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第75話マリア救出編⑭

「ここに入れ。問題を起こすなよ。おとなしくしていろ」

 兵士が鉄格子の扉の鍵を開け、中へ入るように促した。

 マリアとアデリナは黙って従い、雑居房の中へ入った。兵士が施錠をして去っていく。

 マリアは腰を下ろして雑居房の壁にもたれかかった。アデリナがマリアの足の間に入り、背中をあずける。

「お尻が少し冷たいね」

「お姉ちゃんが温かいから平気だよ」

「ふふふ。アデリナもあったかい」

 鉄と石の冷たい雑居房の片隅で、2人の少女はお互いの温もりを分かち合った。



 

 詰め所の自室で仮眠をとっていたエドワードの元へ、1人の兵士が慌ててやってきた。

「失礼します。お休みのところ大変すみません」

「なんだ? 騒々しいぞ」

 グレイがあからさまに不機嫌な顔でベッドから起き上がる。

「バーリー中隊長がご帰還されました!」

「なにっ? バーリーが戻っただと! 報告を聞きたい。ここへ通せ」

「はっ」

 兵士が退室した後、しばらくしてノエルがやってきた。


「グレイ大隊長、ただいま帰還しました。自分のミスで部隊を危険にさらし、大変申し訳ございません」

「構わんさ。任務は無事達成できた。貴官の功績は大きい。気にすることは無い。ところで、襲撃者は始末できたのか?」

「はい。ベネディクタ・フォン・ヘルトリング及び男の襲撃者1名を片付けました」

「ヘルトリング中隊長、あの崩落で生きていたとはな。しかし、これで不安材料も無くなった」

 エドワードが高笑いする。

「オリバー・オルトリンガムはダンジョン崩落で命を落としたとのこと。亡くなる前にヘルトリングから聞き出しました」

「そうか! よくやったぞ。クール連隊長には私から報告しておこう。貴官もゆっくり休むといい」

 エドワードが上機嫌で話す。

「大隊長、大変あつかましいのですが……」

「なんだ? 言ってみろ」

「特別任務の報酬のことですが……」

 ノエルがエドワードの顔色をうかがいながら切り出す。

「ああ、もちろん報酬ははずむぞ」

「いえ、そうではなくて……引き続き特別任務を受けることはできないでしょうか? 自分には4人の妹と弟がおります。弟たちは学校にも行けず、貧しい生活を送っています。もっと仕送りしてお腹いっぱい食べさせてやりたいのです」

「そうか、貴官は家族を養うために入団したのだったな。仕事熱心なのは感心だ。特別任務の件は私からクール連隊長に進言しておこう」

「感謝いたします! グレイ大隊長のお力になれるよう、万進いたします!」

 ノエルは姿勢を正し、エドワードに向かって敬礼した。

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