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第23話ランガの森ダンジョン編④

(まあ確かに、この胸でまともに剣が振れるなんて誰も思わないわよね。しかも相手はネームド。疑われても仕方ないか)


 マリアがもたれていたカウンターから離れ、置いてあった大剣を手に取った。

「なんだアイツら、すげぇ感じ悪いな。よし、マリアやっちまえ」

 隠れていたノ―ムが顔を出す。

「態度のデカさで言ったら、デブ騎士とアンタはいい勝負よ」

「なにをぉ!」

 からかわれたノ―ムがシルフを追い回す。

「おい2人とも、遊んでる場合じゃないぞ。マリア、戦闘用ブラは着けてるか?」

 店の奥から出てきたハルトが尋ねる。

「ええ、もちろん。王国騎士を相手にどこまで通用するか分からないけど、今の私の全力をぶつけてくるわ」

 マリアが笑って答えた。

「マリア、気をつけろよ。あのベネディクタは騎士学校を飛び級、しかも主席で卒業した女だ。騎士団入団後も異例のスピード出世で中隊長まで昇進した。得意な魔法や魔法剣で中距離から仕掛けてくるぞ」

「ずいぶん詳しいのね」

 ベックの意外な一面を知り、マリアが感心する。

「俺達は二階から様子を見ておく。あまり無茶するなよ」

「うん、行ってくる」

 マリアはハルトたちに小さく手を振り、店の外へ出ていった。


 ハルトの防具店は町の広場の一角に建っている。人の少ない田舎町のため、昼間でも人通りはほとんどない。

「お待たせしました」

「遅いぞ。まったく、冒険者ごときが王国騎士を待たせるとは不愉快な。さっさと始めろ」

 ミラーが投げやりな言い方で試合開始の合図をした。

「防具を着けていないようですが?」

「ここにちゃんと着けてます。お気遣いなく」

 マリアがIカップの胸を片手で触れた。

 ベネディクタが怪訝な顔をする。


(この子、なにを言ってるの? そもそも、あんなに大きな胸でまともに動けるはずがない)


 一礼をしてベネディクタが剣を構える。

 マリアが大剣を構えた瞬間、ベネディクタが一気に間合いを詰めた。


(うそ! 魔法メインの中距離戦闘が得意なんじゃないの!? なんで接近戦なのよっ)


 情報をうのみにしていたマリアの反応が遅れ、攻めるタイミングを失う。

 ベネディクタのレイピアから鋭い突きが連続で繰り出される。マリアは幅広な大剣をうまく利用し防御に専念する。


(この速さの突きを全て防いでる。剣の扱い、体の動きに無駄がない。それなら、このスピードについてこられる?)


 ベネディクタの突きが、さらに勢いを増す。レイピアの剣先がマリアの腕や肩をかすめる。


(やはりこの辺が限界のようね。最終段階まで攻撃速度を上げる。次でおしまいに……何この光?)


 マリアの大剣が白い光を放つ。

「チャージ完了! ソードタックル!」

 マリアがスキルを発動させる。

「水よ、我に力を! 盾となりて我が身を守れっ!」

 ベネディクタが早口で詠唱し、氷の盾でマリアのタックルを受け止めた。大剣と氷の盾がぶつかり合った瞬間、衝撃波が発生し空気が振動した。

 氷の盾に亀裂が生じる。


(まずい!)


 ベネディクタが後方へ飛びのくと同時に、氷の盾が粉々に砕け散った。

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