表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/76

第60話ランガの森ダンジョン編㊶

 オリバーがナイフを使い、ミラーの額に埋め込まれている魔石を慎重に取り外す。それを小袋に入れて紐でしっかりと結ぶ。

「王都に戻ったら鑑定してもらおう。ミラーの件も報告しないとな」

「一個大隊が壊滅するなんて……私の部隊はどうなりました? それにオルトリンガム中隊長の部隊は?」

 ベネディクタが切実な声で尋ねる。

「ああ、あいつらは――」

 言いかけたオリバーが急に倒れる。

「オルトリンガム中隊長!」

 ベネディクタが慌てて抱きかかえる。

「に、逃げろ2人とも……」

 オリバーの背中に1本の矢が刺さっていた。


「全員動くなっ!」

 弓兵を従え、一人の騎士が叫んだ。

「いつの間に。アイツらもミラーの手下なの?」

「あれは、グレイ大隊長……」

 ベネディクタが言葉を失う。

「早くオルトリンガムさんを止血しないと!」

「マリアは応急手当をお願い。私が盾になるわ。戦闘用ブラの魔法陣なら、弓兵の攻撃くらい何ともないわ」

「うん、お願い」

 マリアがベネディクタの背に隠れ、手際よく止血を行う。


「バーリー中隊長!」

「はっ!」

 グレイ大隊長に名前を呼ばれ、1人の弓兵が前に出た。

 バーリー中隊長が大きな弓を構え、ベネディクタに狙いを定める。

「炎よ、我が弓に力を! フレイムアロー!」

 詠唱と共に矢が燃え上がる。

「エクスプロードショットォォォ!」

 放たれた矢がベネディクタの魔法陣に突き刺さった刹那、大きな爆発が起こった。魔法陣が消滅し、ベネディクタたち3人が吹き飛ばされる。

「金髪の冒険者を回収しろ。あとは始末して構わん」

 バーリー中隊長の命令で、兵士たちが倒れているマリアに近づく。

「マリアに触れるなぁぁぁっ!」

 起き上がったベネディクタが兵士たちを斬り倒す。

 ベネディクタの体は火傷と裂傷で血まみれになっていた。床に倒れるマリアをかばうように前に出る。

「マリアとオルトリンガム中隊長は、私が守る!」

 ベネディクタが全身に走る激痛に耐えながらレイピアを構えた。

「何をしているっ! 撃てっ」

 バーリー中隊長の号令で、弓兵部隊が一斉に矢を放つ。

「おぉぉぉぉぉ!」

 ベネディクタの咆哮がダンジョン内に響き渡る。

 迫りくる矢の攻撃をレイピアで斬り落としていく。

「くっ……」

 攻撃を防ぎきれず、肩に矢を受けたベネディクタがその場に崩れる。

 再び兵士たちがマリアを取り囲んだ。

「や、やめろっ。マリアを離せ」

 ベネディクタがレイピアを床に突き立て、立ち上がろうとするが足に力が入らない。

 兵士たちがマリアを抱えて歩き出す。

「べ、ベネディ……」

 意識を取り戻したマリアが小さな声でつぶやき、ベネディクタに向かって手を伸ばす。

「マリアッ。マリアァァァ!」

 ベネディクタが叫び、もう届かないマリアに向かって手を伸ばす。

「2人を始末しろ」

 バーリー中隊長の命令を受け、兵士たちが剣を構えた。

 兵士の剣がベネディクタとオリバーに振り下ろされようとした次の瞬間、ダンジョン内が大きく揺れ、天井から落下した巨石に兵士が潰された。

「撤収だ!」

 バーリー中隊長の指示で部隊が引き上げていく。


(体が動かない……マリアを助けに行かないと。私の親友を守らないと……)


 崩壊が進むダンジョンで、ベネディクタの意識は徐々に薄れていった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ