第16話ゴブリン襲来編⑩
マリアはダメージでボロボロになった体を引きずり、ゾイドへとどめを刺そうと一歩ずつ足を前へ運んだ。
「お前ら、俺様を守れ! あの女を始末しろ!」
ゾイドの声でゴブリンが集まり、マリアへ襲い掛かった。
マリアがよろめいて地面に膝をつく。
(くっ……足が動かない)
「させるかよっ」
マリアに飛び掛かるゴブリンをベックが斬り倒す。
「嬢ちゃん、これを飲め」
「ありがとう!」
冒険者から手渡されたポーションを飲み干し、マリアが立ち上がる。
「ゴブリンは俺らに任せろっ。突破口を開くから、その隙にマリアはボスを叩け!」
「わかった。お願い」
ベックと冒険者がゴブリンを倒し、道を切り開く。
(いける! もう一度スキル攻撃を決めて、今度こそとどめを刺す!)
マリアが大剣に魔力を溜めながら疾走する。
「ご主人さまぁぁぁ! どうかお助けくださいぃぃぃ!」
ゾイドが両手を組み合わせ祈るようなポーズを見せる。
「えっ!?」
突如マリアの前に仮面の男が現れた。
「炎よ、我に力を。業火で女を焼き尽くせ!」
男が手をかざして詠唱すると、燃え盛る炎がマリアに襲い掛かった。
マリアのブラが再び輝き、胸元に魔法陣が出現する。
「あれ? 熱くない」
マリアが胸元に手を当てると、ブラの中央に埋め込まれた小さな宝石がキラリと光った。
「ほう、自動防御システムか。物理攻撃だけでなく魔法攻撃まで遮断するとはな」
仮面の男がかざしていた手を下ろし、ゾイドの方へ歩いていく。
「ご主人様ぁ。う、腕がぁぁぁ。どうかお助けくださいぃぃぃ」
「ずいぶんと、ひどくやられたものだ」
「もう一度チャンスをください。必ずあの女を仕留め、ルドルフの町を落として見せます!」
ゾイドが男の足元に額をこすりつけて懇願する。
「光よ、我に力を。この者の傷を癒せ」
ゾイドの体が光に包まれて傷がふさがり、取れかけていた腕が元通りに治っていく。
「おぉぉぉ! ご主人さま、感謝申し上げます!」
「さあ、君の力を見せてくれ」
「存分に!」
先ほどまでのダメージが嘘だったかのように、ゾイドは大剣を軽々と担いで歩き始めた。
「ウソでしょ……」
マリアの顔から血の気が引いていく。
「いくぞぉぉぉ!」
ゾイドが大剣を振り下ろす。マリアの大剣が弾き飛ばされ宙を舞う。
「オラオラオラオラ!」
連続攻撃のダメージをマリアの胸の魔法陣が相殺する。
「きゃぁぁぁ!」
斬撃に耐えられなくなった魔法陣が消滅し、その反動でマリアの体が吹き飛ばされた。




