第46話ランガの森ダンジョン編㉗
オリバーが高く飛び上がり、斬りかかる兵士の頭上を越えて着地する。そのまま兵士たちの気を引いて、ダンジョン入り口から離れた場所で剣を構える。
「死にたいヤツからかかって来な」
「おぉぉぉ!」
一斉に攻めてくる兵士たちをもろともせず、オリバーは次々と斬り倒していく。
「たかが下級貴族1人相手に何してる! 殺せっ。早く殺せ!」
ダンテスの怒声が響き、さらに兵士たちがオリバーめがけて突進する。
徐々にオリバーが後退し、ダンジョンから離れていく。
「そうだ! いいぞっ。そのままオルトリンガムの息の根を止めろっ」
ダンテスが拳を振り上げて叫ぶ。
「今だ!」
オリバーの合図と同時に、彼の部下とベネディクタの部下たちがダンジョン入り口に向かって突撃した。2個中隊の兵士たちが、ダンジョン入り口を警備している兵士たちに斬りかかる。奇襲を受けたダンテスの部下たちは慌てふためき、ダンジョンの前は混戦状態となった。
「今がチャンスよ」
身を潜めていたベネディクタが茂みから飛び出す。彼女に続いてマリアとベックがダンジョン入り口に向かって走り出した。
「くっ。図ったなぁ。止めろっ。ヘルトリングと冒険者を殺せっ」
ダンテスが大声で命令する。
しかし彼の部下たちは行く手を阻まれ、ベネディクタたちを止めることはできなかった。
「あとは頼んだぜ!」
「ミラーは私たちに任せてっ」
「オルトリンガム中隊長、ご武運を!」
マリアとベネディクタは大きな声で言いながら、振り返らずにダンジョンへ突入した。
ダンジョンに入ってすぐ、マリア達は異変に気がついた。ダンジョン内の通路は整然とレンガが敷き詰められ、歩きやすくなっている。地面だけでなく、壁にもレンガが敷き詰められ整備されている。等間隔に配置された魔石が橙色に発光し、通路を照らしている。
本来ダンジョンは地下に存在する自然物であり、その入り口が地上に出現して初めて冒険者が足を踏み入れる未開拓の空間である。
「これ、明らかに人工物よね?」
「ああ。ダンジョンっていうより地下要塞って感じだな」
予想外の展開にマリアとベックは驚いていた。
「すでに攻略済のダンジョンということかしら?」
「いや、それは考えにくいっすね。攻略済のダンジョンなら、まず入り口に門が設置されて管理権限のあるギルド名が明記されてるはず」
ベネディクタの質問にベックが答える。
「それにおかしいわよ。ダンジョン内部までこんなしっかり整備されてるなんて」
マリアがレンガの壁を軽く叩いた。
「シルフはこういうダンジョンについて何か知らない?」
ベネディクタがシルフに尋ねる。
「う~ん、私も聞いたことないわ。見るのも初めて。そもそも、ここってダンジョンなのかしら? チビデブなら知ってるんじゃない」
「シルフの言う通りだな。何かの目的でミラーはここへやって来た。ミラーに追いつくことが先決だ」
「ええ、そうね。先を急ぎましょう」
ベネディクタたちは周囲を警戒しながらペースを上げて歩き始めた。




