8話
ーーー地方都市 ビックツリー
「どわっふぁっふぁっふぁーーーーー」
冒険者ギルドに奇声が響き渡る
その声の主は黒髪の華奢な10代ほどの少年らしかった
受付のマリアは少し驚いた様子を見せながらも少年に尋ねた
「ロックちゃん、討伐達成できたの?」
すると少年は満開の笑顔をみせた
「ああその通りだ!俺の剛腕でモンスターを粉砕してきた!
伝説の冒険者ロック様の伝説の始まりだ!」
そう答えながら少年は腰の皮袋をマリアへと力強く突き出した
マリアがその革袋を開いて見ると中には黒い魔石が7個入っていた
「おースライム倒してきたんだ」
「かなりの激闘だったがな!俺にかかればちょろいもんよ」
「初の依頼達成だね。おめでとう。」
マリアはそういうとカウンターの下から取り出し受け皿へと乗せた
そこには銅貨3枚がと銭貨5枚置かれていた
「えっ!?」
「スライムの魔石は1個50Gなので全部で350Gでーす」
「あっあああれだけの激闘でたったのこれだけかー!?」
マリアは笑顔でそれに答えた
当然のことであった。スライムはあらゆるモンスターの中で最弱であり
一般の成人男性でも比較的容易に討伐できるのだ
少年は茫然としたまま固まっていたが、横の青年が無言でカウンターへと
手を動かした
「あっ、薬草ですね。よく見つけましたね、なかなか見つけにくいし
似たような草がたくさんあるので初心者ではなかなか採ってこれないのに」
「偶然に群生地を見つけましてね」
「おー20束もある。ここ最近の最高記録じゃないかなこれ」
「そうなんですか、運がよかったですね」
全くの嘘である
彼はロックの戦いを見守りながらも鑑定スキルを使用し採取していたのだ
マリアは受け皿へと銀貨2枚を置いた
「20束で2,000Gになります」
「に・・にせんごーるど・・・・・・」
少年は茫然としながらつぶやくように言った
「ロック様、これからもっと強いモンスターを倒していけば買い取り金額も
上がっていくはずです」
「そ、そうだよな。スライムだから安いんだよな。よし、明日からはもっと強い
モンスターを討伐しに行くぞ」
「ロックちゃん、スライムより強いモンスターっていうことになると次はゴブリンだね」
「ゴブリンか・・・、そいつの魔石はいくらになるんだ?」
「500Gだね。ただしゴブリンは冒険者を始めた初心者が一番怪我をさせられる
モンスターだから、レベルを上げてしっかりと準備してから行ったほうがいいよ」
「大丈夫だ、俺ならできる」
「あと、ゴブリンシャーマンとかゴブリンリーダーを見つけたらすぐに逃げてね、
あいつらが群れになっていると初心者の闘える相手じゃないからね。」
「そんなに強いのか?ゴブリンなのに」
「もちろんだよ。5匹ほどの群れの討伐推奨目安は平均レベル10で3人以上の
パーティーだからね」
「ほえー、わかった。マリアありがとうな!」
少年はそう答えると、元気いっぱいに冒険者ギルトを後にした
「大丈夫かな、ロックちゃん」
旅はまだ始まったばかりだ