノート・ジャガーのサンドバッグになったり、白紙のことについての動画長時間ループされたり、食事を何日も与えられないなんてザラにあった。
そんなことが半年以上行われエヴァンは肉体的精神的に限界を迎えていた。




