第57話ランガの森ダンジョン編㊳
ルドルフの町、メイン通りの一角に店舗を構えるランジェリーショップ『シェーン』は若い女性に大人気の店である。今までにない斬新なデザインと、どんなサイズにも対応した幅広い商品のラインナップが人気の理由である。
『シェーン』はデザイナーのアレクシアと職人のクラーラの姉妹で経営しており、新規開店1年目ながらルドルフで一番人気のランジェリーショップとなった。その評判は王都まで届き、はるばる遠方から来店するお客も後を絶たない。
「ねぇ、アレクシア」
「なあに?」
「最近噂になってるランジェリーショップのオーナー、どんなヤツだった?」
クラーラが興味津々な様子で尋ねる。
「すごく謙虚で紳士だったわ。ちなみに彼の店はランジェリーショップじゃなくて防具屋よ」
「なんで防具職人が下着作ってんのよ。人の畑を荒らさないでほしいわ」
「クラーラ、そんなに怒らないで。そのことも含めてお話に来られるわけだから」
アレクシアが笑いながらたしなめる。
「こんにちは。失礼します」
店の扉が開いた。
大きなバッグを背負ったハルトが中へ入って来た。
「お待ちしてました。どうぞこちらへ」
アレクシアが店の奥へ案内する。
「今日はお忙しい中、時間を作っていただき感謝します」
部屋へ通されたハルトが挨拶をして椅子に腰かける。
「いえいえ、こちらこそ。日を改めていただいてすみません」
「で、ハルトさんの話ってなんです? 宣戦布告しに来たわけじゃないんでしょ?」
「ちょっと、クラーラ。いきなり失礼よ」
ケンカ腰のクラーラをアレクシアがたしなめる。
「あははは。もちろん違うさ。あと、ハルトで構わないよ。クラーラさんは俺と年も近いみたいだし、同じ職人として仲良くしてもらいたいな」
ハルトが気さくな笑顔で答える
「わ、私もクラーラでいいから……」
クラーラが頬を赤らめ視線をそらした。
「じゃ、改めて自己紹介しましょうか。私はアレクシア、25歳。下着のデザインを担当しています。クラーラの姉です」
「縫製職人のクラーラ、20歳。一応、縫製スキルと刺繍スキル両方持ってる」
姉妹がそれぞれあいさつする。
「ロームで防具店を経営してるハルト。クラーラと同い年でスキルも同じ。まあ俺の場合、冒険者向けの防具作成がメインだから他のスキルを使うことが多いけどな」
「えっ、ハルトって20歳なの? 落ち着いてるから年上かと思った。ハルトも縫製と刺繍、両方持ってるのね。男の人でこのスキル持ちってめずらしいわね」
クラーラがハルトに顔を近づけ、興奮気味にしゃべりだす。
その様子をアレクシアが微笑ましく見つめる。
「あ、ああ。戦闘用ブラを作成するには縫製と刺繍、両方のスキルが必要なんだ」
「戦闘用ブラ?」
聞きなれない言葉を耳にした姉妹が声をそろえて尋ねる。
「女性冒険者向けの下着なんだけど」
ハルトは戦闘用ブラについて語り始めた――。




