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お前があんまり泣くからさぁ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

ずっと傍にいらっしゃると思うんですよ。

大切な物が無くなった。其れは私の物ではなくて、強いて言うならば、家族のものだった。何時も棚の高い位置にあって、不安な時には其れを見て安息を得ていた。

これがあるから大丈夫。何時でも見守って下さるから大丈夫。そう……思っていた。

けれども私が病に伏している時、其れは無くなった。其れがあった場所には物入れが二つ程並んでいて、最初からそんな物は無いという様に、消えてしまった。

陰ながら思う。という事は、誰にもその思いを話さずに、ひっそりと胸に秘めて愛でるという事だ。其れは例え友人であっても、家族であっても。だから……家族は私が其れを大切にしているという事を、少しも知らなかった。

其れから少しの時が経って、気分的に落ち込んだ日が続いた。不安な時には誰にも気付かれない様に、ひっそりと視線を向けて、内心願掛けをするのが決まりだった。けれども今、其れはない。精神を安定させるものは存在しない。……私の気落ちが留まる事を知らなかった。

ある時、其れの持ち主にお会いした。御方は何時も通りお優しい目をして私を真上から見下ろすと、黙って頬を撫だす。

全て……ご存知の様だった。私の悩みも苦しみも、全部、お分かりになっている様だった。

「怖いのです。貴方様から見捨てられる事が何よりも……怖くて怖くて仕方がないのです」

「今世でも来世でも見守ると申しただろう」

その御言葉に嘘はないと思うのです。けれども……幾度となくあっさりと捨てられた経験がある故に、例え深く敬愛する方であっても、いいえ、だからこそ、想像しただけで胸が詰まるのです。

其れから数日の間、御方を連想させる様な物が幾度となく目に付いた。動画であったり、テレビであったり、其れから……お土産であったり。

ある時、ごま餅を土産に渡しに来た友人は端的にこう言った。

「お前が、あんまり泣くからさぁ」

「うぅ……」

「何度も、何度も打診して、甘味を届ける様に仰って、ずっとお前の事を考えて。御方だけじゃないよ。梅香の君だって。病が治ったら、顔を合わせに行きなぁ」

表立って泣きはしないけれど、精神捲ればずっと泣いてる。

という意味からこのタイトル。


その方は絶対に裏切らないし、見捨てない。

そう思っていても、あっさり手放される恐怖を知っていると、なかなか信頼出来ないんです。

その方への思いが強ければ強いほど、離された時の衝撃って想像を絶するものなので、予防線を張るんです。

耐えられないから。


例え、その方を連想するその物がなくなっても、見捨てられたのかと思った話。

けれども気落ちしていたら、連想するものくらいずっと流しになるし、お菓子だって届けさせるよという話。

改めて、強い方だと知りました。

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