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第38話ランガの森ダンジョン編⑲

 ミラーは部隊の中間で折りたたみ椅子に腰かけ、部下に入れさせた紅茶をすすりながら休憩していた。

 森の中の移動に馬は使用できない。ミラーはずっと椅子に腰かけたまま、それを4人の部下に担がせて移動していた。

「どうした? なにかあったのか?」

 ミラーがのんきにズルズルと紅茶をすすり、ベネディクタに質問する。

「この先、植物性モンスターの群生地があります。迂回ルートを進んだ方が良いかと」

「はぁ? 迂回だと! バカを言うなっ! このまま最短ルートを進め」

 ミラーが声を荒げる。

「しかし――」

「黙れっ! 隊長命令だ。ルート変更は許さん」

 ミラーは断固として首を縦に振ろうとはしなかった。


(ふぅ……困ったわ。話もまともに聞いてもらえないなんて)


 ベネディクタはため息をつき、「了解しました」と短く答えると部隊の先頭へ戻っていった。


「ベネディ、どうだった?」

 マリアの問いにベネディクタが黙って首を横に振る。

「あのチビデブ、優雅に紅茶なんて飲んじゃって。ベネディクタが話し始めたらいきなり怒り出したの。ホント最低」

 シルフが不機嫌そうに愚痴をこぼす。

「隊長命令とあらば仕方ないさ。突っ切るしかねぇな」

「そうね。悩んでいても仕方ないし」

「ごめんなさい。私の力不足で……」

 ベネディクタが肩を落とす。

「ベネディさんのせいじゃないっすよ」

「そうよ。わからずやのデブが悪いのよ。なんとかなるわ」

 2人の言葉にベネディクタが微笑む。


(それにしても、ミラー大隊長はなぜあそこまで激怒したのかしら? ずいぶん慌てているようにも見えたけれど……)


 ベネディクタは薄暗い森の奥を見つめながら、腰に下げているレイピアの柄を握りしめた。




 ハルトは店の奥の工房で一心不乱に仕事に打ち込んでいた。仕事と言っても防具の製作ではない。ブラジャーの縫製である。マリアが大衆浴場の更衣室でブラの話をした影響で防具店に女性客が殺到し、大量に注文を受けるはめになったのである。

「おーいノロマ。お前はいつからランジェリーショップの職人にジョブチェンジしたんだ?」

「うるさい。俺だって好きで下着を縫ってるわけじゃないんだ。それに、金になるなら仕事を選ぶなと言ったのはノ―ム、お前だろ」

 ハルトがノ―ムをにらみつける。

「私が言いたいのは、ダンジョンへ行かなくていいのかってこと。『俺は仕事がある』とかカッコいこと言って結局ブラ縫ってるだけじゃんか」

「納期に遅れたら店の信用に関わる。それに道案内はシルフがついてる。問題ないさ」

 ハルトが話しながら縫製スキルであっという間にブラを仕上げていく。

「だといいんだけど……」

 無関心なハルトを横目に、ノ―ムはマリアからもらったクッキー最後の1枚にかじりついた。

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