第47話ランガの森ダンジョン編㉘
ミラーはシーモアとスコット、2人の中隊長と共に最下層を目指して進んでいた。
「ふぅふぅ……いつまで歩かせるつもりだ?」
ミラーが太った体を揺すりながら息を切らして尋ねる。
「この見取り図によれば、あと少しかと」
シーモアが愛想笑いを浮かべながら答える。
「ミラー様、見えました。あそこです!」
「おお、やっと着いたか」
スコットの言葉にミラーの表情が明るくなった。
スコットが指さした先にはかなり広いスペースとその中央には祭壇が設置されていた。
ミラーが祭壇に上っていく。
「あったぞ! これだっ」
石造りのテーブルに置かれた小箱をミラーがゆっくりと開いた。
中には漆黒に輝く小さな魔石が1つ納められていた。ミラーが魔石を手に取り、うっとりした表情で見つめ笑みを浮かべる。
「うおっ」
「き、貴様らどうしてここに!?」
シーモアとスコットの声にミラーが振り返る。
2名の中隊長はマリアとベックに取り押さえられ、床でうつ伏せになっていた。
「ミラー大隊長、勝手な行動はここまでです。あなたを規則違反で拘束します」
ベネディクタがゆっくりと祭壇を上りミラーに近づく。
「うるさいっ。上官に向かって無礼だぞ! 貴様こそ規則違反で捕らえてやるっ」
「ええ、どうぞご自由に。やれるのものならやって見せてください」
「痛たたたっ」
ベネディクタがミラーの手首関節をひねり上げる。
「ポケットに隠したものを出してください」
「……小娘がっ。身分の高い家に生まれただけで調子に乗りおって」
ミラーが脂汗をかきながらブツブツ小声で話す。
「家柄の話は関係ありません。早くポケットの中のものを出しなさい!」
ベネディクタが語気を強め、ミラーをにらんだ。
「……ガキのくせに乳ばかりデカく育ちおって。ブラ1枚で誘ってるのか? 谷間が丸見えだぞ」
「言っても無駄のようですね」
「なっ、何をするっ」
ベネディクタはひるまず、ミラーの上衣ポケットに手を突っ込んだ。
「やめろっ! これは私のものだっ。やめろぉぉぉぉ!」
ポケットを押さえながらミラーが発狂した。
「ねぇ、あれ見て。様子がおかしい」
「ベネディさん、そいつから離れろ!」
ベックが叫ぶ。
ミラーの上衣ポケットから黒い光が点滅し、小柄なミラーの体が宙に浮いている。やがてミラーの体は闇に包まれ、それと同時にベネディクタは祭壇の下まで吹き飛ばされた。
ベネディクタが受け身を取って床に転がる。
「ベネディ、大丈夫?」
「ええ、平気よ」
マリアに支えられベネディクタが立ち上がった。
「おい、お前らっ。なんなんだよ、あれは?」
「し、知るかっ」
「俺たちはミラー様に命じられ、魔石を取りに来ただけだっ」
ベックに襟首を締め上げられ、スコットが苦しそうに答える。
「はぁ? 魔石って言ったか?」
「うっ……」
スコットが気まずそうな顔で視線をそらした。




