#042 ━由来━
なんとも言い表しにくい空の色。
(月よりも大きい幾つかの星が見えている。)
ごつごつとした荒野。
(見たことない植物のような何かが幾何学的な並びで生えている。)
空高く浮いている建造物達。
(どうやってあんなところに……すごく奇妙。)
これが別の星だとするなら、
地球と比べ何というか空気が重い。
そして雲が少ないのに暗い。
もちろん夜よりは明るいけれど。これが昼だとするならずいぶんと淀んでいる。
視界の前方やや奥の方に建物の群れ。
他に地表に人工物は見当たらず。
見慣れない景色ではあるがおおよそ地球の全ての値を少しだけどんよりさせたように感じる。環境音すらもこもっている気がする。
そんなに気にはならないけれど。
(これが彼女らの生まれ故郷“ラノハクト”らしい。)
「!……だぉい!」
ニオに何かを言われる前に自然と体が走っていた。そして重力の違いを体感する。
(あぁ、これって。)
(トリアンドルスで体感したアレと一緒だ。)
「すごい。別世界だぁ。」
何も知らない世界に僕は確かに心を動かされた。
今までのどんな体験よりも興奮していた。
全部を知りたがっていた。
ここに広がる世界を全力で味わいたい。
少しずつ視界に増えていく地表の建物。
街が近づいてくる。
つれて、解像度が上がり、一回り美しくなる。
僕らの建物よりも芸術的というか、
町並みに一体感があって、一つの作品群みたいだ。
これがニオたちのふるさと。
そして先生の記したものを信じるのならば僕らの本当のふるさと──でもある。
一体、この星ではどんな生活をが送られているのだろうか。
僕がこの星に生まれていたらどうなっていたのだろうか。
僕史上でも希な程、活き活きとした想像力を育みながら揚々と走っていた。……ら、ニオを離し置きざりにしてしまっていた。
「ちょっと!速いんだけど!初めはあんなにもたついてたのに!別人なの!?」
「ごめんごめん!つい楽しくなっちゃった」
(えーと、なんでだろう。トリアンドルスでは動きにくい重力だったけれど、硬くてごつごつとした地面が踏ん張りやすくて思いの外動きやすかったからかな。)
僕は未知の星でどこまでも楽しくなっている。
知らないものに対し好奇心と喜びで満ち溢れている。
恐怖がまとわりついていた今までのことを忘れたがっている。
ペースダウンした僕はニオと合流し並んで散策、少しばかり間をあけて口を開いた。
「全然、人……どころか、動物の類はいないのかな?」
「恐らくだけど……この空間は私たちだけかも?」
(もし仮に、この星に住民がいて、地球人が来たら大騒ぎになったりするのかな?)
「段々と街らしい雰囲気になってきたね」
「ここら辺は私も知ってるんだよね」
「へー。そうなんだ。それって……すごくない?」
(この星の大きさや初期スポーンの設定とかは知らないけれど、唐突に放り出された地点が存じ上げている場所だなんて結構な奇跡じゃないのか?)
「実は私たちはここら辺に呼び出されてトリアンドルスに乗り込んで地球へ向かったんだよね……だからなにかしらここが選ばれた関係はあるのかもしれない。」
「ここから……?」
「もし、なかったとしてもラノハクトは星自体は地球位の大きさがあるけど、立ち入り禁止区域が多いからね。そこから見どころのあるポイントを抜粋するだろうから……かなり限られてくるんじゃないかな?」
「ぅん?そんなに制限があるの?」
(ずっとラノハクトの科学技術に驚かされ続けていた。のだから、もっと活気があって、どこもかしこも発展済みなのかと思っていたのだけれど、そうでもないのか。)




