メモリー48
アヤ・ライトニングは満身創痍で視界が霞み歪めつつも、グロウ・イェーガーの変化を目の当たりにしていた。
アルビノが指し示す通り、グロウの肌と頭髪は真っ白である。唯一、瞳の色だけが紅く、まるで宝玉の如く輝いていた。が、炎が鎮まり静寂が訪れた時、彼の容姿は灼熱を表現するかのように朱が付け加えられていた。
彼の白い髪は真っ赤に染まり、両手には赤錆色の革手袋、左手に備えたシールドの表面に赤色の『魔法陣』が描かれていた。
「あの焔、抜け駆けして我らが主と繋がったな! 狡いぞ!」
アヤと融合したカノ・スペックが叫ぶ。
その意味するところはグロウと邪神カノが融合したと捉えられるが、教祖やアヤのような融合とは違って見えた。
教祖は邪神を信奉することで力を賜り、アヤは契約によって邪神の力を使い過去の記憶を自身に投影している。が、グロウのそれは邪神がグロウを変質してしまったように見える。
「彼は一体……」
邪神を『召喚』してしまうほどの『エナジー』、『ウォッチャー』に『オリジン』、そしてカノ。
グロウ・イェーガーを取り巻く要素は特異にして特殊で、何が起ころうと驚くべきでは無いのかも知れない。が、『エナジー障害』で『ウィザード』にもなり得なかった彼は、アヤの目から見ても人間の領域を踏み外しているように見える。
「有り得ぬ、有り得ぬーーーー!」
復活した教祖が先程と同じようにグロウへ飛翔し、拳を振り上げる。
「貴様のような役立たずのアルビノが、有り得てはならないーーーー!」
振り下ろされる拳。
グロウは反射的にシールドでそれを防いだ瞬間、『魔法陣』が輝き爆発を引き起こした。教祖の拳は砕け散り、グロウはその場で何事も無かったかのように立っていた。
「爆発で威力を相殺したか。いや、ダメージを与えている分、我らが主の方が上か」
スペックが状況を言葉にしているうちに、グロウが動いた。
彼は右手を硬く握り締めると、痛みと驚愕に混乱する教祖へ思い切りの良い拳打を繰り出した。先程は全く威力の無いパンチであったが、今度のは教祖をよろめかせるだけの威力があった。
グロウは自身の攻撃が有効と分かるや、更に追撃とばかりに拳打や蹴りを繰り出し徒手空拳で教祖を攻めて怯ませる。
そしてトドメとばかりにシールド表面を叩き付ける裏拳を繰り出し、先程と同じように爆発で教祖の腹部を吹き飛ばした。防御用の『キャスト』と思いきや、攻撃にも転用できる代物らしい。
「おのれ、この私に勝てると思うな!」
教祖は即座に身体を回復させると、グロウの周囲の水を跳ね上がらせた。そして水滴が鋭利な刃物となって彼を襲う。
アヤが浴びせかけられた『キャスト』と同じものだ。
当然、彼に逃げ場など無く、水滴の刃が身体を貫かんと全方位から迫る。
「グロウ!」
しかし、その刃がグロウに届くことは無かった。
咄嗟にシールドの逆三角形の先端を地面に突き立て、『結界』のような『キャスト』を発動。球場に灼熱の炎が膨れ上がり、周囲から迫る水の尽くを蒸発させたのだった。
脅威が無くなったことを確認したグロウはゆっくりと立ち上がると、シールドを構えて拳を握り締める。すると、革手袋の手の甲に『魔法陣』が浮かび上がり、『エナジー』が拳に収束していった。
「今度はこっちの番だ!」
グロウは爆発的な速度で駆け出すと、一瞬にして教祖へ肉薄する。
驚愕する教祖に対し、グロウの鉄拳が撃ち込まれる。先程のそれとは違い、打撃の瞬間に右手の『エナジー』が爆発し、水に変化し回避しようとした水分を一気に蒸発させた。教祖は転移に成功するも、無様に泥濘の中へ身を横たえていた。
「バカな……この私が『エナジー障害』のゴミクズにこんな……!」
右手に残った残留『エナジー』を振りほどくグロウは、泥濘の中にあった物を蹴り上げる。それは『エナジー式ハンドガン”カミラ”』だった。
「神様に勝てはしないだろうさ。けど、ただ神様の力に溺れた狂信者相手なら、僕にだって勝ち目はある」
そしてグロウは左の弾帯からライフル弾を抜き放ち、『カミラ』へ装填する。
「ルージュにあんたの弱点を聞いた。そこを突かせてもらう」
『カミラ』を構えるグロウに対し、教祖は『キャスト』を行使し水の壁を生成する。ただの水ではなく、あらゆる攻撃を飲み込む濁流のような濃密にして分厚い水壁である。
恐らく教祖が持ち得る最大の防御だろうが、グロウは構わず発砲した。
撃ち出された弾丸は水の障壁にぶつかると、教祖の行使した『キャスト』の悉くを打ち消した。
「■■■■■――――ッ!」
「バカなァァァァーーーー」
そして教祖に憑依していた邪神を、無理やり引き剥がしたのであった。
●グロウ・ルージュのモデル
仮面ライダークウガのマイティフォームです
→ようやく赤のクウガに変身しました
→どっちかと言うとタジャドルコンボな気もします




