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うつうつつ【完結済】  作者: 混漠波
38/64

#038 ━守衛━

……

 

「あぁあ!?いつから居たの?何者?!」

「いや、それはこっちの台詞です。」

 

「はぁはぁ、もう、驚かさないでよ!」

「……あなた達、一体何者なんですか? こんなところに余所者が居られたら困ります。」

僕の踵から膝くらいまでしか無い小ささを誇るそれは、腹立たしそうに振る舞いながらも、どこか怯えてそうに注意をしてきた。

 

「え、と、彼は地球人で、私はノロールム人。」

「……そんなの言われなくても分かってます。問題はどうしてこんなところに君達がいるのかって話です。」

「……なんで私たち以外の時間が止められたのか理由を知りに来たの。」

 

「ほあ?」

 

「言ってること理解できる?私たち以外の、地球の、時間がどうして止められたのかって。でも私たちは動けているでしょう?」

「ここにいるってことは……本当みたいですね、理解はしました。」

「で、そっちこそ何者なの?」

 

「……きゅう……いです。」

「え、聞こえない」

「自我は低級AIで、ここの監視をしている者です!」

「はぁ、AIって?」

「何というか……純粋なラノハクトの人の反応ですね……不思議ですよね、AIの話になると急にラノハクトの人と地球人の科学技術の差が逆転しているように聞こえるのです、まぁアレのせいで仕方無いんですけどね」

「え、AIの概念って、地球にあって、ラノハクトにないの?」

「その通りです、隠していても話が進まなそうなので言ったのですがこれは本当は秘密事項なのです。自我の情報含め、色々特別ですよ。」

  

「AI、知らないのか。人工知能ってやつだよ。よく聞くけど僕は詳しくないから何だか生き物じゃないのに賢いってイメージしかないけど」

「そりゃあ彼女が知らないのも当然です、ラノハクトにずっと住んでもなかなかお目にかかれないでしょうから」

 

(は……待て待て待て、おかしいって。ラノハクトにAIは無いんだろ、で、ここに居るこいつはAIなんだろ?てことはこいつを生み出したのは地球の技術ってことか?)

 

僕は何かに気づきそうになったが、話は進んでいた。

 

「はい、君たちが“来た”理由は分かりました。でも、君たちがここへ“来れた”理由が自我には分からないのです。」

 

「えっと、それは……何故か僕は地球人なのに動けていて、地球外生命である彼女と出会ってしまい……地球のことを教えようとしていたら彼女の友達が逆に止まってしまって……」

 僕はこれまでに起きたことを目の前に居るAIとやらに無理矢理説明した。果たして伝わったのだろうか。

 

「で、地球がトリアンドルスに攻撃されて、なんだかんだあって、黒いマシンに乗り込んで、どうにかこうにかあって、トリアンドルスの中に入って、コネクターからこの空間に来た……って感じ?」

ニオも後ろから彼女らしい説明を付け足してくれた。

 

「はぁ。“なんだかんだ”の部分が非常に気になりますが……」

 

「……」

 

「ええと、とにかく自我はここの監視をしているAIに過ぎないので、こんな事態たまったものじゃないのです。」

 

(そんな気はしてた。僕らもたまったものじゃないのだから。)

 

「取り急ぎ、この計画の主人をお呼びしたいのですが……今絶賛お忙しいのです。恐らくすぐ来れないのです。」

 

(主人……お、一人の黒幕が存在するのか? 僕の中で早く会って話を聞きたい感情と、どんな人物かは知らないままでいたい感情が混在し始めた。)

 

「連絡は今したので……と言っても、内容がとても現実離れしているので信じてくれるかは分かりませんが」

 

「はぁ。」

 

「友達を助けたいんです!!あの子達がいないと私……本当に困るんです!」

 

「落ち着いて、慌てる必要は無いです。自我から詳しくは言えませんが……友人の無事は保証します。どうか気を確かに。」

 

「……まぁ。はぁ。」

 

彼女を間近で見続けたのでニオの気持ちがよくわかる。僕も彼女の幸せを願っている。今はその言葉を信じるしか無い。

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