王様を殴りました
18歳、高校3年生、艶のある髪をハーフアップにし、きっちりと制服を着こなしている少女、佐藤華は現在、異世界の王族の前にいる。華の周りには鎧を身にまとった兵士、目の前には白い髭を生やした、ものすごく偉そうな男性、その右には金髪で青い瞳のニコニコと笑っている綺麗な女性、そして左を見ると腕と足を組みドヤ顔でこちらを見ている、今すぐにでも平手打ちを食らわせたくなるような顔の男の子。
「よく来てくれた、異世界の子よ!我々と家族になろうではないか!」
そう言って歩いてきたのは白い髭の男性だった。
「あの、ここはどk「実はな、王子の花嫁を決めることになったのだが、どうも上手くいかず」
「ですから、ここはd「そこで、異世界の子を一人召喚して花嫁にしようと思ったのだ!」
「おい、はなs「そこのお前!異世界の子を部屋に案内してや『バキィッ!!!!』
その場に静寂が走った。全員が目を見開き、口を開けている。華はそんなことはお構いなしに叫んぶ。
「話聞けっつってんだろ!クソジジイ!!ぶん殴るぞ!!!」
一般人が王族に手を出すのは重罪。だが、華には許される。なぜなら、異世界の子だから。それよりもその場にいる一人を除いた他全員が思ったこと、それは・・・
(((もう殴ってるじゃん)))
みんなが同じことを考えている中、王子は顔を赤らめ胸を抑えていた。見た目は黒髪ロングストレートでひざ丈のスカート、背筋を伸ばし胸を張ったお手本のような姿勢。だが、蓋を開けてみれば王様をぶん殴るような猛獣だった。王子は華の見た目と中身のギャップにやられてしまったのである。王子は決意した。
(絶対に、絶対にこの子を幸せにするんだ!)
ギャップにやられ、毎日アピールする王子。そんな王子をうざがって殴り続ける華。
王子の一方的な愛は彼女に届くのだろうか。彼女が王子を殴らない日は来るのだろうか。