#048 ━夢中━
「じゃあ、これでぐっすりおやすみ……」
(寝れるんですかぁ!?寝ていいんですか!?)
外側は柔軟性と強靭性を兼ね備え、内側は柔らかく暖かい。最高。
僕を包んでくれて安心して快適に眠れる……
「お言葉に甘えて……おやすみ……」
ニオとの会話より寝てみたい気持ちの方が今は勝っていた。
(こんなのに包まれて寝たらさぞ気持ち良く眠りにつける……だろう……。)
ユセテピとやらに入って目を閉じ今まで見てきたラノハクトのことを振り返る。
僕は生まれ変わりたかった。
でも、話を聞いて色々な事を体験して、
この体のまま、今からでも生まれ変われるような、そんな気持ちになっていった。
新たなことが今までの僕に混ざりあい、考え方の方向を少しだけ今の自分に合うよう、動かしてくれた。感じ方の視界を広げてくれた。
そんなことを考えながら落ち着き、気づかぬ内に飲み込まれるような深い眠りに付けた。
「地……送……人の一部……人の……コネク……人たちに……三つ……質……ある。」
「と……私……て……かな?……ずっと……まで。」
「あぁ、嘘だろ……本当だったのか……」
「私……てあげたい。」
「そうか。ユ……に記憶……」
「んぅ。」
「んんんぬ、ぬぅ。」
「……てあげなよぅ。」
……!?
真っ暗だ。
目が覚めてしまった。
(あぁ、ユセテピにいるんだっけ。)
(朧げで覚えてないけど、何だかすごい変な夢だったということは分かる。)
(もう一度続き見れないかな……)
まだ優しい温もりが夢の続きを手招いている。
僕は目を閉じていく。
「脳の組織は全て正常に発達、頭蓋の大きさも程よく、基準値も満たしている……だけど、顎と喉の構造が想定と違うな。これじゃあしゃべれないのも無理はない……」
「だが直立二足歩行は前よりもかなりよくなっている。我らと遜色が無くなるのも近いはずだ。確実に前進している。この調子だな。」
「この作業も初めてから随分経った……もう一歩、もう一歩なんだけどな……」
「残念だが今回も隠滅だな。眠らせて載せてあげなさい。」
……
「これ全部運ぶんですか?」
「そう、これ全部向こうにあるあいつに載せてくれ」
「重た!何入ってるんですか?」
「廃棄物だよ。あ、でも丁寧に扱ってくれよ、中身が飛び出たら大変なことになるから。」
「了解。いやー全部か、骨が折れるなぁ」
「よろしく頼むよ」
「……廃棄物なのにこんな高級な船に、しかも人間が載せることあるのか。まぁいい。さらりと終わらせてしまおうか。」
……
「ここだよここ。手付かずの自然の宝庫。空が青いねぇ。僕らの星も一億年前はこんな感じだったのかもしれない。まさに生物多様性のユートピアだ」
「私たちがピンチになったらここにお世話になろう。」
「今は調査するべきでない。環境が不安定だから、少し触れただけで崩壊しかねないからな。もうちょっとだけの我慢だ」
「よし、この前と同じく海のある星は限界まで海に近づいて落とすだけ。それ以外は……手掛けない。」
「運が良ければ漂着したあとに目覚め、サバイバルの開始だ……生き残れるかは分からないが。」
「息子にもこの星の景色をいつか見せてやりたい。」
……
「君たちは出来損ないの廃棄物なんかじゃない、最後の光なんだ……」
「待っててくれよ、また会いに来るからね。」
去る前に見た夜の地球に発火し落ちていくそれは希望だった——。




