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うつうつつ【完結済】  作者: 混漠波
51/64

#051 ━都合━

「ここは地球から遠く離れたAIの管理をしている場所なんですよね?それなのになんでこんなことに巻き込まれたんでしょうか?なかなか僕にはついていけないんですけれど……」

「そう、これから話がまだあるんだ。」

(本当にこの話の流れで上手く繋がるのか?変な勧誘に騙されたりしてない?)


「では、あの星には四種の民がほぼ同じ比率で満遍なく暮らしているのに戦争や差別、さらに誹謗中傷まで起きないなんておかしいとは思わないかい?」

腹立つような鼻につく言い方だ。その謎よりも気になってしまう。

「んー、なんでだろう。たしかに?」

話を変えられて腹が立ったので僕はろくに考えもせず適当にあしらった。

(ラノハクトの人たちは相当平和指向で強固な協調性を誇りに思う傾向があるのだろうか?)


「彼のノートには記憶改竄とあったがそれだけじゃあない。」

(?)


「というのも、星全域に“思考統制”なんてことをしているから、戦争や差別はまず起こらないんだ。」

「あぁ、思考も。」

「え゛。」

(記憶の操作が出来て実行してしまうのだから、思考も操作されてもおかしくないのか。)

(確かに今まで見てきたものとか発言とか少しだけ心当たりがあるかも……?)


「住民の不幸な感情を取り除くために定期的に学校や睡眠時に思考統制を行うことで安定的な星作りに役立っているんだ。だから不満だけすっぽり無くなって幸福度は高く、昔から犯罪や政府に対する反発や否定的な意見が出にくいんだよ。」

(生活するだけで不満を取り除いてくれるならありがたい気もする。)

(でも、そう言われると思っていたより恐ろしいな。)


僕はわざわざニオたちが現実の学校へ行く理由がわかった。

「なんでラノハクトは、上層部はその事を住民に伝えてなかったの?」

ニオが食らい付いた。

「今からあなたたちの脳内を都合のいいように改造しますなんて言えないだろう?ましてや何万年も前の大昔からの話だ。住民を思考操作と同様、記憶操作も行って争いを無くし、星を一つにまとめたかったんだろうね。これから記憶操作の話にも触れていこうか。」


「ラノハクトの歴史上のどこかに第一次記憶操作と呼ばれる、完成した記憶操作技術を使い、全住民を範囲とした初めての発動があり、その時に国が消え惑星として統一された。これは一瞬の出来事だったらしい。同時に文字と言語も一度に白紙化して、AIの産み出した最も効率的で不都合の無いものに置き換わったんだ。同時にネットワークに散りばめられた膨大なデータが編集、消去され歴史は失われた。これがラノハクトに国がなく惑星として統一できた理由なんだよ。」

手の平で浮いていた星にあったはずの境界線が消えていった。

(ああぁ——)


「今現実を生きる我らは本当の歴史を知りたければごくわずかに残された、消しきれなかったアナログの記録から起きた出来事や流れを予測するしかない……今ラノハクトのほとんどが立入禁止区域なのも真偽は分からないが、戦争の爪痕や昔の資料の詰まった遺跡を隠す為とか……考えるほど関係があるとしか思えない。」

(本来なら喜ばしい変化のはずなのに……こんなやり方じゃ素直に喜べないよな……。)


「この統一よりもずっと前から、たびたびAIの暴走が起こり、統一以降はラノハクトでのAIの進化は凍結。AIの存在はは誰の記憶にも残っておらず歴史から葬られた。だが、誰も覚えていない訳では無い。AIを上層部はこれからも利用したかったのだろう。人工知能技術保管機関が発足。ここスカフェーナ地下研究室の前身だ。しばらくして政府の力が弱まり、ラノハクトから失踪する。それが名前を変えてスカフェーナにいる我々がコネクターを通し政府には秘密に管理を行っているんだ。」

(おいおいおい、話が膨らんできたぞ……)

(なんか、改めてラノハクトって凄まじい星だな。)


僕もニオもアーズロイも聞き入っていた。

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