#053 ━解説━
「先生たちには計画の目的と日程を伝え、トリアンドルスまで生徒達を引率してもらった。その後は地球の各都市に降り立った生徒からレポートが送られてくるまでの間、トリアンドルスの制御室からコネクターを使い、とあるものを管理、報告してもらう予定だった。」
(だから先生たちはそんなところに集まっていたのか。)
「どうやら彼だけはコネクターから続く仮想空間経由で本来想定されてなかった手段で資料を見てしまったようだ。ノートの内容と計画の資料の内容のほとんどは一致し、事実、及び事実である可能性が高いものだということを確認している。彼は紛れもないこの計画の犠牲者だ。」
「何で?何で?それがあのノートの理由?先生があの姿であそこで止まってた理由?」
「……そうだ。」
「ラノハクトを変えたい、人々を助けたい気持ちは分かったから、何の悪いこともしてない人を勝手に巻き込まないでよ。もう少し強引じゃないやり方はなかったの?」
「AIとあなたが話し合った結果が、本当にこの計画になったんですか?」
「そうだ……あぁ。すまなかった。」
……彼は少し黙ったあと話を変えた。
「じゃあ、私とAIの共同で開始された計画に登場するマシンについて説明していこうと思う。君たちにとっては得体の知れない巨大な物が急に現れて怖がらせてしまったようだね。そして正体が気になっていたんじゃないか?」
「そうですね、気になっていました。」
(もちろん気になるさ。嫌になる程。)
「まずは、トリアンドルスについてだ。正式名称はナーシサス・トリアンドルス。この表面が鏡のように見える大きなマシンだが、形は地球に実在する花と鳥をモチーフとしている。材質として粒子ロボと屍菌合素でつくられ、実際に成長し、ワープマシンから管制塔、天空要塞へと役割を進化させて行くんだ。その巨体のエネルギー源は“高度菌エネルギー”平たく言うと菌から得た力で動いている。計画では転移装置としての他に、観察者の生存に影響する要素は全て快適になるよう、組み込まれた観測マシンλの生体影響システムと惑星影響システムにより管理、調節を行う。とだけ紹介してもらった。この計画の要はこれの存在であり、無いと成り立たない。現に地球の時間で8:20にトリアンドルスによって第一次圧延が開始された。」
(ノートを読んで予め察していたけれど、一度に話されたら情報量多いな……)
「成長……あれがよりもっと、ってこと?……」
「君たちが入って来た時、そして今もトリアンドルスは成長の最中なんだよ。」
「そして、トリアンドルスのお次はジオ・パラシトス。正式名称はジオ・パラシトス・ゲオルギオスだな。」
(大層な名前……)
「トリアンドルスと同じく高度菌エネルギーによって稼働し、溶かして出来た人工物の残骸を次のフェーズに向けて大雑把に整えるのがこのマシンの目的だった。先生たちに管理を任せたものの一つがこれだ。」
(てことはあいつらは人間そのものに対する攻撃はしてこないのか……?)
「これは宇宙遺跡解体マシンを応用したもので、移動、固着用の三つの脚、情報共有用の頭部と解体作業用の腕が三種二対備わっている。また、時間はかかるが自己修復が可能で、万が一不具合のあった場合に駆けつけられるようトリアンドルスとの接続は目的達成まで続き自由に行来することができる。」
(そんな目的が……。だから人間が入れる構造になっていたのか。)
「あの……、こんなに計画のこと隅々まで話してもらっていいんですか?」
僕は心配になってきた。
「私は君たちに迷惑をかけた。君たちと出会うなんて想定外だったんだよ。全て理由を話して置かないと私の気が済まない。」
「そうなんですか。あ、ありがとうございます?」
「そして全て話した後、君たちに聞いてみたいんだ。将来の話をね。」
「はい、分かりました。」
(……将来の話?)
「私が地球に対してそこまでした理由はさっきも述べた通りユートピアを現実に、あの星に作りたかったんだ。その為に根本的な地球の大地や人工物、特に都市の形を変える。加えて、記憶を洗浄し社会の仕組みや地球人の考え方を変えたかった。争いがが起きぬよう仕向けたかったんだ。」
(果たしてそれは正しいのか?)




