表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/76

第72話マリア救出編⑪

「お、お前っ。女だったのか」

「女に見えなくて悪かったな」

 ノエルは吐き捨てるように言いながら、ノ―ムに向かって小瓶を投げた。

「うわっ。なにすんだテメェ!」

 ノ―ムが体を張って小瓶を受け止める。

「最上級ポーションだ。風の精霊に使え」

「なんでお前がシルフを助けようとすんだよ?」

 ノ―ムが疑り深い視線をノエルへ向ける。

「私は精霊を狙ったわけじゃない。砂嵐から部下を救うために矢を射った

んだ。精霊を殺したとなれば寝覚めが悪い」

「ウソをついてる目じゃないわ。ノ―ム、ポーションをお願い」

「わかった」

 ノ―ムが小瓶の蓋を開けて、シルフの体にゆっくりとかける。赤くただれた全身の火傷がみるみるうちに消えていく。

「ん……うぅん」

「おいシルフ、大丈夫か? 私のこと分かる?」

「……その生意気な顔、私が忘れるはずないでしょ」

 ベネディクタの手の上で、シルフがゆっくりと起き上がった。

「それだけ冗談言えるなら大丈夫だな」

「シルフ、本当に良かった……」

 ハルトとベネディクタが安堵した様子でシルフを見つめる。

「みんな、心配かけてごめんね。マリアはどうなったの?」

「ああ、マリアは……」

 

 ハルトはマリアを救えなかったいきさつを話した。シルフとノ―ム、そしてベネディクタは作戦の失敗を改めて実感し、自身のふがいなさや無力感、マリアを再び連れ去られた喪失感に消沈した。


「あとマリアからベネディクタに伝言だ」

「えっ? マリアが私に?」

「『戻ったらダイエットしてベネディより綺麗になってやる!』だってさ」

「ふっ……ふふふふ。何よそれ。私なんかよりマリアの方がずっと綺麗よ」

 ベネディクタが思わず笑いだす。

「俺たちに心配かけないように、マリアなりの気遣いなんだろうな。マリアは自分が助かることより、アデリナを守ることを優先した」

「マリアらしいわね」

「ああ。俺たちがいつまでも失敗を引きずってたらいけない。今度こそマリアを助け出すんだ!」

 ハルトがギュッと拳を握りしめた。

「ええ。絶対にマリアを助けるわ」

 ベネディクタが涙を拭った。


「ほら、アンタこれ飲みなさいよ。私にポーションくれちゃたんでしょ」

 シルフが、ハルトのバッグから取り出したポーションをノエルに渡す。

「バカ! 敵を回復させてどーすんだよっ」

「アンタこそバカね。本当に悪い奴だったら、最上級ポーションを私なんかにあげないで自分のためにとっておくもんでしょ」

「私が言いたいのはそういうことじゃねぇんだよっ。コイツのせいでシルフは大けがしたんだぞ。あと少し遅かったらマジでヤバかったんだからな!」

「だからぁ、ノエルのおかげで私は助かったのよ。悪いヤツじゃないじゃん」

「ぐっ……勝手にしろっ」

 ノ―ムは釈然としない様子で捨て台詞を吐いた。


 目の前で繰り広げられる精霊同士の言い合いに、ノエルは呆気に取られていた。

「飲んでいいみたいだぜ。若干1名、納得してない頑固者がいるけどな」

「うっさい、ノロマ! 頑固はどっちだっ」

 ハルトに罵声を浴びせるノ―ムを見てベネディクタが笑い出す。

 ノエルは彼女たちのやり取りに戸惑いながらも、ポーションを口にした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ