7話
ーーー地方都市 ビックツリー
町の門からそう遠くない草原にその一行はいた
一人は黒髪の華奢な若者
一人はスラリとした青年
一匹はスヤスヤとしているカメ
少年は緊張で体中がガチガチで荒い呼吸を繰り返していた
「ロック様、核です核を攻撃すればすぐに倒せます」
青年は少年の後ろからそう声を掛けるが少年には届いていないようだった
少年はスライムと対峙し生涯初の命を懸けた戦闘の真っ最中であった
最初に動いたのはスライムだった
勢いよく飛び跳ねると少年へと向かっていった
「ごわーーーー来やがったーー」
少年は意味不明の叫び声を上げると、夢中でスライムへと必殺のパンチを繰り出した
しかしその拳は核を大きく外れ外側を弾き飛ばすに留まった
スライムは必殺の体当たりを少年に食らわせた
「どわわわわわをーー」
少年はパニックになり大きく腕を振り回した
するとパリンという音が響きスライムの動きが止まる
そしてシュワシュワという音を立てながら溶けていった
どうやら核に攻撃が当たったようだった
少年は大きく呼吸をしながら、その様子を見て両手を頭上へ振り上げた
「やった!やったぞ!倒したぞ!この俺が勝利したのだーーー!」
すると少年の後ろから大きな拍手が響き渡った
「ロック様、おめでとうございます。見事な戦いぶりでした。
このアルバート感激いたしました」
「だーふぁっっふぁっっふぁっっ!そうだろそうだろそうだろ!」
少年は一気に有頂天になり落ちていた魔石を拾い上げ天へと掲げた
大げさであった
過保護であった
なぜならばスライムは冒険者でない一般人であっても比較的容易に討伐
できるのだから
しかし少年は大いなる達成感をもって大きく息を吸い込むと魔石を革袋へ入れた
「おい、見ていたかカメパルト?」
そう言って少年はお腹のあたりをつんつんと指で突くが反応はなかった
「ロック様、カメパルトは寝ているのかもしれませんね」
「まったく、主人が命がけの戦闘をしているっていうのに・・・」
「ロック様、この調子でどんどん行きましょう」
「よしっ!行くぞ、スライムどっからでもかかってこい」
一行は町の周辺でスライムを次々と討伐していった
少年も回数を重ねるごとに緊張が解けて易々と戦闘を行っていた
そしてスライムを合計7匹討伐した時だった
<レベルが上がりました>
ファンファーレが鳴り響き少年にその声が届いた
「来た来た来たーーーー!!レベルアップだ!」
少年はそう叫ぶと何度も飛び跳ねた
「ロック様、おめでとうございます」
「クイー」
青年といつの間にか起きていたカメも嬉しそうに少年へと声をかける
「だわーーーはっっははははー。よしどんどん行くぞ目指すはレベル5000だ!」
「しかしながらロック様、もう夕暮れです。もうしばらくすると
門が閉まってしまいます。町に戻り宿を探しましょう」
「なに、もうそんな時間か。よし、レベルも上がったことだし戻るか」
「クイー」
一行は足早に町へと向かっていった
一行の旅はまだ始まったばかりだ