定時退社と不健康なティータイム
思い付きです。
月に必要な生産量を達成出来た1月31日のこと。
いつもは達成云々に関わらず、定時終了後は組合活動に従事しているが、今日ばかりは先輩の
「組合活動なんて放っておいて帰ろうぜ」
という一言をきっかけに帰ることとした。
普段、家へ帰る頃には夕飯が冷めている。その夕飯を電子レンジで温めて食べる毎日だが、今日は違う。むしろ、夕飯を作り出すよりも早く家に帰ることが出来る。
帰る途中、コンビニに寄った。プリペイドカードを購入する為だったが、デザートコーナーを見て少し風変わりしたシュークリームがあったので買っていった。美味しかったら母にも分けようと思って2つ買った。
家に帰って夕飯前のティータイム。ポットでお湯を沸かしながら手を洗ってうがいもする。
抹茶オレの粉をカップに入れてお湯を注ぐ。近くにあった箸でかき混ぜて溶かしてみる。
先程のシュークリームを鞄から取り出し、片方は冷蔵庫に仕舞い込んでもう一つを抹茶オレと一緒にテーブルに置く。
猫舌な私は息を吹きかけて少し抹茶オレを冷まして飲んだ。お湯を入れ過ぎたのか、少し味が薄い。
カップを置いてシュークリームを袋から出す。食べるときに破片がボロボロ落ちると思ったから、机の上にティッシュを一枚に敷いて、その上でシュークリームを頬張った。
いつもは口の横にクリームが付いてしまうのが嫌で、どう食べればクリームが溢れ出ないか考えるが、今日はその必要が無かった。中のクリームは私が知っているそれより少なく、食べ易いが満足感に欠ける。
先程「風変わりした」と述べたが、味の方はそこまで珍しく無い。もう少し、銘で謳っている特別な味がすると思っていたが、案外そうでもない。
───などと考えているうちに、シュークリームは終わってしまった。シュークリームとしては普通に美味しいので、これはこれで母にももう片方のやつをあげることにした。
それから残りの抹茶オレを少しずつ飲んでカップを空にする。おかわりは、いらない。
シンクに食器や昨晩の夕食に出たカレーが入っていた鍋があったから、カップと一緒にそれらも洗ってしまおう。
洗い物を終えたら母がやってきた。珍しく帰りが早いという話をし、そして思い出したようにシュークリームの話をする。
そうしたら、母が饅頭を半分に割って片方をくれた。こしあんがしっかり入っていて、尚且つ皮もしっかりしている。とても食べ甲斐のある饅頭だった。
葬儀に参列すると、待ち時間にお茶と一緒に出てくる饅頭を思い出した。あれも何故か、沢山食べたくなる衝動に駆られる。やはり私はクリームの甘さよりも餡子の甘さの方が好きらしい。
それから自室へ向かって今に至る。
近頃、残業時間を含めた操業時間で予算が立てられている風潮があるのは、どこの会社も一緒なのだろうか。
残業の意味合いが変わってしまっている。確かに、定時時間内で終わるはずだった仕事に対して残業代を支払うのは企業としては痛手だというのはわかる。しかし、それでは「定時退社」というものが、本来ごく普通のものであるはずのそれが、何か特別な存在になってしまう。
まあ、残業にせよ組合活動にせよ、どっちにしても早く帰られない。せめて偶には、今日のような不健康のティータイムを味わう日がまた来てくれるように頑張るしかないと、私は思ってしまうのだった。
読んで下さりありがとうございます。夏風陽向です。
喜怒哀楽で残したいものを残したいと思いました。でも「怒」はないかもしれません。なんか愚痴っぽくなりそうなので。
定時で帰ることが出来るというのは、若手の正社員としては最高かもしれません。ある程度、収入が必要な立場の人にとっては残業で稼げた方が良いのでしょうが。
それでもやはり疲れてしまいます。人はいつまでも全力疾走が出来るというわけではありません。土曜日も仕事だったし、尚更今日のような日に癒しを感じてしまうのです。
それではまた。次回の更新も読んで下さると嬉しです。