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第10話ゴブリン襲来編④

 風の精霊シルフから話を聞いたハルトが険しい表情で考え込む。

「突発的にモンスターが大量出現すること自体はそれほど問題じゃない。過去にも同様のケースはいくつも確認されてる」

「ええ。ただ、その頻度が最近多すぎるわ」

 シルフが国内を飛び回り調べた結果、1か月間で4件ものモンスター大量出現を確認していた。毎週一回というペースは以上であり、過去にも事例は無い。

「ランガの森の奥から感じた巨大な魔力の方が気になるな。人間かモンスターか、どっちにしても無関係じゃなさそうだな」

 ノ―ムの言葉にシルフがうなずく。

「ゴブリン大量出現に関係してることは間違いないと思う。魔力反応の一つはモンスター、もう一つはモンスター以外の種族だったわ。モンスターじゃない方がけた外れに強いわ」

「師匠とどっちが強い?」

「それはもちろん、アデリナの方が強いけど……」

 シルフが口ごもる。

「シルフは、俺じゃ勝てないと思ってるんだろ?」

「そ、そんなことはない。ただ、ハルトが戦う必要はないんじゃないかしら? 人間だって強い冒険者や、国の騎士団がいるんだから。防具職人のハルトがわざわざ戦わなくても――」

「シルフの報告だと、クエストを受けたのはルドルフを拠点にしてるギルドの冒険者、つまり中級と初級冒険者ばかり。王都への援軍要請もしていないから騎士団は動かない。このままだとルドルフの冒険者が全滅しかねない」

 シルフの話をさえぎり、ハルトが低い声で語った。

「まったく、とんだお人よしだぜ。戦う防具職人なんて聞いたことねぇし」

「別に戦いたいわけじゃない。俺は守りたいだけなんだ。マリアを、ルドルフの町の人達を。2人とも、力を貸してくれないか?」

 頭を下げるハルトを見て、シルフとノ―ムが顔を見合わせる。

「力貸すも何も、私たちはアンタの守護精霊なんだから、アンタが戦うってんなら守るに決まってんでしょ。バカね」

「ノ―ムの言う通りよ。ハルトを全力でサポートするわ」

 ノ―ムとシルフが笑顔でうなずく。

「2人ともありがとう。でもその前に、まずはこの町全体に張られた結界を何とかしないとな」

「おう! 誰の仕業か分かんねーけど、速攻でぶっ壊してやろうぜ」

 ノ―ムが手の平に拳を打ち付ける。

「どうやら、私たちに動かれては都合の悪い者がいるようね。ランガの森の魔力の主に直接聞いてみましょ」

「ああ、そうだな。それじゃ、行こうか!」

 ハルトが勢いよく椅子から立ち上がった。

 大地と風の精霊が優しい光を発しながらハルトの肩に腰を下ろした。

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