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Cafe Shelly

Cafe Shelly 風船ファンタジーへようこそ

作者: 日向ひなた

 どうしてこんなことになってしまったんだろう。私の人生、どこで狂ってしまったんだろう。本当なら今頃は主人と悠々自適とまではいかなくても、それなりに余裕のあるゆったりとした生活を送っていたはずなのに。気がつけばその日一日を暮らしていくのが精一杯。子どもたちをどうやって育てていけばいいのか。それすらも考える余裕のない毎日を送ることに。

「ねぇ、あゆみさん、今日のノルマはこなしたの?」

「あ、はい」

 今はしがない工場でほそぼそとパート勤め。目の前も真っ暗な状態。今までまともに働いたことがない私ができる仕事といえば、この工場で流れてくる部品にネジを取り付けるという単純な作業くらい。だから賃金も安いし。さらに職場の人たちも私に対して冷たい態度を取る。

 どうしてこんなことになったのか。これは主人の病気が原因。

 ある日突然、主人は会社に行けなくなった。いや、突然というのは本当は間違い。実はじわりじわりと主人はそういう状況に追い込まれていた。私がそれに気づかなかった。

 その病気とは「うつ」。気づいた時にはもう遅かった。こんな状況になるまで、私は脳天気に普通の主婦をやっていた。そう、何一つまともにできない主婦を。

「あゆみさん、今度飲みに行きましょうよ」

 工場の人達からそんなふうに誘われることもある。

「あ、ごめんなさい」

 私はそんな答えしか言えない。お金がないというのも理由の一つ。主人が待っているというのも理由の一つ。けれどそれは言い訳でしか無い。私の心の中では、そんなことを楽しんでいる場合じゃない。そういう気持が強い。私は楽しんではいけない。そんな強迫観念が心のどこかにある。

「あゆみさんって付き合い悪いのね」

「あの人と一緒にいても楽しくなさそう」

 周りからそんなふうに思われる私。きっと暗いって思われているんだろうな。前はそんなことなかったのに。ちゃんと人並みに明るく振舞って、友だちもたくさんいたのに。でも、その友だちも結局は表面上の付き合いだけだって。そのことが痛いほどよくわかった。今では誰も私に声をかけてくれないし。むしろみんな私を避けている。なんだかつまらない人生になっちゃったな。そんな思いを胸に抱いて、毎日悶々と過ごしている。

「さ、今日もお仕事終わり」

 誰かがそういう。もうそんな時間か。帰りに買い物をしていかないと。私は無言で工場を離れる。そしてスーパーに買物に。晩御飯のおかず、買わなきゃ。

帰りに寄ったスーパーで晩御飯のおかずを買いきたくしようと思った時。

「そうだ、薬を買わなきゃいけなかった」

 子どもの風邪薬を買うことを思い出した。その足ですぐ近くの薬屋さんへ。薬屋さんに入ると、いつもとは違った雰囲気。店内に風船がたくさん浮かんでいる。創業キャンペーンで子どもに風船を配っているんだ。

 たったそれだけのことなのに。私の心はなぜかウキウキしてしまった。そういえば風船なんて子どもが小さい頃にもらったきりだな。うちの娘はもう高校生。風船なんてもらう年齢じゃない。だからこんなのからはずっと遠ざかっていた。

「あの…風船って一つもらえますか?」

 風邪薬をレジで購入するとき、思わず私はこんなことを言ってしまった。

「いいですよ。お子さんにですか?」

 店員さんはニコニコしながら私にそう言う。

「え、えぇ」

 私も思わずにこりと笑ってそう答える。年甲斐もなく風船を手にして喜ぶ私。帰り道、私の足取りははずんでいた。ひょっとしたらスキップをしていたかもしれない。

 たった一つの風船。それが私の心を軽くしてくれた。でもどうしてなんだろう?

「ただいまー」

「お母さん、おかえりなさい。あれ、その風船どうしたの?」

「うん、薬屋さんでもらったの」

「お母さん、その風船握って帰ってきたの? なんか子どもみたい」

 娘は笑ってそういう。そうだよね、私って子どもみたい。けれど、この風船が私の心を子どもに戻してくれた。何をやっても、何を見ても楽しかったあの頃を思い出させてくれた。たった一つの風船なのに。

 その日の夜は久々に食卓に笑顔が戻ってきた。工場であったつらいこと、愚痴は一切出てこない。夜寝る前に天井に浮かんでいる風船をながめる。このとき思い出した。どうして私が風船を欲しかったのかを。

 私がまだ小さかった頃。お母さんと買い物に出た時に薬屋さんで風船がたくさん並んでいたんだ。それが欲しくて欲しくてたまらなかった。うさぎのぬいぐるみが配っていたんだっけ。たくさん子どもが集まっていて。小さかった私になかなか風船が渡らなかった。それを見つけたうさぎさんが私にハイって風船を渡してくれて。すごくうれしかった。うれしさのあまり、手を叩いてしまって。もらった風船が空へ飛び立って。それでワンワン泣いたな。そこであわててうさぎさんがもう一つ風船をくれたんだっけ。そしたらすごくうれしくて。今度は飛ばないように手に巻いてくれたな。

 風船一つで人って幸せな気持ちになれるんだ。そんなことを思いながら、久しぶりに夜ぐっすりと眠れることができた。それから数日後、私の元へ一通の招待状が届いた。

「あ、いとこの美樹ちゃんからだ。えーっ、美樹ちゃん結婚するんだ」

 届いたのは結婚式の招待状。しかしこれが困ったことに普通の招待状ではない。なんと、場所がアメリカロサンゼルスとなっている。

 美樹ちゃんは年の離れたいとこではあるが。小さい頃からよく面倒を見てあげて、私のことを実の姉のように慕ってくれている。美樹ちゃんが就職してからはしばらく疎遠になっていたけれど。まさかアメリカにいたとは。

 お相手は当然むこうの人。添えられた手紙には旦那さんになる人とのなれそめや、今までどんな風に過ごしてきたかが書かれていた。そして、ぜひ私に来て欲しいとのこと。費用は出すから、ということも書かれている。ありがたい話ではあるが…でもうつの主人を置いていくのも気が引ける。どうしようか迷っていた。

「美樹ちゃんの結婚式、行っておいでよ」

 主人はそう言ってくれる。

「大丈夫、留守の間のお父さんの面倒は私が見るから」

 娘もそう言ってくれる。アメリカに行くことなんてそうそうないし。

「うん、ありがとう」

 ここは二人の好意をありがたく受け取り、初めての海外旅行に行くことになった。ただし、工場には週末を挟んでも三日間の有給を申請しないといけない。まさかアメリカに行く、なんてことは言えない。周りから嫌味を言われるに違いないから。ここは主人の病気治療のため、ということにしておくか。

 そして美樹ちゃんの結婚式の日を迎えた。初めてのアメリカにワクワクさせてもらえたのもよかったが。この結婚式というのがとても変わっていた。

「わぁ、すごい!」

 会場は一面バルーンでうめつくされている。細長いバルーンをひねってつないで加工して、さまざまなアート作品が並んでいる。金色や銀色に光って浮かぶバルーンもある。普通なら花で飾られているテーブルもバルーンアートだ。それを見ただけでも興奮してきた。

 ここで感じたのは風船の魔力。たった一つの風船でワクワクもできるのに、それが何百という風船になるともっと心が踊りだす。すごく賑やかな会場で、私は写真をとりまくってしまった。

 アメリカからの帰りの飛行機の中で、私は夢を見た。私の生活が風船で、バルーンでうめつくされて。毎日が心ウキウキワクワクな状態になっている。

「バルーンアートかぁ。私もそんなのやってみたいな」

 ふとそんな思いに駆られてきた。

 空港から自宅に帰る途中、私は大きなスーツケースを抱えたままおもちゃ屋さんに寄って細長いバルーンアート用の風船を書い、さらに本屋によってバルーンアートの作り方の本まで購入。家に帰るとデジカメに撮影した写真を主人と娘に見せながら、興奮してバルーンウェディングのことを話した。

「へぇ、こんなの変わってるな。なかなかおもしろいじゃないか」

「私の結婚式もこんなのしてみたいなぁ」

 主人も娘も興味を持ってくれたようだ。私は早速買ってきたバルーンと作り方の本でいろいろと試すことにした。

 この日から私の生活は変わった。頭のなかが風船一色になってきた。さすがに工場を風船に染めることはできないが。けれど休憩所にさりげなく風船で作った動物を置いておくと、みんなかわいいって言って手にとってくれる。うん、たったこれだけで周りを明るく楽しくできるんだ。その自信がついてきた。私だって人を喜ばせられるんだ。

 そんな思いを持ったある日曜日。私は久しぶりに娘と街に繰り出した。娘の買い物の付き合いというのが名目なのだが。ここで衝撃的な出会いが待っていた。

「あれ、あっちの方なんか賑やかだね」

 娘が指差す方向には人だかりができていた。そこは狭いながらもカラフルなタイルで敷き詰められた明るい路地。両側にはいろいろなお店が並んでいて、今日は人通りも多い。その一角に人がたくさん集まっている。私も興味深くそちらの方へ足を向けると…

「はい、きりんさんだよー」

 大きな拍手。見るとピエロの格好をした人がたくさんのバルーンを使っていろいろなものを作っている。いわゆるバルーンパフォーマンスっていうの。そこで道行く人に風船で作ったいろいろなものをプレゼントしている。小さい子は私もちょうだいっておねだりしているし。大人も物欲しそうな顔でそれを眺めている。みんな笑顔でその光景を見ている。

「お母さんもこんなことやってみたいの?」

「うぅん、私はパフォーマンスはできないかなぁ。でも、風船で街をうめつくしたり、ここに集まっている人たちが自分で風船でいろいろな物を作れたりできるようにしてみたいな」

 私の中で自分の夢が少しずつ明確になってきた気がする。

「はい、あなたにも」

 突然、そのパフォーマーが私に風船のお花をプレゼント。

「わぁ、ありがとう」

 やっぱりこれをやりたいんだ、私。風船で人を喜ばせ、楽しい気持ちにさせる。うん、こういうのが仕事にできたらいいな。私の中で夢が膨らんでくる。まるで風船が大きくなって空に飛んでいくように。このとき、ひとつのアイデアが閃いた。

「ねぇ、まだ時間いいでしょ?」

「え、うん、いいけど」

 娘に時間の余裕が有ることを確認したら、すぐに行動開始。私はさっきの風船パフォーマーのところに近づいた。風船パフォーマーはようやく休憩に入ったところ。

「あの…すいません」

「あ、はい」

 あらためてそのパフォーマーを見ると、まだ若い女の子だった。

「私、あなたみたいに風船で人を幸せにしたいって、そう思っているんです。よかったら話を聞かせてもらえませんか?」

 突然の私の申し出に慌てているパフォーマーの女の子。

「えっ、ま、まぁいいですけど…そうですね、よかったらそこの喫茶店に行きませんか?」

 そうやってその子はすぐ近くのビルの二階を指さした。

「ここのコーヒー、すごく変わってておいしいですから」

「はい、ありがとうございます」

 私たち一行は女の子が指さした喫茶店へと足を向けた。

カラン・コロン・カラン

「マスター、来たよ」

「ゆうちゃん、お疲れさま。なかなか好評だったね」

「お店まで賑やかな声が聞こえてきたよ。あ、お客様?」

 もう一人の店員の女の子がゆうちゃんと呼ばれたパフォーマーの女の子に声をかけながら私たちに気づいた。

「うん、私の風船パフォーマンスを見て話が聞きたいって」

「じゃぁ、真ん中のテーブルを使って」

 そう促されて私たちはお店の真ん中のテーブル席に座ることに。

 あらためてこのお店を見回す。窓際には半円型のテーブルに四席、カウンターに四席、そして今私たちが座っているお店の真ん中の丸テーブルに三席。小さな喫茶店ではあるけれど窮屈さは感じない。茶色と白でまとめられたシンプルな色使い。コーヒーの香りと甘いクッキーの香りがミックスされてなんとなく落ち着く。お店はカウンターにいるマスターと声をかけてくれた若い女性店員の二人。

「ここのオリジナルのシェリー・ブレンドがおすすめなの。ぜひ飲んでみませんか?」

「じゃぁ、それをいただきます」

 パフォーマーのゆうちゃんのおすすめを飲むことに。

「マスター、シェリー・ブレンドを三つお願いします。で、私に聞きたいことって?」

「あ、私守田あゆみっていいます。こっちは娘のさゆみです。私、風船で人を幸せな気持ちにさせたいって、そう思って」

「わぁ、素敵な夢だなぁ」

「私、この前姪の結婚式でアメリカに行ったんです。そこでバルーンウェディングっていうのを体験して。これ、ぜひこの日本でもやってみたいって思って。風船ってみんなを幸せな気持ちにさせてくれる不思議な魅力があるなって、そう思っているんです。だから…」

 ここまで言って言葉が詰まった。だから私は何をしたいのだろうか?風船を使って人を幸せな気持ちにさせてみたい。そのために私は何をすればいいの?

「バルーンウェディングかぁ。私も結婚式はそういうのでやってみたいなぁ。その前に相手を見つけなきゃね」

 クスっと笑うゆうちゃん。ゆうちゃんは話を続けた。

「私はね、高校時代引きこもりだったんです。本当は人を喜ばせたりするのが好きだったけれど。でもやり過ぎちゃって周りからうざったく感じられちゃったみたいで。それで孤立しちゃったんです。でも、ここのシェリー・ブレンドが教えてくれたんです」

「シェリー・ブレンドが教えてくれた?」

 意味がわからなかった。コーヒーが何を教えてくれるんだろう?

「その謎は飲んでみればわかりますよ。はい、お待たせしました」

「マイさん、ありがとう。百聞は一見にしかず、飲んでみて」

 ゆうちゃんに勧められるままにコーヒーを口にしてみた。いつ以来だろう、喫茶店で本格的なコーヒーを味わうのは。苦味の奥に酸味も混じって、さらに味わい深い香りが私を異世界へといざなう。目を閉じると、そこには風船の世界が広がっていた。

 街中が風船であふれて、そしてそこには多くの人の笑顔が見える。これを私一人がやったのではない。みんなの力で、たくさんの人が協力しあってそれが完成された。中には自信を失っていた人もいる。心を閉ざしていた人もいる。けれど、風船の世界に触れることで明るい笑顔を取り戻す。

 うん、そんな人達を私は増やしていきたいんだ。私自身がその中の一人なのだから。だから私はやってみたい。この風船の世界で仕事をしていきたい。多くの人にこの幸せを味わってもらいたい。

「お味はどうでしたか?」

 そう尋ねてきたのは店員のマイさん。私はそこでハッと我に返った。

「ふふふ、何か見えたみたいですね」

「今のは一体…何?」

「今のがあゆみさんが求めているものなのですよ」

 マイさんにそう言われて、私はあらためて今自分が感じたことを思い出していた。確かに今感じたのが私がやりたいこと。

「これがシェリー・ブレンドの魔法です」

「魔法?」

 思わず聞き返してしまった。私の言葉にマイさんが応える。

「このシェリー・ブレンドは飲んだ人が今望んでいるものの味がするんですよ。そして人によってはそれが映像として頭に浮かんでくるんです」

「あ、どうりで。私ね、大学に行ってたくさん友だちができるっていうイメージが浮かんできたの」

 娘はそんな願望があったのか。そう考えると、私がやりたかったこと、これが今明確に見えてきたっていうことになる。

「お母さんはどんな味がしたの?」

「えっ、私?」

 話そうかちょっと悩んだけど、思い切って今感じたことを口にしてみた。

「…って感じ。私、やっぱりこの風船を自分の仕事にしてみたいの」

「そのためには、まずどんな仕事からやってみたいですか?」

 突然、このお店のマスターが私にそう問いかけてきた。

「どんな仕事…はい、まずはアメリカで体験したバルーンウェディング。あれをやってみたいです。そのためにはもっと風船のことを勉強しなきゃ」

 そう口にした途端、私の中でやる気が湧いてきた。そうだ、そうなんだ、仕事にするにはまだまだ知識が足りない。経験もない。

「それなら私の知り合いに風船アートを本格的にやっている人がいますよ」

「ほんと! ぜひ紹介して」

 ゆうちゃんの申し出に、私は一も二もなく飛びついた。

「お母さん、なんか勢いがあるね」

 娘が言うように、今私には勢いが感じられる。やっと人生の生きがいを見つけた。そんな気がするんだ。ゆうちゃんから風船アートの人の紹介をもらい、私は早速その人に連絡をとることにした。

 なんだか今日はいい日だな。帰りの足取りが軽くなった。帰ってからもルンルン気分。今までの私とは違う。それを自分で自覚できるんだから。

 翌日、早速ゆうちゃんから教えてもらった人へ連絡。今度の土曜日に会いに行くことになった。と同時にバルーンウェディングへの思いも強くなってきた。そういうところができそうな結婚式場を見つけてみないと。私は早速市内の結婚式場をリストアップして、ひとつひとつ回ってみることにした。

 説明のための資料も作らなきゃ。私は慣れないパソコンを引っ張りだして、キーボードを叩きはじめた。だが思ったようにうまく文書がつくれない。

「どら、見てられない。オレに貸してみろ」

 うつで休業中の主人が横から入り込んできた。

「どんなのを作りたいんだ?」

 主人がめずらしくやる気を出してくれている。今日は調子がいいんだな。おかげで企画書もできたし。私は早速その企画書を手にして、リストアップした結婚式場を回ることにした。工場の仕事が終わってすぐに一つ目を突撃訪問。

「バルーンウェディングですか…まぁ面白いとは思いますけど」

 担当の人は私の持ってきた企画書をペラペラとめくりながらも反応はいまいち。

「みんなとても喜ぶと思うんですよ」

 私はアメリカで体験したことを熱を入れて語る。が、私が熱を入れれば入れるほど担当さんは冷ややかな目で私を見る。

「これ、ウェディング中に風船が割れたらどうするんですか? 音に驚いてそれどころじゃなくなるし。そういうことになると困るんですよね」

 どう考えても担当さんは断るための理由を探しているようにしか見えない。結局ここでの交渉は受け入れられずに終わった。意気消沈して家に戻る私。

「ただいまー」

 私の暗い顔を見て、主人がことを察してくれた。

「どうせ一件目が上手くいかずに落ち込んでいるんだろう?」

「う、うん…なんでわかってくれないんだろう」

「最初からうまくいくなんて思うなよ。あゆみ、お前がどれだけ本気なのか、それを試されているんだよ」

「本気を試されている?」

「そう、神様はお前の本気を試しているんだよ」

 主人がこんなことを言い出すなんてびっくりだ。さらに話は続く。

「あゆみ、私もわかったんだよ。うつになって何もできない状況がつづいていたけれど。これは試されているんだなってことが。ここから自分が本気で生きていこうっていう意志を神様から尋ねられているんだって。まだ薬は飲まないといけないけれど、だいぶ調子も良くなってきたし。今は本気であゆみのやりたいことを手伝おう。そう思っているよ」

 主人は今までは理論家で、神様とか信じていなかったのに。一体どういう気持の変化なんだろう。

 あらためて主人の部屋を見ると、たくさんの本が山積みになっていた。そのタイトルを眺めて納得。精神的なことを説いているものがずらりと並んでいた。今まで工場の仕事が忙しかったのと、バルーンに目覚めてからそこばかり見ていたから、主人の事をきちんとわかっていなかった自分にまた気付かされた。いつから本を読み始めたかを聞いたら、私がバルーンに目覚めた時からだって。何か手伝えることはないのか、そう思った時に私の心の支えになりたいということに気づいたそうだ。

「だから本を読み始めたの…」

「あぁ、これもあのコーヒーのおかげだよ」

「コーヒー?」

「信じられないかもしれないけれど。魔法のコーヒーっていうのを飲ませてくれるお店に行ったんだ。知り合いのススメでね。そこで、自分が今何に取り組むべきかに気付かされたんだよ」

「そこって、ひょっとしてカフェ・シェリー?」

「なんだ、あゆみも知っていたのか?」

「うん、この前の日曜日に私も行ったの。そして、そこで気づいたの。私がやりたいことが」

「だから急にバルーンウェディングの企画書なんてのを書きだしたんだな。よし、わかった。あゆみの夢をとことん手伝うよ。それが今の自分にできることだから。そうと決まれば早速営業会議をやろう」

 主人の目がいきいきとし始めた。うん、これなら私も安心して進んでいける。その日の夜は企画書の練り直しと、実際の営業のやり方について遅くまで二人で議論を繰り返した。

 そして土曜日。ゆうちゃんから紹介された風船アートをやっている人のところへと足を運ぶことに。

「はじめまして、ゆうちゃんからお聞きしていますよ。さぁ、どうぞ」

 小さな工房にたくさんの風船が並んでいる。今まではバルーンで作った動物などの単品しか見たことがなかったが。ここにはそういうものを組み合わせた花かごがたくさん並んでいる。

「私は大道芸としてのバルーンショーの他に、こうやって人にプレゼントをできるようなバルーンをつくっています。例えば誕生日などのお祝いごとで、お花を贈る代わりにこういったプレゼントバルーンを贈ってみるのもいいんじゃないかって。まだまだ認知度は低いですが、徐々にお客様もついてくれてますよ」

 なるほど、こういう喜ばせ方もあるのか。これは参考になる。私は早速バルーンウエディングの企画書を取り出し見てもらった。

「なるほど、これはおもしろいですね。結婚式場が問題としているのは、途中で割れるんじゃないかってことでしょ。だったらこんなバルーンを使ってみるといいですよ」

 そう言って取り出したのは、普通のゴム風船ではなく割れない素材でできたもの。これを組み合わせてアーチを作ったり、文字の形のものでメッセージにしたり。

「なるほど、こういうバルーンを使うといいんですね」

「はい、こういった素材はうまく使えば再利用もできますから。コストパフォーマンスもいいですよ」

 頭の中でアイデアがひらめいてきた。

「ありがとうございます。なんだか実現できそうな気がしてきました。早速これで企画を練りなおして結婚式場と交渉してみます」

「あ、これ私からのご提案なんですけど。大きな結婚式場を狙うのではなく、レストランウエディングとかやっているところを狙うっていうのはいかがですか? そういうところのオーナーさんのほうが柔軟に対応してくれそうですし。実は私の知り合いにレストランウエディングをやっているお店があるんですよ」

「ぜ、ぜひ紹介してください!」

 私は早速そのお店を紹介してもらい、その足ですぐに向かうことにした。

 心がワクワクしてきた。私がイメージしていたものが実現するかもしれない。土曜の午後で今から仕込みで忙しくなるという時間に、私は紹介されたお店に訪問。オーナー兼シェフの方はていねいに私に対応してくれた。

「なるほど、これはおもしろい。ぜひ取り入れてみたいですね」

 うん、いい感触。しかし次が問題だった。

「今までこれをどこかでやられた実績はあるのですか?」

「えっ、実績ですか…」

 うぅん、まだやったことがない。それどころかバルーンアートの腕前もまだまだ未熟。ここは素直にそのことを伝えてみた。

「なるほど、今からですか…ならば二つほど条件を出してもいいですか?」

 オーナーは前向きな姿勢を持ってもらっているので、ここは条件を飲むしかない。そこで出された条件、一つ目は値段のこと。ある意味実験台に使われるわけだから、格安でお願いしたいとのこと。ここは仕方ないだろう。もう一つは、紹介してもらったバルーンアーティストを入れてくれとのこと。技術面に不安があるから、というのが理由。そこは逆に私も不安があるので早速その場で本人に確認をとって了承してもらった。

「実は月曜日にここでウェディングをやるお客様が打ち合わせにこられます。そこでバルーンウエディングの提案をしてみたいと思いますので、ぜひ同席していただけませんか?」

「えっ、月曜日ですか?」

 困った、月曜日は工場の仕事がある。けれど打ち合わせには行ってみたい。一瞬迷ったが、答は出ている。

「はい、何時からでしょうか?」

 有給がとれるかどうかもわからないのに、私は行くと返事をしてしまった。これでよかったのだろうか? 帰り道、自問自答をしながら考えてみた。目の前のことを考えたら休むべきではなかった。だが、本当にやりたいことに向かって進んでいく。そう考えたら真剣に取り組むべきだ。もう迷わない。帰って主人にこのことを伝えてみた。

「そうか…うん、よかったじゃないか」

 にこりと笑ってそう言ってくれる主人。

「でも…工場が有給をくれなかったらどうしよう?」

「大丈夫だよ。あゆみ、お前はいつまで工場で働くつもりなんだ?」

「えっ!?」

「だって、バルーンの仕事をしていきたいんだろう。だったらいつまでも工場にいる必要はないだろう」

「で、でも…」

「大丈夫、私も働くよ。いつまでもうつを言い訳にしているわけにはいかないからね。実は黙っていたけれど、知り合いのお店から手伝ってくれないかっていうお誘いがあったんだよ。もちろん私の事情も知っているよ」

「あなた…」

 主人の言葉に涙が出てきた。よし、本気で取り組まないと。私は私の夢を叶える。それが今の私に出来る最大の恩返しになるはず。

 迎えた月曜日。

「えぇっ、今日休まれると困るんだよね。あゆみさん、別の日にしてくれない?」

「突然のお願いでもうしわけありませんが。今日じゃないとダメなんです」

「う〜ん、他の人に迷惑かけちゃうことになるけど…」

 工場長のその言葉はぐさりときた。けれど私は譲らない。

「であれば、有給ではなく欠勤扱いでもかまいません。今日を外されると、私の未来に関わります」

 私の気迫に押されたのか、工場長はしぶしぶながら有給休暇を認めてくれた。よし、これで準備OK。

 そしてバルーンウエディングの打ち合わせ。ここは新郎、新婦ともその演出にとても喜んでくれた。うん、この笑顔が欲しかったの。私は早速バルーンアーティストのところに行って会場演出の細かい打ち合わせを行った。

 夢が現実になる。と同時に、私には次の夢が見えてきた。もっとこういう場をつくらないと。もっとたくさんの人にバルーンで心を癒してあげたい。でも、どうやったらその夢を叶えられるのだろうか。打ち合わせから帰ってきて主人にそのことを話してみる。

「よし、今からカフェ・シェリーに行ってみないか。きっと夢がはっきりと見えてくるよ」

 そっか、あの魔法のコーヒーを飲めば私の夢がより明確になるかも。早速主人と出かけてみることに。

カラン・コロン・カラン

 その扉を開けると、コーヒーと甘いクッキーの香りが私たちを包み込んでくれる。

「いらっしゃいませ」

 店員のマイさんの明るい声。

「あれ、お二人は知り合いだったんですか?」

 マスターが私達の姿にちょっと驚いたようだ。

「はい、実は夫婦なんです。別々にここにお世話になってたみたいで」

「いやぁ、驚きましたよ。ご主人は奥さんの夢を叶えてあげたい。奥さんは風船の仕事がしたい、でしたよね」

「えぇ、おかげさまで二つの夢は実現しつつあります。そしたらうちのがもう一つ上のステップに進みたいみたいで。それを明確にしたいと思ってやってきました」

 主人はマスターにそんな説明を。私はちょっとドキドキしながら席に座る。今日はどんなものを見せてくれるのだろうか。

「ではご注文はシェリー・ブレンドでよろしいですね?」

「はい、お願いします」

 コーヒーを淹れてもらっている間に、あれから起きたことをマスターとマイさんに話した。いよいよバルーンウエディングが実現する。けれどこれは夢のほんの一歩にすぎない。今からこれを仕事にしていきたい。さらに、風船でたくさんの人を笑顔にしたい。

「いいですね。私もぜひ風船で笑顔になりたいですよ。この前奥さんと一緒にお店に来たゆうちゃんも同じような思いを持っていますからね」

 マスターにそう言われると力強い仲間がいるんだっていう気持ちになれる。

「はい、おまたせしました。シェリー・ブレンドです」

 早速、期待を込めてそのコーヒーを口にする。今度はどんな味がするのだろうか。

 口の中に苦味と酸味がミックスした、コーヒー独特の味わいが広がる。うん、おいしい。しかしそれだけ。何も見えてこない。

「えっ、どうして?」

 ふとそう思った瞬間。

ぱぁぁん。

 私の中で何かがはじけた。同時に広がる色とりどりの風船。さらにそこから多くの人の笑顔が飛び込んでくる。これには驚いた。と同時に気づいた。うん、私風船でいろいろなサプライズを仕掛けたいんだ。人がパッと喜ぶような。そして笑顔になれるような。

 扉を開けると、たくさんの風船があってそこでたくさんの人が驚き、幸せな気持ちを味わえる。風船ファンタジー。こんな世界をつくってみたい。つくるのは私一人じゃない。そこにいるみんなで。

 みんな、そのキーワードが頭に浮かんできた。私、今まで一人でやらなくちゃって思いが強かった。でも私には仲間がいる、協力してくれる人がいる。まずはその輪を広げること。どんどん連想が膨らんでいく。まるで風船が大きく膨らむように。

「何か見えましたか?」

 マイさんの言葉で私は我に返った。

「はい、はっきりとわかりました。みんなでやること、それがキーワードです」

「ほう、どんな意味なんだ? もっとくわしく教えてくれよ」

 主人が興味深そうに私に聞いてくる。

 そこで私は今感じたことを思い出しながら言葉にしてみた。あらためて言葉にするとはっきりする。

 私は一人じゃない。主人が支えてくれる、娘も応援してくれる、風船を通じて知り合った仲間もいる。そして、その輪はこれからどんどん広がっていく。これから知り合うであろう人たちを大切にし、風船の世界へどんどん引き込んでいく。そのことで多くの人達を笑顔にすることができるに違いない。私はそんな世界がつくりたい。

「あゆみ、私はその世界をつくることを手伝うよ。まだまだ始まったばかりだ。よし、がんばるぞ」

 主人は今までにない力強い言葉を私に投げかけてくれた。その思いに応えなきゃ。

「まずはバルーンウエディングをきちんと成功させなきゃ」

「どんな風になったのか、ぜひ教えて下さいね。楽しみに待ってます」

 マイさんは満面の笑顔で私に期待の言葉をかけてくれた。よし、きちんと計画を作って実行していかないと。私の心は徐々に燃え始めた。

「あゆみ、もう今の仕事辞めてもいいんだぞ」

「えっ!?」

 主人の突然の言葉に、私はびっくりした。

「さっきも言った通り、私もこれから働き始める。給料は大したことはないが。あゆみはやりたいことをやっていいんだぞ」

「あなた…ありがとう」

 これ以上言葉が出てこない。主人には感謝の気持しか湧いてこない。

 こうして私の風船人生がスタートした。あれからすぐに私は務めていた工場を辞め、正式に風船の仕事を始めた。最初は知り合ったバルーンアーティストの力を借りての事業であったが。一回目のバルーンウエディングがとても好評で、続けて依頼が入ってきた。さらにそこから輪が広がり、イベントの装飾なども手がけるようになってきた。そうなると人手が足りなくなって。カフェ・シェリーで知り合ったゆうちゃんにも協力をお願いすることに。

「まかせてください」

 ゆうちゃんはその言葉通り、期待以上の動きをとってくれて。おかげで風船の仕事も順調に回り始めた。そうなるとさらに欲が出てくるものだ。

「ねぇ、こんなこと考えているんだけど」

 私が出した企画。それは、この地でバルーンアートフェスタなるものを開催しようというもの。

「これは単に風船を飾るだけじゃなく、参加型にしたいの。集まった人で街中を風船で彩ってみるの。どうかしら?」

「すごーい、とても素敵。それ、ぜひ実現させましょうよ」

 ゆうちゃんはとても乗り気。主人にも相談したところ、早速解決すべき課題点をいくつかあげてくれた。

「役所や商店街の交渉はオレが行くよ」

 主人からそう言ってくれる。またひとつ、私の夢が明確になってきた。

 一見すると何もかも順調のように見えるが。実のところ風船の仕事を取るのは楽ではない。主人やゆうちゃんには迷惑をかけている。けれど夢は実現したい。バルーンアートフェスタを成功させることで、もっと多くの人が風船の世界に目を向けてくれるはずだ。それを信じて企画書を作成する。

「もっとみんなが風船を身近なものとして捉えてくれればな」

 そんな思いを巡らせていたとき、ちょっとした事件に遭遇。

「えーん、えーん、えーん」

 ショッピングセンターで泣いている女の子を目にした。おそらく四、五歳くらいだと思う。

「どうしたの?」

 私は思わず声をかけてみた。

「お、おかあさん、おかあさん…」

 どうやら迷子のようだ。

「お名前は?」

 そうやって聞いてみるが泣くばかりで何も答えてくれない。このまま迷子センターに連れて行くしかないのかな。でも泣きっぱなしじゃ困るし。

 そこでふとひらめいた。私は常に持ち歩いているバルーンアート用の風船を取り出し、それを膨らませ始めた。すると、泣いていた女の子は私の様子を不思議そうに見始める。私は風船をひねり、組み合わせてさっと一つのものをつくってみた。

「ほら、犬だよ」

「わぁ」

 さっきまで泣いていた女の子はどこへやら。目を輝かせて私がつくった風船の犬を大事そうに抱えて眺めている。

「あー、ぼくもあれ欲しい」

 そばを通りかかった一人の男の子が指をさしてそう言う。男の子のお母さんは先を急ごうと手を引っ張るけれど、男の子の目線は風船の犬に釘付け。

「ちょっとまってて」

 私は急いでもう一つ風船を取り出し、今度はきりんをつくった。

「はい、どうぞ」

「ありがとう!」

 男の子は目をキラキラさせながら私のつくったきりんを受け取る。お母さんは申し訳なさそうな顔をしていたが、私は満足感があふれている。

「ねぇ、他にも作れるの?」

 今度は小学生くらいの女の子二人組が私にそう言ってきた。

「そうねぇ…じゃぁちょっと待ってて」

 また風船を取り出し、今度は花を作ってみせる。

「はい、どうぞ」

「すごーい」

 同時に拍手が起こる。気がついたら私のまわりには人だかりができていた。あちらこちらからリクエストが飛び出す。しまったなぁ、手元の風船はもう残りわずか。

 あれ、そういえばあの迷子の女の子は…ふと見ると、人だかりができたおかげでどうやら女の子のお母さんもそこに来たらしい。風船を抱えた女の子を抱っこしている。

 よかった、安心した。しかしこの事態をどう収集させようかな。そこでひとつアイデアが閃いた。

「みなさーん、これから毎週日曜日の午後に、ここでバルーンミニフェスタを開催します。ぜひおこしくださーい」

 言っちゃった。思いつきでこんなことを口にしちゃった。お店に許可もとっていないのに。けれど集まった人たちはとても楽しみにしているみたい。私は早速その足でショッピングセンターの事務所へと足を運んだ。そしてバルーンミニフェスタの構想を必死で説明。

「そうですね…」

 突然の申し出にもかかわらず、担当さんはしっかりと考えてくれている。

「ショッピングモールの真ん中にふれあい広場があるのは御存知ですか?」

「はい、知っています」

「そこは文字通り、いろんな方々がふれあえるようなスペースになっています。イベントやミニコンサートなどもやっています。来週の日曜日は特にイベントは入っていませんから。活用されてもいいですよ」

「あ、ありがとうございます!」

 よし、これでバルーンミニフェスタをやることが決まった。夢の第一歩を踏み出せた。帰って早速主人とゆうちゃんに報告。

「すごいじゃないか。よし、早速どんなことをするか考えよう」

 主人はすごい乗り気。ゆうちゃんもとても喜んでくれている。けれど、これで収益を得ることはできない。だって、風船はうちがすべて持ち出しになっちゃうから。

「いいの、それでも?」

 主人にあらためて相談してみた。

「いいんだよ。確かに今は事業としてはまだまだ黒字を出すまでに至っていないけれど。でもね、ある人から聞いたんだ。まずはこちらから与えることが大事だって」

「与えること?」

「そう、だからあゆみは風船で人に笑顔を与えていく。それはいつしか必ず自分のところに戻ってくるから」

 あの主人がこんなことを言うなんて、今まで信じられなかった。だからこそこの言葉には重みがある。よし、今はそれを信じて一歩を踏み出してみよう。

 そして日曜日。いよいよバルーンミニフェスタのスタートだ。

 開店前にステージの準備。衣装もピエロ風に着替えて準備OK。あとはお客さんを待つだけ。

 胸がドキドキする。こんな人前で披露するなんて初めてだから。

 そしてお店が開店。人が増えてくる。

 よしやるぞ。私は意を決して、多くの人の前で第一声をあげた。

「風船ファンタジーへようこそ!」

 ここからはじまる笑顔と夢の風船の世界。これが私の伝説の始まりとなった。


<風船ファンタジーへようこそ 完>

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